純喫茶ってどんな特徴があるの?カフェとの違いは?
純喫茶の歴史も知りたい!
こういった疑問や要望にお答えしていきます。
- 純喫茶とは、酒類を扱わない喫茶店のこと
- 「純喫茶」という言葉は昭和初期に既に存在していたとされている
- カフェは「飲食店営業許可」を取得しているお店のこと
日本安全食料料理協会(JSFCA)認定のコーヒーソムリエ、げんた(@topcoffeelab)が監修。
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コーヒーを愛し続けて約10年。現在はコーヒー専門家として活動し、様々な媒体・メディアにご紹介いただいています。独自ブランドのコーヒー豆を「ラボカフェ」で販売中。
それでは早速見ていきましょう!
純喫茶とは?
純喫茶とは、酒類を扱わない喫茶店のことを指します。
その名の通り、純粋にコーヒーを楽しむお店ということですね。
日本に初めて喫茶店が開店したのは、明治時代のことでした。
純喫茶という言葉は、昭和初期には既に存在していたようです。
古くからある喫茶店は、いまでも純喫茶の形態をとっているお店が多いです。
昭和のレトロさが残っているのも、純喫茶の魅力の1つですよ。
なんだか大人の雰囲気が漂っていて、少し入りづらいけど憧れるよね。
純喫茶・喫茶店・カフェの違い
純喫茶・喫茶店・カフェなど、似たようなお店がありますよね。
名前は知っていても、その違いまではピンと来ないという人も多いかと思います。
この3つのお店について、それぞれの違いを説明します。
純喫茶
上記の通り、純喫茶とは「酒類を扱わない喫茶店」のことです。
昭和8年の「特殊飲食店取締規則」により、酒類と接客の伴わないお店であると定義されました。
また、「喫茶店営業許可」のみを取得している純喫茶では、軽食程度の単純な加熱料理しか許可されていません。
この単純な加熱料理は、「トースト程度はOK」「既製品を温めるのはOK」といったものを指します。
レトロな喫茶店の食べ物はケーキやクッキー、トーストやサンドイッチばかりなのは、こういう理由があります。
また、一切軽食を置かずコーヒーのみというお店もありますよ。
お店の規模は小さめで、営業も店主のみや夫婦のみなど、少人数で行っているケースが多いです。
喫茶店
喫茶店が誕生してから、日本ではどんどん喫茶店の数が増えていきました。
その過程で、女給といって女性の店員が接客をするお店も増えました。
そこで、コーヒーだけを楽しみたい人向けのお店と区別する必要が出てきたというわけですね。
喫茶店も「喫茶店営業許可」のみを取得している場合、トーストやサンドイッチといった軽食の提供に限られます。
純喫茶よりは軽食のメニューが豊富であり、従業員の数も多い傾向があります。
カフェ
カフェは「飲食店営業許可」を取得しているお店のことをいいます。
よって、酒類や調理が必要な食事の提供も可能になります。
カフェという言葉が日本に定着したのは20世紀前半のことで、女性がテーブルへ料理やドリンクを提供するという体系が普及していきました。
おしゃれなカフェが急増
現在では、若者が好むようなおしゃれなお店をカフェと呼んでいる人も多いかと思います。
ですが、このように営業許可の面で明確にカフェと喫茶店・純喫茶には区別があります。
もっとも、「飲食営業許可」を取得していても「喫茶店」と名乗っているお店もあるので、単純に名前だけで区別するのは難しいでしょう。
純喫茶のようなレトロな感じも良いんだよね…。
純喫茶の歴史から見るカフェ・喫茶店との違い
明治時代、「ミルクホール」と呼ばれる牛乳・軽食を提供する飲食店がありました。
ここが当時の社交・交流の場になっていて、知識人が集まっていたようです。
明治末期になるとコーヒーが日本に浸透してきたこともあり、「喫茶店」「カフェ」と名乗るお店も増えてきました。
このカフェに接客をする女給を置いたことから、夜はコーヒーだけでなくお酒も提供するようなお店が増えていきます。
中には客の席に女給をつかせるというお店も誕生し、喫茶店とカフェの区別があいまいになっていきました。
そこで昭和4年に「カフェバー等取締要項」、昭和8年に「特殊飲食店取締規則」が誕生し、喫茶店は取り締まりの対象に。
酒類と女給(ホステス)によるサービスが許可されたお店を「特殊喫茶」、接客の伴わないお店を「純喫茶」と区別するようになりました。
この特殊喫茶は現在ではバーやクラブといったお店のイメージですね。
この時生まれた「純喫茶」という名称が今でも根強く残っています。
昭和後期までは、純喫茶と呼ばれるお店が各地に存在していましたが、現在は減少傾向にあります。
確かにあまり見かけないかも。
必ずしも純喫茶という名前でやっているわけではない
純喫茶という業務形態をとっているからといって、必ずしも純喫茶と名乗る必要はありません。
重要なのは、とっている営業許可に反したメニューを出していないことです。
「喫茶店営業許可」のみを取っているのに、酒類の提供があったら営業法違反になってしまいますよね。
以下が良い例と悪い例となります。
- 「喫茶店営業許可」を取って純喫茶を名乗り、コーヒー類のみ提供→OK
- 「喫茶店営業許可」を取ってカフェを名乗り、コーヒー類のみを提供→OK
- 「飲食営業許可」を取ってカフェを名乗り、酒類を提供→OK
- 「喫茶店営業許可」を取ってカフェを名乗り、酒類を提供→NG
取得した営業許可に準じることが大切
名称はあくまでお店の名前なので、重要なのは取得した営業許可に基づいた営業をしているかということになりますよ。
もちろん、お店の名前に「喫茶」や「カフェ」といった単語を入れなければならないというルールもありません。
純喫茶かどうか判断するには、メニューを確認する必要があります。
純喫茶の通な楽しみ方とは?
純喫茶は、レトロな昭和の面影が残った雰囲気が魅力です。
入店したら、まずはその雰囲気を楽しみましょう。
新しくておしゃれなカフェとは、全く違った趣がありますよ。
置かれているテーブルや椅子、照明などもよく見てください。
ヴィンテージものの家具なども置いてあることが多いので、普段なかなかお目にかかれない文化に触れられます。
あまり広くない店内だったら、店主の姿が見える席を選んでみましょう。
コーヒーを淹れる姿を間近で見られる機会は、なかなかないですよね。
コーヒー豆を挽くところなども見学できるかも?
細かいところまで楽しむ
そうしてコーヒーが提供されたら、まずはコーヒーカップをチェック。
純喫茶を名乗るお店では、カップやソーサーにもこだわっているところが多いです。
あとは店内に流れる音楽に耳を傾けながら、じっくり味わってコーヒーを飲んでくださいね。
本を読んでも良いし、ただコーヒーを飲みながらお店を見回してみるのもおすすめです。
たっぷり時間を使って空間を楽しむという、大人の階段を1歩上ったような感覚が味わえるかもしれません。
どのお店も店主のこだわりが色濃く感じられて、それぞれのお店の違いを比べてみるという楽しみ方もできます。
何十年という長い間営業しているお店もあるし、先人の知恵が詰まった空間と言えるね。
純喫茶の魅力とは何か、実際に訪れて感じてみよう!
いかがでしたでしょうか?
純喫茶についてカフェ、喫茶店との違いを踏まえて解説しました。
本記事の内容で重要なことをまとめると以下のとおりです。
- 純喫茶は酒類を扱わない喫茶店のことを指す
- 「純喫茶」という言葉は、昭和初期に既にあったと言われている
- 酒類と女給(ホステス)によるサービスが許可されたお店を「特殊喫茶」、接客の伴わないお店を「純喫茶」と区別するようになった
- カフェは「飲食店営業許可」を取得しているお店のことを指す
ぜひ今回紹介した内容を参考にしながら、純喫茶の魅力とは何か、実際に訪れて感じてみてはいかがでしょうか?
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