欠点豆ってそもそもなに?
欠点豆の種類とその焙煎後の見分け方は?
こういった疑問や要望にお答えしていきます。
風味に大きく影響する可能性があるコーヒーの欠点豆。
そもそも欠点豆はどういうものなのか、どうして味に影響してしまうのでしょうか。
この記事ではコーヒーの欠点豆について種類や見分け方を合わせて分かりやすく解説していきます。
- 欠点豆は主に10種類ある
- 欠点豆があるとコーヒーの風味に影響が出てしまう
- 丁寧なハンドピックは美味しいコーヒーの秘訣
- 欠点豆は再利用も可能
日本安全食料料理協会(JSFCA)認定のコーヒーソムリエ、げんた(@topcoffeelab)が監修。
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コーヒーを愛し続けて約10年。現在はコーヒー専門家として活動し、様々な媒体・メディアにご紹介いただいています。独自ブランドのコーヒー豆を「ラボカフェ」で販売中。
それでは早速見ていきましょう。
コーヒーの欠点豆とは?
欠点豆とは、取り除かないとコーヒーの風味に悪い影響を与えてしまう不良のコーヒー豆のことです。
焙煎の前後にハンドピックを行う際によく出てきます。
欠点豆を取り除かないとコーヒーが美味しくなくなるからだね。
生豆を100gピッキングすると、5g~10gほどの欠点豆を取り除くことが多いです。
つまり、5%~10%は捨てなければいけないこと覚えておく必要があります。
自宅などでハンドピックを行った経験がある方はわかるかもしれませんが、意外にもたくさん欠点豆が出てきます。
もちろん、コーヒー豆の品質や種類によって異なってきますが、だいたい量の値は似ているのです。
欠点豆によって風味が変化する
欠点豆を取り除かないでコーヒーを抽出してしまった場合、香りはややスパイシーな香りになる程度でそれほど違和感を感じません。
ですが味はえぐみと渋みが強く出てしまい、酸味もほとんどなく豆の良さが感じられません。
嫌な味わいが後を引いて口の中に残ってしまうのです。
欠点豆を見極める重要性が分かります。
ハンドピックとは?
冒頭で少し出てきたハンドピックについて紹介します。
ハンドピックとは、欠点豆や石、木の破片などの異物を手作業で取り除くこと。
気の遠くなるような細かい作業ですが、丁寧なハンドピックが行われているおかげで、雑味のない美味しいコーヒーが楽しめています。
ではどのような欠点豆の種類があって、取り除かないとどのような悪い影響があるのでしょうか?
次から紹介していきます。
欠点豆の種類
ここではコーヒーの欠点豆の種類とその特徴を紹介していきます。
まとめると以下の通りです。
- 欠豆
- 潰れ豆
- 貝殻豆
- 生育異常豆
- 発酵豆
- 黒豆
- カビ豆・虫食い豆
- 死豆
- パーチメント
- 古い生豆
以上の10種になります。
一つ一つ解説していきます。
欠豆
コーヒー豆の欠点豆の1種目は、欠豆になります。
精製や運搬の過程で割れてしまったり、欠けたりしてしまったコーヒー豆のことです。
風味には直接的に悪影響はありませんが、火の通りが不均一になってしまいます。
見た目も良くないため、取り除きましょう。
潰れ豆
コーヒー豆の欠点豆2種目は、潰れ豆です。
これは名前からも分かる通り、乾燥過程で踏まれたりしてしまい、潰れてしまっているコーヒー豆です。
これも同様に風味に悪影響はありませんが、欠豆と同じ理由で取り除きましょう。
貝殻豆
コーヒー豆の欠点豆3種目は、貝殻豆です。
精製の過程で中身が抜け落ちてしまったコーヒー豆になります。
貝殻豆も風味に悪影響はありませんが、 薄く焦げやすいため積極的に取り除きましょう。
貝殻豆の形はかなり特徴的だよね。
生育異常豆
コーヒー豆の欠点豆4種目は、生育異常豆です。
つまり、遺伝子異常などで正常に成長できなかったコーヒー豆です。
特徴としては、形がいびつ。
えぐみや青臭い風味の原因になるため、確実に取り除きましょう。
発酵豆
コーヒー豆の欠点豆5種目は、発酵豆です。
精製の過程で発酵の槽に長くおいていたり、槽の水が汚れていたりしたことが原因で、コーヒー豆の内部まで発酵してしまった欠点豆になります。
突き刺さるような味やすっぱみのコーヒーが出来てしまうため、必ず取り除きましょう。
側面や裏側のみなどしか発酵しておらず、部分的なものもあるため見落とさないよう注意が必要です。
黒豆
コーヒー豆の欠点豆6種目は、黒豆です。
黒豆はその名の通り、色は黒いのですが、発酵豆の一種になります。
完全に発酵しきって真っ黒になったものというわけです。
コーヒーの抽出液に1粒でも混じってしまうと、強烈な独特な臭いを発するため気をつけながらハンドピックしてください。
カビ豆・虫食い豆
コーヒー豆の欠点豆7種目は、カビ豆・虫食い豆になります。
これもその名の通り、カビや虫によりコーヒー豆の美味しさが失われてしまっている豆になります。
青くカビの生えた豆をカビ豆、虫食いの穴があるものを虫食い豆と言います。
カビ臭やえぐみ、異様な酸味などが感じられ、風味に重大な悪影響を与えるので、必ず取り除きましょう。
死豆
コーヒー豆の欠点豆8種目は、死豆です。
これは恐ろしい名前ですね。
死豆は成熟はしたものの、何らかの原因でそのあと死んでしまった欠点豆です。
理由はたくさんありますが、おそらくコーヒー豆の成長過程に原因があるのではないでしょうか?
正常なコーヒー豆と比べて、色が白っぽいだけであるため、非常に判別が難しい欠点豆です。
焙煎してもあまり色が付かず白っぽいままなので、取りこぼしていたとしても、焙煎するとすぐに判別出来ます。
パーチメント
コーヒー豆の欠点豆9種目は、パーチメントです。
聞き慣れない名前ですね。
パーチメントとは、果肉の内側にある内果皮が取り除かれずにそのまま残ってしまっている欠点豆のことです。
風味には直接的に影響はありませんが、焙煎中に燃えたりしてしまい、火の通りが不均一になる原因にもなるため、積極的に取り除きましょう。
古い生豆
コーヒー豆の欠点豆10種目は、古い生豆です。
生豆にも新鮮なものと古いものがあります。
古い生豆は黄色っぽく、水分が減りツヤがない状態となっています。
水分量が少ないため焦げやすいことも特徴。
新鮮な新しい生豆に混ざってしまっている場合、雑味の原因となる可能性があるため取り除きましょう。
古い豆は酸味も少なくなってしまうよ
その他異物
欠点豆ではないのですが、ハンドピックで取り除くべきものとして異物が挙げられます。
小石、トウモロコシ、木くずなどが混入している場合もあるのです。
異物が混入していると、コーヒーミルなどの故障に繋がってしまう可能性があるため、注意して取り除くようにしましょう。
欠点豆をチェックするタイミングと見分け方
精製方法によって変わりますが、欠点豆をチェックするタイミングが以下の3つあると言われています。
- 精製後
- 焙煎前
- 焙煎後
それぞれ解説していきます。
精製後
まずは精製後に欠点豆のチェックが行われます。
精製後は機械によるピッキングとハンドピックの2種類で行われることが多いです。
不純物や欠点豆を取り除いて、豆の大きさなどを揃えられたものが出荷されます。
焙煎前
販売されている生豆を購入した際、焙煎前にも欠点豆のチェックを行います。
特に注意すべき欠点豆は以下の4種類 。
- コーヒー以外の異物
- 発酵豆
- 虫食い豆
- カビ豆
以上の4種類は最低限取り除いておきたいものです。
生豆の状態では通常の豆より若干白っぽく見えるので、最初は難しいかもしれません。
焙煎後
最後に焙煎後の欠点豆の見分け方を解説していきます。
生豆のハンドピックでは欠点豆の種類は様々ですが、焙煎語の欠点豆のチェックは至ってシンプルです。
ポイントは、他の豆より色が薄い豆を探して取り除いていくことです。
この他より色が薄い豆は、厳密に言うと2つのパターンがあります。
- 摘み取った際に完熟でなかったコーヒー豆
- 摘み取った後に何らかの理由で死んでしまったコーヒー豆
いずれも焙煎後は正常なコーヒー豆と比べて、色が薄くなります。
そのため、見た目で見分けやすいはずです。
初心者向け
初心者の方は焙煎後にハンドピックするほうが圧倒的に効率的。
他にも、円形に欠けた豆や丸豆など焙煎後に欠点豆として出てきます。
しかしこれらの欠点豆は味に与える影響はほとんどないと言われています。
あまり神経質になって取り除かなくてもOKでしょう。
簡単に自家焙煎を始める方法
自家焙煎をこれから始めたい、興味があるという方も多いのではないでしょうか。
欠点豆を自分の手でピッキングして、自分好みの焙煎度に調整した美味しいコーヒーが楽しめることは自家焙煎ならではの魅力。
自家焙煎を始める手段としては3つです。
- フライパンで焙煎する
- 手網で焙煎する
- 焙煎専用の機械を購入する
それぞれ紹介していきます。
フライパンで焙煎する
自宅にある器具を使用してできる手軽な方法です。
準備するものは最低限、以下の5点です。
- 生豆
- フライパン
- ざる
- タイマーうちわ
それでは焙煎法を簡単に紹介します。
- ハンドピックを済ませた生豆をざるに入れて洗う
- 濡れた生豆をフライパンに入れて加熱
- 3分ほど蒸し焼きにした後、焼きムラが出ないように炒めていく
- およそ10分程度でパチパチと音がなる1ハゼが発生
- 1ハゼから2~5分で2ハゼが発生
- 音がならなくなったら火を消し、一気に冷ます
- 焙煎後のハンドピックをして自家焙煎完了
- テイスティングをして、風味のチェックを行う
フライパンでできるので、ちょっと焙煎を試してみたいという方におすすめです。
最初は難しいと感じると思いますが、楽しんで焙煎してみましょう。
手網で焙煎する
続いて紹介する手網はプロの方も使用している器具です。
手網自体の価格は安く購入できるため、こちらも手軽に自家焙煎をやってみたいという方におすすめ。
それでは焙煎法を簡単に紹介します。
- ハンドピックを済ませた生豆をざるに入れて洗う
- 濡れた豆を手網に入れ、ふたを閉める
- コンロの火を中~強火にしておき、火と距離を調整しながら加熱していく
- 2ハゼが終了し、音がならなくなったら火を消し、一気に冷ます
- 焙煎後のハンドピックをして自家焙煎完了
- テイスティングをして、風味のチェックを行う
ややコツが必要ですが、自家焙煎でしか感じられない甘い香りや、コーヒーの弾ける音が楽しめることも魅力です。
焙煎専用の機械を購入する
最後に焙煎専用の機械を購入する方法です。
焙煎専用機械は電動式と自動式がありますが、どちらも焙煎しやすくなっています。
注意点としてはやや値段が高いことでしょう。
ですがその分手間も省けますし、コーヒーの皮が舞ったり飛び散ったりしにくいため掃除も楽。
安定した焙煎でコーヒーを楽しみたい方は専用の機械を買うのがおすすめです。
焙煎法を見てみるととても簡単なように感じますが、焙煎は難易度が高く生焼けになってしまったり、焦げてしまったりと最初はうまくいかないかもしれません。
ですがいつも購入しているコーヒー豆を自分で作り上げたという感動や体験はとても素敵なものです。
欠点豆を再利用する
自家焙煎を行う場合、自分で焙煎したコーヒーが楽しめるだけでなく、ピッキングで取り除いた欠点豆を再利用できるということも魅力となります。
風味に影響が出るため取り除いた欠点豆ですが、せっかくなら再利用したいもの。
こちらでは再利用法を紹介していきます。
再利用法としては以下の2つ。
- 芳香剤・消臭剤にする
- 土の肥料にする
それぞれ詳しく見ていきましょう。
芳香剤・消臭剤にする
この方法が一番多く再利用法として使われています。
コーヒーは匂いを吸収しやすい性質を持っているのです。
そのため消臭剤としても万能。
しかもコーヒーの香りはリラックス効果も得られるため、コーヒー好きの方にとっては一石二鳥です。
芳香剤・消臭剤にする豆は香りを楽しむため、焙煎後のものがおすすめ。
そのままでもいいですし、粗めにざっくり挽くとより香りを楽しめます。
手軽に入手できるメッシュバッグなどに入れて、気になる場所に置くだけで芳香・消臭効果を得られるでしょう。
見た目が気になるという方は100均などで購入できるポットやマグにコーヒー豆を敷き詰め、花を植えるように造花などを飾れば見た目もおしゃれで、インテリア性のある芳香・消臭剤となるのでおすすめです。
土の肥料にする
植物を育てている方は、コーヒーを土の肥料にしてもよいでしょう。
コーヒーには土の状態を整える効果や、アンモニア臭の抑制、雑草抑制といった効果があるのです。
植物を育てるための肥料にするにはカフェインやコーヒーの持つ成分を分解させてから使用するため、肥料作りに1年程かかりますが、良質な資材となってくれます。
反対に雑草抑制としてはすぐに使用できるため、庭の雑草が気になる場合などに効果的でしょう。
コーヒー豆の意外な利用法ですよね
手間をかけて大切に育てられ、出荷されたコーヒー豆は欠点があるといっても、大切にしたいですよね。
ぜひ自家焙煎を始めたいと思う方は取り除いた欠点豆を再利用してみてください。
コーヒーの欠点豆をしっかり見分けよう!
いかがでしたでしょうか?
コーヒーの欠点豆について、種類から焙煎後の見分け方まで徹底解説しました!
もう一度まとめると以下の通り。
- 欠点豆は10種類
- 欠点豆が混ざっていると嫌な風味のコーヒーになってしまう
- 欠点豆を取り除くハンドピックはとても大切
- 自家焙煎は自宅で手軽にチャレンジできる
- 欠点豆は捨てずに芳香・消臭剤や肥料などにして再利用も可能
大きく分けて10種類あるコーヒーの欠点豆は以下の通り。
- 欠豆
- 潰れ豆
- 貝殻豆
- 生育異常豆
- 発酵豆
- 黒豆
- カビ豆・虫食い豆
- 死豆
- パーチメント
- 古い生豆
これらの種類の欠点豆を覚えておくと、ハンドピックした際に大きく貢献できるのではないでしょうか?
欠点豆をしっかりを見分ければ、より美味しいコーヒーを楽しめるはず。
そして欠点豆を自分で取り除いて自家焙煎にチャレンジしてみてください。
コーヒーの奥深い世界をさらに楽しんでみてはいかがでしょうか。