
ジャコウネコからできた香水があるって本当?



高級な香水を使ってみたい!
ジャコウネコはコピ・ルアクとの関わりで知られますが、香水の原料として使われるのは、コーヒー豆でも糞でもなくシベットという分泌物です。
ただし、シベットと、ジャコウジカ由来の麝香(ムスク)は別の香料です。「ムスクの香り」と書かれた香水が、天然の動物性原料を含むとは限りません。
この記事では、香料の違い、シャネルN°5の公表情報、香水を選ぶ際の注意点を整理します。香りの好みと、病気や不調への治療効果は分けて考えましょう。
- 香料のシベットと、コーヒー豆のコピ・ルアクは別のもの
- シベットはジャコウネコ由来、麝香はジャコウジカ由来
- 香調の名前だけでは、天然原料の使用有無を判断できない
- 香水を不調の治療目的に勧める根拠は確認できない


コーヒー豆研究所の運営者、げんた(@topcoffeelab)のプロフィールです。
運営サイトについて
コーヒー情報サイト「コーヒー豆研究所」を運営しています。各記事の情報源や検証内容は本文をご確認ください。コーヒー豆のブランド「ラボカフェ」の情報も公開しています。
そもそもジャコウネコとは?


ジャコウネコは、ネコ科ではなくジャコウネコ科に属しています。
「ジャコウネコ」は一種類だけを指す名前ではないため、体長や体重を全て同じ数値では説明できません。
香料としてのシベットとコピ・ルアクを調べる際も、どの種類の動物に関する説明かを区別することが大切です。
本記事は香料とコーヒーの違いを扱うもので、動物の飼育・分泌物の採取方法を案内するものではありません。
動物が果実を食べることと、人が飲んでおいしいと感じる豆を選別することも、同じ意味ではありません。
ジャコウネコから作られる香水がある


日本香料工業会が公開する香料技術資料(冊子43ページ)では、シベット(霊猫香)をジャコウネコの分泌物、ムスク(麝香)を雄のジャコウジカの分泌物として区別しています。
同資料で紹介されているシベットの用途は、香水の香りを保つための素材です。医薬品としての効能を説明しているわけではありません。
山本香料のコラムには、同社がシベットの原体とエタノールで薄めた溶液を提供した事例があります。原体と希釈後では、香りの印象が異なると紹介しています。



薄めたシベットが、ジャコウジカ由来の麝香に変わるわけではありません。
これは香料会社の取り扱い事例です。原料を購入して自分で肌用の香水に調製する手順としては扱わないでください。
ジャコウネコ以外に香料を採れる動物
上記の技術資料では、ジャコウジカ由来のムスク、ビーバー由来のカストリウム、マッコウクジラ由来のアンバーグリスも紹介しています。
香料の由来を説明した資料と、現在の市販品の配合情報は別です。特定の香水への使用を確認するときは、その製品の情報が必要になります。
天然原料の入手や輸出入を検討する場合、この記事だけで可否を判断しないでください。
コピ・ルアク


コピ・ルアクは、コーヒーの果実を食べたジャコウネコの糞から種子を取り出し、洗浄・乾燥・焙煎して作るコーヒーです。
飲料になるのは処理したコーヒー豆であり、糞そのものではありません。香料のシベットとも別のものです。
自分で採取・加工するための手順は、本記事では扱いません。
「コピ」とはインドネシア語でコーヒーのことを指します。「ルアク」は、ジャコウネコを指します。
より詳しいことは以下の記事を参考にしてください。




コピ・ルアクを価格や名前だけで判断しない
「世界一高い」という最上級表現は、比較対象や販売時期を示さなければ判断できません。
カフェイン量を通常のコーヒーの半分とする共通の値は確認できません。カフェインを控える必要がある方は、コピ・ルアクという名前だけで選ばないようにしましょう。
購入する場合は、産地、採取方法、飼育の有無など、生産背景を販売元に確認しましょう。
価格が高いことだけで、真正性や品質が保証されるわけではありません。販売者が示す生産・流通の説明を確認することが大切です。




「ムスクの香り」という表示の読み方
ここでは、動物から得られる麝香と、商品説明で用いられる「ムスクの香り」という表現を区別します。
「異性を惹き付ける」といった表現は香りのイメージであり、特定の作用を保証するものではありません。
以下は香りの呼び名の例です。成分の統一分類や、天然の麝香が入っている証拠ではありません。
- ホワイトムスク
- カシミアムスク
- パウダリームスク
- レッドムスク
- クリスタルムスク
- ウッディムスク
- ブラックベリームスク
- マンダリンムスク
ブランドや商品によって香りの組み合わせは異なります。同じ「ホワイトムスク」という名称でも、同じ香り・配合とは限りません。
香水、洗剤、石鹸など、用途が違う製品は使い方も異なります。香りの名前だけで判断せず、それぞれの使用表示を確認してください。
シャネルN°5とシベットの関係は確認できる?


現在販売されているシャネルN°5に天然のシベットが使われているかは、今回確認した製品情報からは判断できません。
CHANELの歴史紹介は、N°5の発表年を1921年と記載しています。ただし、シリーズの誕生年と、個々の香水の発売年・処方は同じではありません。
下記のN°5 オードゥ パルファムの製品ページは、エルネスト ボーの試作から5番目を選び、名前を付けたのはガブリエル シャネルと説明しています。
同ページが示す香調は、ローズやジャスミンを中心に、シトラスやバニラを組み合わせたものです。「80種類のフラワーエッセンス」とする数は、今回の確認では裏付けられていません。
製品ごとの説明は、CHANEL「シャネル N°5」で確認できます。これはオードゥ パルファムのページであり、N°5の全製品に同じ配合を示すものではありません。
香水の香りと医薬品の効能を混同しない


シベット入りの香水について、強心・鎮痛・代謝促進・自律神経の調整といった治療上の効果を勧める根拠は確認できていません。香料としての用途から、医薬品の効能を推定することはできません。
以前の記事は原色和漢薬図鑑を参考としていましたが、今回その本文や、香水についての根拠となる記載は確認できていません。書誌情報へのリンクだけで、香水の薬効を裏付けたとは扱いません。



「個人差がある」と添えるだけでは、根拠のない効能説明を正当化できません。
香水を選ぶときに確認したいこと


選ぶ際は、次の2点を分けて確認しましょう。
- 香りの好みと、健康上の効果を分ける
- 使う場面と、周囲への配慮を考える
不調を改善するために香水を選ばない
香りを心地よいと感じることと、不調の原因が改善することは別です。
不眠や頭痛、動悸などが続く場合は、「自律神経の乱れ」と自己判断して香水で対処せず、医療機関へ相談してください。
本記事では、シベットやムスクの香りを嗅ぐことによる治療効果を検証していません。
麝香を含む医薬品は香水とは別の製品
救心製薬「救心感應丸 氣」は麝香を含む医薬品で、同社はその麝香をジャコウジカの腺分泌物と説明しています。ジャコウネコ由来のシベットとは区別が必要です。
医薬品の効能は、その製品の成分・用法を前提とするものです。麝香を含む医薬品があることから、ムスク調の香水にも同じ効能があるとはいえません。
香りは好みと使用場面に合わせて選ぶ
香水を楽しみたい場合は、売り場の試香紙で確認するなど、香りや強さが自分に合うかを見て選びましょう。苦手な香りを無理に試す必要はありません。
香りによる印象や好みを、ストレスを解消する効果として断定することはできません。
香りが苦手な人・体調に合わない人への配慮
次のような場合は、香水の使用や試香を無理に続けないでください。
- 香りに酔ってしまう方
- 体質が合わない方
香りに酔ってしまう人
シベットやムスクに限らず、香水の香りが苦手で気分が悪くなる場合は、香りから離れることを優先しましょう。
電車や職場などでは、近くの人が香りを避けられないことがあります。つける量や場所にも配慮が必要です。
食事の場では、料理の香りを妨げないよう、店舗の案内や同席者の意向も確認してください。
体質が合わない
香水が苦手で刺激が強いと頭が痛くなり、体質に合わない人もいます。
以下は既存記事に掲載されている新座市の案内の引用です。「増加傾向」という文言を、当サイトが現在の患者数の推移として新たに確認したわけではありません。
香り付きの柔軟剤や香水、整髪料に含まれている香料等の化学物質が原因で、咳や頭痛、動悸、倦怠感等の症状を訴える方が増加傾向です。においの感じ方には個人差があり、自分にとっては快適なにおいでも、周りの方は不快に感じていることがあります。アレルギー体質の方や化学物質過敏症の方にとっては、症状を悪化させる一因となることもありますので、香り付きの柔軟剤や香水、整髪料を使用する際は、過量を超えた使用を控えるなど周りの方への御配慮をお願いします。
埼玉県新座市「香料入りの柔軟剤や香水等を使う時は、周りの方に配慮しましょう」
ジャコウネコの香水は原料と香りの表示を区別して選ぼう


シベットと麝香は由来が異なる香料で、コピ・ルアクとも別のものです。香りの名前から、原料や健康上の効果まで推定しないようにしましょう。
要点を振り返ります。
- シベットはジャコウネコ由来、天然の麝香はジャコウジカ由来
- シャネルN°5の現行品に天然シベットが入っているとは、今回の資料から断定できない
- 香水を医薬品の代わりに使わず、好みと周囲への配慮を大切にする
天然の動物性原料が含まれるかを重視する場合は、香調名ではなくメーカーが公表する原料情報を確認してください。表示だけで分からない点は、販売元へ問い合わせましょう。
本記事は公開資料を照合した解説です。当サイトによる原料採取・調香・試香試験や、医学的な効果の検証を行ったものではありません。
\ 約1分でぴったりの1杯を見つけよう /
コーヒー豆研究所の記事を根拠に、関連情報と一緒に回答します。
この機能の利用にはJavaScriptが必要です。














