スウェーデンのコーヒーってどんな特徴があるの?
スウェーデンのコーヒー文化が気になる…。
こういった疑問や要望にお答えしていきます。
H&MやIKEAの進出で、ここ日本でもスウェーデンの国旗や名前を目にすることが増えてきました。
そこで今回はそんな彼らのコーヒー文化や特徴について徹底解説していきます!
- スウェーデンは世界の中でもコーヒーを多く消費する国の1つ
- 北欧の中では深煎りのコーヒーだが、世界全体で見ると浅煎りという特徴がある
- 1日に約2回ほど「フィーカ」と呼ばれるコーヒー休憩を取る
日本安全食料料理協会(JSFCA)認定のコーヒーソムリエ、げんた(@topcoffeelab)が監修。
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コーヒーを愛し続けて約10年。現在はコーヒー専門家として活動し、様々な媒体・メディアにご紹介いただいています。独自ブランドのコーヒー豆を「ラボカフェ」で販売中。
それでは早速見ていきましょう!
スウェーデンってどんな国?コーヒー文化に触れる前におさらいしよう
スウェーデンは北欧5カ国の中で最大の国土を持つ国です。
公用語はスウェーデン語ですが、英語教育はトップレベルで国民の殆どが英語を話せるのだそう。
首都はノーベル賞の授賞式が行われるストックホルムにあります。
世界遺産となっている街ヴィスビューは、なんとあの「魔女の宅急便」の舞台ではないかと噂されているのだとか!
そんなスウェーデンの特徴について以下で解説していきます!
スウェーデンは福祉大国
デンマークと並び福祉大国と呼ばれるスウェーデンの福祉制度には以下のようなものがあります。
- 大学まで学費が無料
- 医療費が安く、18歳以下は完全に無料
- 子供手当が非常に充実している
これらの福祉を支えているのは国民の税金による負担と、81.3%(2014年当時)という非常に高い投票率です。
若者から老人に至るまで自立を促す政策をとっているスウェーデンは、一人ひとりが政治に参加する姿勢を持っています。
特に子供手当は非常に充実しており、夫婦共働きが当たり前なスウェーデンの育児を支える重要な福祉制度です!
スウェーデンは家具も有名
スウェーデンと言えばIKEAに代表される家具やインテリアが有名です。
北欧の家具がハイセンスで機能的なことは周知のとおりですが、それは北欧の気候に由来するといわれています。
北欧は日照時間が短く、特に冬場はそれが顕著となり自宅にこもる機会が自然と増えがちです。
そこで自宅で過ごす時間を楽しく快適にするために、北欧の家具はシンプルで機能的ながらデザインとしてもおしゃれなものへと発展していきました。
室内が明るく見えるカラーリングのものも多いですよね。
しかしスウェーデンの家具やインテリアが発展していったのは気候以外にも理由があります。
国策のおかげもある
なんと、スウェーデンには国が政策としてインテリアを発展させるための教育を国民に施した歴史があるのです。
1830〜40年頃のスウェーデンの住環境は、今では考えられないくらいひどいものでした。
それでは文化や道徳心、産業は育ちようがないと国が改善に乗り出した結果が今のスウェーデンなのです。
ニューヨークの地下鉄の落書きを消したら犯罪が減ったなんて話もあるよね!
生活環境がいかに人の心に影響を与えるのかがよく分かります!
スウェーデンのコーヒーの特徴
北欧諸国は他の地域と比べ圧倒的にコーヒーの消費量が多いことで有名ですが、そんな北欧の国であるスウェーデンももちろんコーヒーを深く愛しています。
ここからは、そんなスウェーデンのコーヒーの特徴について解説していきます!
味わい
スウェーデンに限らず北欧全体の傾向として、コーヒーの味わいは酸味が強く浅煎りな傾向にあります。
しかし、後述するフィーカで甘いものと一緒にコーヒーを飲むことの多いスウェーデンは、他の北欧諸国と比べるとやや深めの焙煎を施すことが多いそうです。
ですが日本やその他の国と比べると浅煎り傾向にあるのは間違いなく、沢山飲むのに適しているサラリとした味わいであるといえます。
消費量
2013年度にICOが行った調査によると、年間の一人あたりのコーヒー消費量はフィンランドが12kg、ノルウェーが8.70kg、デンマークが8.60kg、スウェーデンは7.31kgとなっています。
北欧諸国の中ではやや少なめの消費量ですが、同じ調査で発表された日本の3.36kgという数字と比べるとやはり圧倒的!
他の北欧諸国と同じく、スウェーデンにはコーヒーが強く生活に根付いていることが分かります。
北欧全体のことを知りたい方は「【消費量世界NO.1】北欧コーヒーの特徴とは?文化とスタイルも解説」の記事をチェック!
スウェーデンのコーヒーの飲み方・淹れ方
スウェーデンでは通常のドリップなどによる抽出方法の他に、のちに詳しく解説する「焚き火コーヒー」と呼ばれる抽出方法があります。
焚き火コーヒーは「フィールドコーヒー」とも呼ばれ、スウェーデンだけでなくフィンランドでも愛される伝統的な抽出方法です。
方法は至ってカンタンで、やかんなどでコーヒーを煮出し豆が沈殿するのを待ってから上澄みを飲むというもの。
フィルターを通さず抽出するためコーヒーにオイルが含まれ、コクが深く強めの味わいになるのだそうです。
家でも出来そうだし今度試してみようかな?
フィンランドのコーヒーについてより詳しく知りたい方は「【消費量世界一】フィンランドコーヒーの特徴とは?文化から味わいまで」の記事をチェック!
伝統的な抽出方法「卵コーヒー」
また、スウェーデンやノルウェーに伝わる伝統的な抽出方法として「卵コーヒー」なるものもあるのだそうです。
このコーヒーのポイントは、抽出後ではなく抽出前に生卵とコーヒー粉を合わせてから煮出すというところ。
そのことによって卵の殻や卵白などが微粉や不純物を吸着し、酸味や苦味の少ないクリアな味わいとなります。
珍しい抽出方法ですね!
スウェーデンのコーヒー文化とは?
スウェーデンのコーヒーの消費量が多いのには、フィーカという文化もその背景にあると考えられます。
スウェーデンの人々にとってフィーカは生活になくてはならず、切っても切り離せません。
今から解説するフィーカについて知ることで、よりスウェーデンの人々に近づいてみましょう!
フィーカ
フィーカを一言でいうと「コーヒーブレイク」といった意味になります。
しかし、フィーカは単なるコーヒーブレイクだけでは終わらない様々な意味が含まれているのです。
それ大きくまとめると以下のようになります。
- 意識して休憩を挟むことで集中力や生産性を高める
- 上下のないコミュニケーションを行い関係を円滑にする
スウェーデンの人々がフィーカを行なう際、「ながら」で行なうことは殆どありません。
大抵は一度しっかり手を止めてフィーカを楽しみます。
そうすることで脳がリセットされメリハリを生み、次の作業に対する集中力や効率が上がります。
そのことが結果として生産性の向上に繋がるのです。
ながら休憩ってついやっちゃうけど、あまり効率よくないのかも…
仕事の精度を高めるためにもフィーカは役立っているんですね!
フィーカはコミュニケーションの場
またフィーカはスウェーデンの人々にとって、非常に重要なコミュニケーションの場としても大事にされています。
フィーカを行なう際は上下の関係なくリラックスして談笑を行います。
上司と部下や、教師と生徒といった垣根を超えてプライベートな会話を楽しむのです。
肩書なく相手と接することでコミュニケーションが円滑になり、そのことは様々な面で役立ちます。
一緒に仕事を行なうなら関係は良いに越したことないよね!
フィーカの行い方
そんなプライベートや仕事を行なう上でも重要なフィーカですが、おおよそ10時と15時の2回は暗黙の了解として行われることが多いのだとか。
また、義務としてフィーカの時間を設けている企業も多いのだそうです。
一回の時間はおおよそ15〜20分程度で、大抵は甘いものや軽食と一緒にコーヒーを飲みます。
糖分やカフェインを摂取することでしっかりリフレッシュするんだね。
シナモンロールがお供
また、フィーカのお供として有名なのがシナモンロールです。
もちろんその他にも様々な甘い物がありますが、シナモンロールだけはどのカフェにいっても必ず置いてあります。
そしてフィーカの時間はほぼ最優先事項として扱われ、誘われても断る人は殆ど居ないそうです。
フィーカの誘いを断ると、相手は嫌われてるのかと思ってしまうそうですよ!
スウェーデンのコーヒーの歴史
アラブ商人がヨーロッパに広めたコーヒーが、スウェーデン国内に普及したのは18世紀頃の話です。
富裕層を中心として流行した際、その流行を懸念した時の王グスタフ3世によって1746年にコーヒー禁止令が発令されます。
このコーヒー禁止令は1820年代に渡るまで数回発令されたものの、コーヒーを飲む習慣がスウェーデンの人々から無くなることはありませんでした。
このコーヒー禁止令の背景には、グスタフ3世の「コーヒーは人体に害がある」といった先入観がありました。
スウェーデンのコーヒーの歴史について調べると必ず出てくるのがグスタフ3世による「コーヒー実験」です。
その実験内容とは、死刑判決をうけた囚人の双子を実験体として、それぞれ紅茶とコーヒーを20杯ずつ飲ませ続けた結果を見るというものでした。
結果として長生きしたのがコーヒーを飲んでいた囚人であったため、グスタフ3世の「コーヒーの有害性を証明する」という目的は破れスウェーデン中にコーヒーが浸透していったのです。
山仕事・アウトドアの楽しみ「焚き火コーヒー」
「スウェーデンコーヒーの飲み方・淹れ方」のところで紹介した「焚き火コーヒー」は、フィールドコーヒーや煮出しコーヒーなどとも呼ばれる北欧の先住民サーミ人の伝統的な飲み方です。
この焚き火コーヒーは、主に山仕事を行なう人たちの楽しみでした。
使用する道具がやかんなどの煮出すための道具のみで、あとはコーヒーと水があれば作れるため非常に手軽でアウトドアに向いているのが特徴です。
通常のドリップコーヒーよりもコクが深くなるため、その味わいを愛してあえてこの方法で抽出を行なう人は現在でもいるそうですよ!
伝統を蘇らせた「レンメルコーヒー」
そんな伝統的な焚き火コーヒーを啓蒙したのが「レンメルコーヒー」というコーヒーブランドです。
公式サイトには以下のような記述があります。
KOKKAFE(煮出しコーヒー)には様々な作り方があります。ラップランドの家庭に代々伝わる方法はそれぞれにユニークで奥深いもの。ここではその代表的な3種類の方法をお教えします。
待つ、煮立たせる、水を加える…
レンメルコーヒーに『正解』の淹れ方はありません。自分のフィーリングにあった方法をぜひ作り上げてください。
公式サイト
この記述のとおり3通りの淹れ方を動画でも解説してあるため、ぜひ公式サイトにも足を運んでみてください。
その時の状況や感覚、気分に合わせて好きに楽しめるのが焚き火コーヒーの良いところ!
あなたも焚き火コーヒーで自分の好みを見つけてみてはいかがでしょうか?
スウェーデンのおすすめコーヒー3選!通販でも買える
今まで解説してきたスウェーデンのコーヒーは通販でも購入することが出来ます。
おすすめをまとめると以下の通りです。
- ゲバリア Gevalia フレンチ ダークロースト グラウンドコーヒー(挽き豆) 340g
- イノベーター コーヒー/innovator coffee
- lemmel kaffe レンメルコーヒー オリジナル 450g
順番に紹介します。
1. アラビカ種100%使用「ゲバリア Gevalia フレンチ ダークロースト グラウンドコーヒー」
ゲバリアは1920年に設立され、スウェーデン王室御用達のコーヒー焙煎業者でもありました。
そんなゲバリアのフレンチダークローストはアラビカ100%使用で、スウェーデンの伝統的な製法を用いてローストされています。
深煎りでスモーキーな味わいながら、北欧らしいフルーティーさも忘れません。
フィーカの際の甘いものと相性抜群です!
商品スペック
価格 | 3360円 |
量 | 340g |
製造国 | アメリカ |
2. 6種のフレーバーが楽しめる「イノベーター コーヒー」
イノベーターは1969年に設立された家具ブランドです。
そんなイノベーターが萬国コーヒーと共同開発したのがこのイノベーターコーヒー。
家具ブランドらしく、生活に置ける様々なシーンを想定したストーリー性のある6種のフレーバーを揃えています。
EVERYDAY FIKAという、まさにフィーカにピッタリなフレーバーもありますよ!
商品スペック
価格 | 1320円 |
量 | 100g(挽き豆) |
フレーバー | ・WEEKEND MORNING ・WEEKDAY MORNING ・SUNDAY BRUNCH ・EVERYDAY FIKA ・GOOD NIGHT ・SPECIAL DAY |
3. 焚き火コーヒーにはもってこい「レンメルコーヒー オリジナル」
上記で1度紹介したレンメルコーヒーが手掛けているオリジナルコーヒーです。
エチオピアのアラビカを100%使用して焚き火コーヒーにぴったりに仕上げています。
焚き火コーヒーは淹れ方によって毎回味が変わるのが面白いところ。
中には塩を効かせて味わう人もいるようで、楽しみ方は無限大です!
商品スペック
価格 | 2916円 |
量 | 450g |
原産国 | スウェーデン(生豆原産国:エチオピア) |
スウェーデンのおすすめコーヒーカップブランド3選
スウェーデンはインテリアが非常に有名な国ですが、そんなスウェーデンのインテリアにぴったりなコーヒーカップを取り扱うブランドも多数存在しています。
ここでは代表的なブランドである以下の3つを紹介していきます!
まとめると以下の通りです。
- GUSTAFSBERG(グスタフスベリ)
- Rörstrand(ロールストランド)
- MATEUS(マテュース)
気に入ったブランドがあればぜひチェックしてみてくださいね!
1.スウェーデンの代表的ブランド!お土産にも合う「GUSTAFSBERG(グスタフスベリ)」
グスタフスベリは「猫のマイキー」で有名なリサ・ラーソンを輩出した陶磁器メーカーです。
1825年に首都ストックホルムに設立され、個性的なテーブルウェアを数多く生み出しました。
グスタフスベリの中でも特に愛されている木の葉をモチーフとした「BERSA(ベルサ)」シリーズはスティグ・リンドベリによってデザインされたもの。
またリンドベリはリサ・ラーソンの師匠にあたる存在なのだそうです。
現在でも当時の設備を活かしながら手作りに近い状態で製作されているため、ひとつひとつ表情の違った仕上がりであることも特徴となっています。
2.王室御用達のコーヒーカップ「Rörstrand(ロールストランド)」
ロールストランドはスウェーデンでもっとも有名な陶磁器メーカーです。
このブランドは1726年にヨハン・ウルフによって王室御用達窯として設立されました。
作品の特徴としては、普段遣いにも使用出来るような気取らなさの中に、王室御用達であることを思い出させるような気品が同居していることです。
日々の生活はもちろん人を招く際のフォーマルな場面や、和洋問わないシンプルさと上品さは非常に使い勝手がよく持って損をすることはないでしょう。
3.ハンドメイドが魅力的「MATEUS(マテュース)」
マテュースはかつてモデルとして活躍していたTeresa Lundahl(テレサ・ルンダール)と娘のFilippaがデザインを行い、ポルトガルの職人が製作を行っているブランドです。
そのデザインはモデルであった彼女が洋服からインスピレーションを受けて作られたものや、貝や海などからインスパイアされたものなど非常に個性豊か。
そんなバリエーション豊富なデザインは職人によってひとつひとつハンドペイントを施され、色ムラなどのニュアンスが全て違う仕上がりとなっています。
他にはない温かみは、きっと一度持つと強い愛着を感じることでしょう。
スウェーデンを始めとした北欧雑貨を買うなら「LiLiCoCo」がおすすめ
LiLiCoCoは、スウェーデン出身のタレントLiLiCoさんがセレクトした雑貨を取り扱うネットショップです。
スウェーデンを始めとする北欧の国々のありとあらゆるアイテムが多数取り揃えられ、ついつい色々と見てしまいます。
そのバリエーションは食品やベビー用品、ジュエリーや歯ブラシに至るまで!
北欧のポップで可愛いデザインは見ているだけでも心癒やされます。
誰かへのプレゼントはもちろん、ご自身へのご褒美などにもおすすめですよ!
スウェーデンコーヒーの文化「フィーカ」を生活に取り入れてみよう!
いかがでしたでしょうか?
スウェーデンのコーヒーの特徴から歴史に至るまで徹底的に解説をしてきました。
本記事の内容で重要なことをまとめると以下のとおりです。
- スウェーデンは世界の中でも非常に多くのコーヒーを消費する国
- 北欧の中では深煎りのコーヒーだが、世界全体で見ると浅煎りの傾向にある
- 一日におおよそ2回ほど「フィーカ」と呼ばれるコーヒー休憩をとる
- コミュニケーションの場や作業効率を上げるためにもフィーカは大事にされている
- フィーカでは甘いものや軽食をとることが多い
- 過去数回コーヒー禁止令が発令された歴史を持つ
- 焚き火コーヒーと呼ばれる伝統的な抽出方法がある
日本だとコーヒー休憩は業務中にながらで行なうことが多いですよね。
一度しっかり手を止めるような休憩を2回も挟むのはなんだか多いような気がしてしまいます。
しかし、そのことがかえって作業効率を上げたり職場の人間関係が円滑になる手助けをしていることを考えると、スウェーデンのコーヒーとの付き合い方や考え方は見習うことが非常に多いのかもしれません。
なんだか煮詰まってしまったときこそ、一度手と頭を休めて美味しいコーヒーと甘い物でフィーカを行ってみてはいかがでしょうか?