カフェインレスコーヒーの作り方ってどんな風になっているの?
自宅でカフェインレスコーヒーって作れるの?
こういった疑問や要望にお答えしていきます。
カフェインレスコーヒーが最近話題ですが、自宅でも簡単に作れたら良いですよね。
そこで本記事では、カフェインレスコーヒーの作り方を完全解説!
- カフェインレス・デカフェの作り方は大きく3つに分かれる
- 水抽出法・有機溶媒抽出法・超臨界二酸化炭素抽出法の3つ
- 「超臨界二酸化炭素抽出法」が一番コーヒーの味を損なわずに抽出可能
日本安全食料料理協会(JSFCA)認定のコーヒーソムリエ、げんた(@topcoffeelab)が監修。
続きはこちら
コーヒーを愛し続けて約10年。現在はコーヒー専門家として活動し、様々な媒体・メディアにご紹介いただいています。独自ブランドのコーヒー豆を「ラボカフェ」で販売中。
それでは早速見ていきましょう!
デカフェ・カフェインレスコーヒーとは?作り方の前に知っておこう
デカフェコーヒーやカフェインレスコーヒーという言葉を聞いたことがありますか?
それぞれ、通常のコーヒーよりも含まれているカフェインの量が少ないコーヒーを指します。
デカフェとカフェインレスって何が違うのかな?
デカフェ
デカフェとは、含まれているカフェインを取り除いたものをいいます。
また、後からカフェインを加えていた製品にカフェインを加えないというものもデカフェという扱いですよ。
カフェインレス
それに対して、カフェインレスは含まれているカフェインが少ないもののことをいいます。
とはいえ、どちらも同じ扱いをしている商品も多く、厳密には違いがあるものの、総じて「カフェイン含有量の少ないもの」をさすと考えてよいでしょう。
カフェインをわざわざ減らす意味について説明するね。
カフェインの効果・メリット
カフェインは適量摂取すれば、集中力アップや覚醒効果があります。
眠気覚ましにコーヒーを飲む人は多いと思いますが、コーヒーを飲んで目が覚めるのはカフェインのおかげですよ。
他にも脂肪燃焼促進など嬉しい効果もありますが、摂りすぎには注意です。
眠気覚ましにコーヒーを利用したい方は「【論文付き】コーヒーが眠気覚ましに効くって本当?効果的な飲み方も解説!」の記事をチェック!
カフェインの副作用・デメリット
カフェインを過剰摂取することで、以下のような症状が出ることも。
- 胃腸にダメージ
- 頭痛
- 利尿作用により水分不足に陥る
- 不眠の原因
- 自律神経の乱れ
- 胎児・乳児へ悪影響の可能性がある
カフェインは消化器系を刺激することがあり、胃腸がダメージを受けると胃痛や下痢、吐き気などの原因になります。
また、血管を収縮させる作用があるため、摂取したカフェインが抜ける際に血流が一時的に増加することで頭が痛いと感じることがありますよ。
カフェインに含まれる利尿作用によってトイレが近くなってしまい、軽い脱水のような症状を引き起こす場合があるので注意しましょう。
不眠の原因にもなりかねない
覚醒作用が効きすぎてしまうと、夜に眠れなくなってしまいます。
カフェインの効果が持続するのは3時間程度と言われており、完全に体内から抜けきるのには5~7時間かかります。
眠りにつく時間から逆算してカフェインを摂ると良いですよ。
覚醒作用の他に興奮作用もあるので、摂りすぎると動悸がする・リラックスできないなど、自律神経の乱れにつながることがあります。
そして、カフェインは妊娠中には特に気を付ける必要がある成分です。
過剰摂取で低体重出生児になったり、将来の健康リスクが高くなってしまったりすることも。
妊娠中だけでなく授乳中も気を付ける必要がありますよ。
コーヒーは1日2~3杯程度が適量
目安としては、コーヒー1日2~3杯程度が上限です。
カフェインの感受性も個人差があるので、多くても1日1杯程度にしておくのが良いのかもしれません。
コーヒーのカフェインについては「【最新】コーヒーのカフェイン量はどのくらい?その効果と副作用も解説」の記事をチェック!
デカフェ・カフェインレスコーヒーの3つの作り方
体のことを考えると、カフェインレスコーヒーはおすすめの飲み物ですね。
では一体どうやって作られるのでしょうか。
本題のデカフェ・カフェインレスコーヒーの作り方を3つ紹介します。
まとめると以下の通りです。
- 水抽出法
- 有機溶媒抽出法
- 超臨界二酸化炭素抽出法
順番に解説します。
1. 水を使った安全性の高い作り方「水抽出法」
コーヒーの生豆を水に浸すと、カフェインは水溶性の成分なので抽出されます。
その水に有機溶媒を使ってカフェインを除去し、有機溶媒を取り除いた水にもう1度コーヒー豆を入れると、取り除かれたカフェイン以外の成分がコーヒー豆に戻ります。
有機溶媒は再利用可能な上に直接コーヒー豆に触れないので、安全性が高い方法ですよ。
ウォータープロセス製法
水抽出と似ていますが、少し異なる点があるウォータープロセス製法があります。
カフェインを取り除いたコーヒー成分で満たされた水の中に、コーヒーの生豆を浸した後、乾燥させて完成という方法です。
こちらは水しか使わないのでより低コストかつ安全な方法と言えます。
2. 1番最初に考案された作り方「有機溶媒抽出法」
カフェインを取り除く方法として、1番最初に考案されたのがこの有機溶媒抽出法です。
コーヒーの生豆に有機溶媒を通してカフェインを抽出します。
使われる有機溶媒は、ジクロロメタン(塩化メチレン)と呼ばれるものが多いですよ。
安全性が高い物質ではありませんが、抽出の過程で高温になった段階で揮発するので、問題ないとされています。
しかし、万が一のことなどを考え、日本ではこの方法でカフェインを取り除くことを禁止しています。
また、カフェイン以外の成分も取り除かれてしまい、コーヒー本来の味や風味が損なわれていしまう可能性もあるので、ご注意ください。
3. コーヒー本来の味を保つことができる「超臨界二酸化炭素抽出法」
難解な名前ですが、簡単に説明すると二酸化炭素でカフェインを抽出するというものです。
二酸化炭素は、圧力と温度を加えることで気体でも液体でもある特殊な状態になるんですよ。
これは「超臨界流体」といい、気体が持つ拡散性と液体が持つ溶解性を同時に持つ物質です。
超臨界流体をコーヒー豆の内部まで通すことで、カフェインだけを取り除くことができるという優れた方法です。
コストは高いですが、安全性が高くカフェインだけを取り除いてコーヒーの味を保つことができるので、多くの人がこの方法を採用しています。
この「超臨界二酸化炭素抽出法」を使っているカフェインレスコーヒーが気になるね!
現在のカフェインレスコーヒーの作り方は自宅では難しい
カフェインレスコーヒーの作り方を3つ紹介しましたが、自宅で作るのは難しいかもしれません。
2の有機溶媒抽出だと「ジクロロメタン」を用意する必要があります。
ホームセンターやネットで購入することは可能ですが、人の肌に触れると炎症を起こしたり、加熱されると有毒ガスが発生したりと、扱いの難しい物質です。
素人が使うには向いていないと言えます。
器具を揃えて高温・高圧をかける必要がある
3の超臨界二酸化炭素抽出は超臨界流体を作り出す必要があり、器具を揃えて高温・高圧をかけなければならないので家庭ではほぼ不可能です。
文章だけ見ると簡単そうな1の水抽出も、実際には調整タンクで加温や加圧しながら作業を進めなければなりません。
カフェインを抜いた後の豆は長い時間をかけていろいろな条件で乾燥するという工程もあるので、家庭では難しいでしょう。
もともとお気に入りのコーヒー豆から、自宅でカフェインを抽出するというのが現実的ではないですね。
カフェインレスで売られているコーヒー豆やドリップバッグ、そのまま飲めるカフェインレスコーヒーを買って楽しむことをおすすめします。
おすすめのカフェインレスコーヒーが知りたい方は「【徹底比較】カフェインレスコーヒーのおすすめ人気ランキング13選」の記事をチェック!
危険で難しい作業をやるのはプロに任せよう。
もしかしたら将来的には、自宅で好きなコーヒー豆からカフェインを取り除く機械が発明されるかもしれません。
これからの技術の発展に期待です。
一番美味しいカフェインレスコーヒーの作り方
3つの製法を比較して、1番コーヒー豆の味を損なわずにカフェインレスコーヒーを作ることができるのは、「超臨界二酸化炭素抽出法」であると考えられます。
特殊な物質を作り出すため手間がかかりますが、その分カフェインだけをターゲットにして取り除くことができるため、味・風味・香りが保たれた新鮮なコーヒーが飲めますよ。
とはいえ安全性が高い分コストも高いので、何を優先してカフェインを除去する方法を選ぶか考える必要がありますね。
3つの製法の特徴をまとめたので、ご覧ください。
3つの製法の特徴まとめ
抽出名 | 安全性 | 味 | コスト |
---|---|---|---|
水抽出法 | 高 | 中 | 低 |
有機溶媒抽出法 | 中 | 中 | 中 |
超臨界二酸化炭素抽出法 | 高 | 良 | 高 |
有機溶媒抽出法は揮発するジクロロメタンを使っているので、安全とされています。
ですが、もしかしたら体に悪影響を及ぼすかもしれないと思っていると、あまり安心してコーヒーは飲めませんよね。
日本でも有機溶媒抽出法が禁止されていることから、コストを考えて水抽出法を選ぶか味やカフェイン含有量の少なさから超臨界二酸化炭素抽出法を選ぶかといったところです。
それぞれのメリット・デメリットを考えて選択するのが良いね。
デカフェ・カフェインレスコーヒーの作り方を理解して美味しいコーヒーを飲もう!
いかがでしたでしょうか?
デカフェ・カフェインレスコーヒーの作り方について完全解説しました!
今回の記事の内容をまとめると以下のとおりです。
- そもそもデカフェは、含まれているカフェインを取り除いたもので、カフェインレスは含まれているカフェインが少ないもののことを指す
- カフェインレス・デカフェの作り方として、水抽出法・有機溶媒抽出法・超臨界二酸化炭素抽出法の3つがある
- 超臨界二酸化炭素抽出法が一番、コーヒーの味を損なわずに抽出できる
是非デカフェ・カフェインレスコーヒーの作り方を理解して美味しいコーヒーを飲みましょう!