カスカラってどんなもの?
カスカラの活用方法が知りたい
こういった疑問や要望にお答えしていきます。
コーヒー豆を取り出す際に取り除かれるカスカラ。
そのほとんどは廃棄されますが、ここ最近これを廃棄せずに肥料や飲み物として再利用される動きが進み、注目を集めています。
本記事では、カスカラの再利用方法と特徴について解説します。
- カスカラとは、コーヒーチェリーの果肉や外皮を乾燥させたもの
- 本来廃棄されるはずのカスカラを再利用することで、持続可能性の観点で注目を集めている
- カスカラを再利用するメリットは、大きく分けて2つある
- 再利用方法として、お茶や食品の材料、肥料などがある
- カスカラをアレンジして簡単に調理ができる
日本安全食料料理協会(JSFCA)認定のコーヒーソムリエ、げんた(@topcoffeelab)が監修。
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コーヒーを愛し続けて約10年。現在はコーヒー専門家として活動し、様々な媒体・メディアにご紹介いただいています。独自ブランドのコーヒー豆を「ラボカフェ」で販売中。
それでは早速見ていきましょう!
カスカラとは?
カスカラとは、コーヒーチェリー(果実)の果肉や外皮を乾燥させたもの。
スペイン語で「殻」や「皮」を意味する「cáscara」に由来すると言われています。
コーヒー豆を取り出した後の副産物として、多く利用されておりカスカラを取り扱っているコーヒー専門店もあるくらいです。
そんなカスカラにはどんな特徴があるのか、詳しく見ていきましょう。
原料
カスカラの原料は、コーヒーチェリーの果肉部分です。
コーヒーチェリーはコーヒー豆が含まれる果実で、その中の種子がコーヒー豆となり取り除かれています。
その残った果肉や外皮がカスカラの原料となるのです。
味わい・風味
カスカラはコーヒーとは異なり、フルーティーで甘酸っぱい味わいがあります。
また、熟した果実のような甘みもあり砂糖や蜂蜜を加えなくても、自然な甘さを楽しむことができます。
ほのかな酸味と甘さのあるカスカラは、食品を加工する際にも役に立つといえるでしょう。
成分
カスカラの成分をまとめると以下の一覧のとおりです。
成分 | 特徴 |
---|---|
ポリフェノール | 抗酸化力が高く、美肌やアンチエイジング、抗炎症の効果が期待できます。 |
カフェイン | コーヒーと同じくカフェインが含まれていますが、コーヒーに比べると含有量は微量です。 |
クロロゲン酸 | コーヒーにも含まれる成分で、抗酸化作用や脂肪燃焼の促進が期待されています。 |
フェルラ酸 | 脳機能の改善効果がある成分です。 |
トリゴネリン | 抗酸化作用や、コレステロール低下作用のある成分です。 |
鉄分やカリウム | 貧血予防やむくみ解消の効果が期待できます。 |
食物繊維 | 整腸作用があります。 |
カスカラの環境問題
コーヒー豆を収穫する際、残った大量の果肉や皮は廃棄されるのがほとんどです。
廃棄されることでどういったことが問題になるのか詳しく見ていきましょう。
廃棄物が引き起こす影響
カスカラを適切に処理しないと以下のような環境汚染に繋がる可能性があります。
- 水質汚染
- 土壌汚染
- 大気汚染
順番に見ていきましょう。
水質汚染
カスカラを得る過程では、大量の水を使用されます。
果肉や皮を処理する際、適切な方法を行わないと果肉や皮の微粒子が河川や地下水に流出してしまい、水中の酸素濃度の低下や飲料水の汚染に繋がってしまいます。
土壌汚染
カスカラは生分解性が低いため、適切に処理してから廃棄しないと土壌に過剰な有機物や糖分が蓄積し、土壌の酸性化やメタンガスの発生などの汚染に繋がってしまいます。
大気汚染
大量のカスカラを廃棄する場合、焼却されて廃棄されることがほとんどですが、その際に出る黒煙や有毒ガスが大気汚染の原因になってしまいます。
カスカラを再利用するメリット
カスカラを再利用は、環境・経済のすべての面でメリットをもたらす取り組みです。
そのため、サステナビリティを重視する企業や消費者の間でますます注目を集めています。
ここでは、どんなメリットがあるのか解説していきます。
循環型経済への貢献
コーヒー生産の過程で、コーヒーチェリー全体の約50%が廃棄物になるといわれています。
しかし、カスカラを再利用することで廃棄物の量を大幅に削減でき、環境への負荷を軽減することができます。
また、カスカラを再利用した商品が市場で認知されることで、循環型社会への貢献が期待されることでしょう。
消費者だけではなく、企業も環境に配慮した取り組みを強化する動きが加速していくことで、サステナブルなライフスタイルを促進させていきます。
コーヒー農家の収益向上
普段は廃棄してしまうカスカラですが、これらを再利用することで生産者の新しい収益にも繋がります。
生産者の収益が上がることで、より高品質なコーヒー豆を栽培することができたり、コーヒー産業の活性化に貢献することができます。
カスカラの再利用は、生産者、消費者と互いにメリットのある活動といえるでしょう。
カスカラの利用方法
カスカラには様々な利用方法があり、中には商品化されているものもあります。
ここでは、そんなカスカラの利用方法ついて紹介します。
一覧にすると以下のとおりです。
- お茶として利用する
- 食品の材料として利用する
- 炭酸飲料として利用する
- 肥料として利用する
順番に見ていきましょう。
お茶として利用する
カスからの再利用として一番知られているのは、ハーブティーとして飲むことです。
カスカラティーと呼ばれる飲み物で、コーヒーチェリーのフルーティーな香りを楽しむことができます。
ポリフェノールやビタミンなど多くの栄養素が含まれており、肌の老化防止やコレステロールの低下など体にも嬉しい効果があります。
カスカラティーを取り扱っているお店もあるので、気になる方は試してみてもいいかもしれませんね。
食品の材料として利用する
カスカラは粉末状にすることで、ケーキやクッキーの生地に混ぜ込むことができます。
カスカラパウダーを混ぜ込んだクッキーやケーキは、コーヒーチェリーのフルーティーな香りを楽しむことができます。
また、カスカラを煮詰めることでジャムやシロップを作ることができます。
フルーティーな香りがするシロップは、炭酸水やミルク、レモンと一緒に合わせて楽しむのがおすすめです。
炭酸飲料として利用する
炭酸水と合わせてカスカラソーダにしてみたり、クラフトビールの原料として使用し、カスカラビールとして楽しんだりと、カスカラのフルーティーな風味は炭酸飲料にぴったりです。
株式会社坂ノ途中が運営する海外事業「海ノ向こうコーヒー」では「カスカラコーラ」を発売しています。
カスカラシロップをベースに8種類のスパイスをブレンドしたクラフトコーラで、カスカラのコクとスパイスのピリッとしたアクセントが特徴的な大人の味わいになっています。
着色料や香料は使用していないので、安心して楽しむことができます。
肥料として利用する
カスカラを堆肥化することで、コーヒー農園や他の作物の肥料として再利用することができます。
食品として利用するのが難しい場合や、大量にカスカラがある場合は、肥料として再利用するのがおすすめです。
カスカラのアレンジレシピ
ここでは、カスカラのアレンジレシピについて紹介します。
【簡単】カスカラティーの作り方
- カスカラ10g
- 熱湯250ml
- お好みでハチミツやシナモン
作り方
ティーポットにカスカラを入れる。
熱湯を注ぎ、5〜7分蒸らします。
茶こしで漉してカップに注ぎます。
お好みでハチミツやシナモンを加えて完成です。
自宅でも簡単にできるので、ぜひ試してみてください!
カスカラを利用して持続可能なコーヒー産業に貢献しよう!
いかがでしたでしょうか?
今回は、カスカラの特徴と正しい利用方法について解説しました。
本記事のポイントをまとめると以下のとおりです。
- カスカラは、コーヒーチェリーの果肉や外皮を乾燥させたもの
- フルーティーで甘酸っぱく、熟した果実のような甘みもある
- 適切な方法で廃棄しないと、水質汚染や土壌汚染などに繋がる
- カスカラを再利用することで、循環型社会への貢献やコーヒー農家の収益増加に繋がる
- 主な再利用方法は、お茶や炭酸飲料、肥料として利用される
カスカラは捨てるだけでなく、ひと手間加えるだけでこんなにも消費者や生産者にメリットを与えてくれます。
カスカラの再利用は、地球にも環境にも優しく誰でもできる方法です。
ぜひ、持続可能な環境を目指していくためにも試してみてください!