コーヒーハウスって何?
コーヒーハウスはもうないの?
こういった疑問や要望にお答えしていきます。
実はコーヒーハウスは昔の社会では、多くの人が集まる情報交換の場となっていました。
本記事では、コーヒーハウスとは何かを詳しく解説しつつ、現代にもあるカフェとの違いを紹介します!
- コーヒーハウスの起源は、17世紀のヨーロッパとされている
- イギリスはコーヒーハウス、フランスがカフェの起源とされている
- コーヒーハウスは商・株取引の実施やジャーナリズムの形成などの役割を果たした
日本安全食料料理協会(JSFCA)認定のコーヒーソムリエ、げんた(@topcoffeelab)が監修。
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コーヒーを愛し続けて約10年。現在はコーヒー専門家として活動し、様々な媒体・メディアにご紹介いただいています。独自ブランドのコーヒー豆を「ラボカフェ」で販売中。
それでは早速見ていきましょう!
コーヒーハウスとは?
コーヒーハウスとは、カフェのようなお店でコーヒーと一緒に雑談や会議をする場所として当時栄えたことで知られています。
コーヒーハウスの起源は、17世紀時代のヨーロッパとされており、特に大きなブームとなったのがイギリスです。
当時、未知に近い飲み物だったコーヒーは、コーヒーハウスの人気とともにすぐに普及したとされています。
入ることができたのは男性のみ
ただしコーヒーハウスに入ることできたのは、男性のみでした。
女性はコーヒーハウスに入ることはできなかったため、恋人とのデートはコーヒーハウスではできなかったのです。
コーヒーハウスで議論された政治や経済、さらに文学などの芸術は、当時まだ男性のみの世界の話題だったとも推測できます。
オックスフォードに開店
イギリスに初めてコーヒーハウスができたのは、権威のある大学でも有名なオックスフォードとされています。
1650年、オックスフォードはロンドンから列車で約1時間のイギリス最古の学生の町と知られていますが、コーヒーハウスも学生たちの間で大きな人気となりました。
すぐに人気になる
その後1652年にロンドンにコーヒーハウスが開店しました。
誕生までの歴史には説が唱えられていますが、貿易商がトルコから連れてきた使用人のパスカ・ロゼ氏に、無料でコーヒーを振る舞わせたのが始まりと言われています。
それがすぐに人気となり、コーヒーハウスの開店に至ったとされています。
それから約10年の間に2000軒以上に増え、18世紀初めには3000軒以上ものコーヒーハウスがロンドンでき、コーヒーハウスブームとなりました。
コーヒーハウスの歴史
コーヒーハウスといえばイギリスの文化ですが、コーヒーハウスの起源もイギリスと言われることが多いです。
しかしコーヒーハウスなのかカフェなのか喫茶店と呼ぶのかの違いであり、コーヒーを提供するお店は以前から存在していたようです。
コーヒーが飲み物として誕生したのは、14世紀のイエメンと考えられています。
トルコのイスタンブールで世界初のコーヒーハウスが誕生
15世紀にはアラブ世界全体に浸透し、1554年には世界初のコーヒーハウスが現トルコのイスタンブールに誕生しました。
オスマン帝国華が栄えた時代の1554年、イスタンブールで二人のシリア人がコーヒーを出す店を始めました。
これが世界初のコーヒーハウスとされています。
イギリスよりも早い時期に誕生しているね
当時、初めて出会う黒い液体のかぐわしさに人々は虜になり、カフェは大繁盛しました。
また淹れ方が改良され、それまでのアラブ式「ムルラ」よりも焙煎を深くして細かく挽き、水から煮出すトルココーヒーが生まれた。
焙煎度合いを深くすることでよりコーヒーらしいコク、苦味が出ます。
イタリアがヨーロッパ初
ヨーロッパに最初に伝来したとされるのはイタリアです。
1645年にヨーロッパ ベネチアに初のコーヒーハウスが開店しました。
イギリス ロンドンにコーヒーハウスができたのは1652年のことです。
大人の社交場として人気を博し、フランス・ドイツなどのヨーロッパ全土に広まりました。
この歴史から、コーヒーハウスの誕生は1652年のイギリス ロンドンと語られることが多くなります。
コーヒーハウスでの取引
コーヒーハウスが社交の場としての役割を果たしていましたが、自分の知らないことを学び、新たなビジネスが生まれる場所として自然と広まりました。
そこで以下では、コーヒーハウスで生まれたビジネスや交流の一部を紹介します。まとめると以下の通り。
- ジャーナリズムの形成
- 商取引や株取引の実施
- 郵便局としての利用
ジャーナリズムの形成
コーヒーハウスが果たした役割の中でももっとも大きいものとされているのがジャーナリズムの誕生です。
この頃のロンドンでは多く誕生していた新聞や雑誌といった情報がコーヒーハウスに行けば、タダで読むことができました。
また、逆にジャーナリストはコーヒーハウスに行き情報を収集していたようです。
コーヒーハウスはまさに情報を収集するネットワークだったのです。
商取引や株取引の実施
商業に関わる話も活発に行われるコーヒーハウス。
商人が情報を交換するほか商談の場としても使われていたようです。
今でもカフェや喫茶店は商談をする場として多用されているのでなんとなくイメージつく方もいるかと思います。
また今では考えづらいですが、商取引だけではなく株取引もコーヒーハウスで行っていたそうです。
情報も集まり、取引が行えるコーヒーハウスでは様々なビジネスが生まれます。
海上保険も誕生
世界でもトップクラスの規模を誇る大手保健機構のロイズは、コーヒーハウスでの情報共有と収集・商談の結果生まれたのです。
当時、船乗りが多く会場での事故やニュースが多く出回っていました。
そのため、ロイズが海上保険というビジネスに着目した背景があるとのことです。
ロイズコーヒーハウスというお店もあるらしいよ
郵便局としての利用
当時イギリスでは戸別の郵便配達制度が完全ではありませんでした。
そのため、コーヒーハウスに留め置いてもらうのような役割も担っていました。
郵便物の集配の役割もあったほか、外国への郵便物を取りまとめていたようです。
これらの理由から情報をまとめて新聞・雑誌が続々と発行され、それがコーヒーハウスの店内に置かれ無料で読めたという経緯にも繋がりますね
コーヒーハウスとカフェの違い
まず、大前提としての違いがあります。
それは発祥地です。以下のように大きく分けることができます。
- コーヒーハウス:イギリス
- カフェ:フランス
※イギリスとフランスにコーヒーが伝わって来た経緯は、はっきりとされていないようです。
ただイギリスのコーヒーハウス文化は、コーヒー豆の輸入が頭打ちになり衰退します。
フランスのカフェ文化は、18世紀に入っても活発だったとされています。
※小林章夫『コーヒー・ハウス』2000 講談社学術文庫より参照
コーヒーハウスにまるわる諸説
コーヒーハウスの歴史には、非常に多くの説があります。
ただ、共通しているのはイスラム世界からコーヒーが伝わってきたという点です。
前述した歴史のイギリス ロンドンに初めて出来たという説やイスラム世界との貿易地のヴェネツィアに初めて出来たという説と複数の説があります。
どれも決定打がなく、どの説が正しいのかというのは並行のままとのことです。
当時のコーヒーハウスの影響は大きかった!
いかがでしたでしょうか?
コーヒーハウスについて徹底解説しました!
本記事で重要なことをまとめると以下のとおりです。
- コーヒーハウスの起源は、17世紀のヨーロッパ
- イギリスはコーヒーハウス、フランスがカフェの起源
- コーヒーハウスは商・株取引の実施やジャーナリズムの形成などに役立った
当時のコーヒーハウスは、影響力が強く誰でも利用できお金さえ払えば平等に扱われ平等に話し合いに参加することが出来る場所としても普及しました。
また、当時のイギリスでの社交の場は酒の提供が一般的でしたが、酒を提供しないコーヒーハウスでのビジネス拡大や政治的影響はかなり大きなものと言えます。
コーヒーハウスの歴史や役割、カフェとの違いなど何か新しい発見を得ていただけたのであれば幸いです。
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