
コーヒーは肥料として活用できる?



肥料以外の活用方法はある?
コーヒーかすは堆肥の材料として利用され、土壌への直接施用も研究されています。ただし、植物に必要な肥料をそのまま置き換えられるわけではありません。
この記事では、抽出かすの性質と管理上の注意に加え、屋外での堆肥化を始める手順を整理します。
- コーヒーかすを土壌pHの調整材として一律に勧めない
- 再利用の利点だけでなく、資材・管理の費用と手間も確認する
- 酸性土壌を好む植物でも、コーヒーかすが適するとは限らない
- 堆肥化と直接施用は別の方法。配合・管理・施用条件を確認する
- 抽出後のコーヒーかすは他にも使用方法がある


コーヒー豆研究所の運営者、げんた(@topcoffeelab)のプロフィールです。
運営サイトについて
コーヒー情報サイト「コーヒー豆研究所」を運営しています。各記事の情報源や検証内容は本文をご確認ください。コーヒー豆のブランド「ラボカフェ」の情報も公開しています。
- コーヒープロフェッショナル:コーヒーの知識と抽出を教材で学べる。講座+試験コースにはテキスト・問題集・添削課題・在宅での資格試験が含まれます。キャンペーン期間中、講座+試験コースなら再試験2回分(最大1万円相当)が無料!
- コーヒースペシャリスト

:スマホでコーヒーの知識を学べる。初めての登録なら、サブスクは初回7日間980円・以降月額3,980円。Webマイページからいつでも解約可。試験・認定証の発行には別途ポイントを使います。
- コーヒーソムリエ(諒設計)

:スペシャル講座なら試験免除で2資格認定!添削5回と卒業課題1回をクリアすると、コーヒーソムリエとカフェオーナー経営士の2資格を取得できる。紙教材・オンラインのどちらにも対応。
さらにおすすめが知りたい方は「コーヒーの資格おすすめランキング16選!難易度・費用・選び方を比較」をチェック!
コーヒーかすの園芸利用で確認したい3つの性質


園芸利用を考える際のポイントは、酸度・栄養供給・水分の3点です。
- 土壌pHを下げる目的では勧めない
- 栄養成分を含んでも肥料の代替とは限らない
- 土壌の過湿・悪臭を散布だけで解決しない
土壌pHを下げる目的では勧めない
オレゴン州立大学の園芸解説では、抽出後のかすは中性に近く、土壌pHの変化も一時的と説明しています。コーヒーの酸味から、かすを酸度調整材として使えるとは判断できません。
同資料は、抽出かすを加えても、ブルーベリーや青いアジサイの生育に役立つほど土壌pHを下げられないとしています。酸性土壌を好む植物という理由だけで、かすの使用を勧めることはできません。
土壌pHを調整したい場合は、まず栽培する植物の適正範囲と現在の土の状態を確認してください。
栄養成分を含んでも肥料の代替とは限らない
前掲のオレゴン州立大学の解説では、抽出かすは窒素や少量のリン・カリウムを含むものの、植物の栄養を十分に賄う材料ではないとしています。
窒素を含むことと、植物がすぐ利用できる窒素を供給することは別です。分解中に微生物が窒素を一時的に取り込む場合もあるため、単純に追肥の代わりとは考えないでください。
堆肥化した材料でも、成分や施用量によって栄養供給は変わります。必要な肥料の種類・量は、育てる植物と土壌条件に合わせて判断しましょう。
土壌の過湿・悪臭を散布だけで解決しない
脱臭に関する性質と、土壌の排水性を改善する働きは同じではありません。抽出かすを撒けば過湿を解消できるとは判断できません。
土壌改良を扱う研究はありますが、鉢へ乾燥かすを加えるだけで通気性が良くなるという説明にはできません。
土の悪臭や過湿が気になる場合、見直す対象は水やり・排水・用土の状態です。かすの散布で臭いを隠すことを、原因への対処に置き換えないでください。
コーヒーかすを肥料として使うメリット・デメリット


ここではコーヒーカスを肥料として使用する際のメリット・デメリットを解説します。
メリット
再利用を検討する際の利点と確認点は、次の2つです。
- 抽出かすを再利用できるが、省エネ効果は処理条件による
- かすの購入費がなくても、資材・管理の負担はある
適した方法で使えるなら、普段捨てている抽出かすを材料として活用できます。
廃棄時の処理方法と、再利用時の乾燥・運搬・資材購入を含めた条件によって、必要なエネルギーは変わります。
そのため、各家庭で再利用すれば必ず省エネになるとは限りません。
後述のUCCの圃場研究は、対象の作物・時期・施用量を定めた試験です。家庭の鉢植えで同じ生育効果や肥料費の削減が得られることを示すものではありません。
デメリット
再利用に伴う負担として、次の2点もあります。
- 採用する方法に合わせて材料を集め、保管する
- 肥料として使うためには手間と時間がかかる
再利用する量と方法を決めてから材料を集めましょう。毎日出るかすをすべてためておく必要はありません。
抽出に使ったフィルターも、堆肥化の方法によって受け入れられる材質が異なります。かすだけを必ず分離するという一律の条件ではありません。
堆肥化には材料や容器を用意し、水分・温度・進み具合を管理する手間がかかります。かす自体を買わなくても、費用や作業がゼロとは限りません。
後の「コーヒーかすを肥料として使う方法」では、配合や完成判定を含む確認点を説明します。
植物の好む酸度だけでコーヒーかすを選ばない


植物が好む土壌pHと、抽出かすの肥料としての適性は別の問題です。ポイントは以下の2点です。
酸性土壌を好むことは、コーヒーかすを与えるとよく育つ根拠にはなりません。品種や土の状態を確かめず、植物名だけで利用の可否を決めないでください。
- 育てる植物の種類・品種に適した土壌pHを確認する
- 実際の土壌の状態を確認し、必要な管理方法を選ぶ
日本の土壌は一括りにできず、庭・花壇・鉢ごとに状態が異なります。市販培養土の場合は、用途や成分表示が判断材料になります。
堆肥化することと土壌pHを調整することも区別してください。堆肥にすれば、どの植物にも適した酸度になるわけではありません。
コーヒーかすを肥料として使う方法


抽出かすを堆肥の材料にする方法と、土へ直接施用する方法は異なります。配合・管理・利用条件も方法ごとに別です。
ここでは、堆肥化の際に確認する条件と、直接施用する研究を読む際の注意点を整理します。
堆肥化は配合・水分・熟成の確認が必要
腐葉土・米ぬか・抽出かすを混ぜるだけでは、完成した堆肥や肥料になるとは限りません。配合量と水分の管理が欠かせません。
屋外で排水できる容器を使う場合、材料を重ねる順番から完成判定までを次のように進めます。米国の大学Extensionによる家庭向け堆肥づくりを整理した手順です。鉢植えや、腐葉土・米ぬか・かすだけの配合では、同じ結果になるとは限りません。
| 順番 | 家庭の屋外堆肥容器での作業と確認点 |
|---|---|
| 準備 | 屋外で使う排水穴付きの容器と、枯れ葉または細かく裂いた新聞紙などの褐色材、抽出後のコーヒーかすを用意する。かすは材料全体の体積の20%以下を目安にする。 |
| 材料を重ねる | 褐色材を敷き、必要なら薄く土または完成堆肥を加える。その上にかすを置き、最後に褐色材で覆う。 |
| 水分を確かめる | 材料を握ると水が1~2滴出る程度に保つ。乾いていれば水を足し、びしょ濡れなら水を控えて褐色材を加える。 |
| 混ぜて空気を入れる | 分解を進めたい場合は2~3週間ごとの切り返しを目安にし、その都度水分と臭いを確認する。 |
| 完成を判断する | 暗い茶色で崩れやすく、土のような臭いがあり、元の材料が見分けられず、混ぜ直しても再発熱しない状態を確認してから利用を検討する。 |
かす単体を鉢へ入れる手順ではありません。堆肥が未熟な段階では植物に使わず、完成後も施用先の植物と土壌に合う量で使います。
材料と配合を確認する
オレゴン州立大学の堆肥化解説では、材料・水分・空気のバランスを重視しています。これは農場での堆肥化の解説です。
完全乾燥ではなく水分を管理する
微生物による分解には水分が必要です。乾きすぎても湿りすぎても条件が悪くなるため、抽出かすを必ず完全乾燥させるのではなく、採用する方法の水分管理に従ってください。
発熱と完成を区別する
温かくなったことは分解中の目安であり、すぐ使えるという判定にはなりません。同大学は、熟成した堆肥の目安として、暗い色で崩れやすく土のような臭いがあり、切り返しても再び発熱しない状態を挙げています。
期間だけで使用を決めない
1~3か月経ったことや発酵食品のような香りだけで完成とは判断できません。材料・規模・温度・管理方法により進み方が異なります。完成状態や植物への使い方を確認できないものを、苗や鉢へ投入しないでください。
土壌へ直接施用する研究との違い
土壌への直接施用も研究されていますが、家庭の鉢へ無条件に撒く方法とは区別してください。
UCCと近畿大学の研究は、コムギ・ダイズの畑で、施用量と時期を定めて抽出かすを土の表面へ施したものです。脱臭剤や除湿剤としての家庭利用を検証した試験ではありません。
この研究から、手元の植物に適した散布量や肥料の代替量は決められません。植物の種類と土壌条件に合う管理方法を選んでください。
乾燥したかすであっても、施用量や植物への適合性の確認は省けません。
コーヒーかすを肥料にする際のポイント


コーヒーかすを肥料として使うには、注意したいポイントがあります。
今回ご紹介するポイントは以下の2点。
- 堆肥化では適切な水分を維持する
- 直接施用の研究を、家庭の鉢へ無条件に当てはめない
材料として再利用できることと、そのまま植物へ与えてよいことは別です。抽出かすがあるからといって、毎回土へ投入する必要はありません。
保管中のかすと、管理しながら堆肥化している材料は区別してください。堆肥化に必要な水分を、カビ防止のためにすべて除くという説明は適切ではありません。
また、コーヒーかすを多量に使用すると土壌の窒素飢餓を引き起こしたり、コーヒーかすに含まれる発芽阻害物質が作用してしまう恐れもあります。
利用前のポイントは、堆肥化の管理条件と完成状態、施用先の植物・土壌・量です。
肥料以外にもある!抽出後のコーヒーかすの使い方


園芸以外にも、脱臭と染色に利用する例があります。使用条件はそれぞれ別です。
- 消臭・脱臭剤として使う
- 染色に使う
消臭・脱臭剤として使う
UCCの活用例では、抽出かすを脱臭に使う方法を紹介しています。未使用の豆とは区別し、対象の臭いや置き場所によって使い方を変えるのがポイントです。
同記事では、湿ったかすと乾燥したかすの使い方を分けています。
- 湿ったまま置く
- 乾燥させた状態で置く
湿ったかすは水気を切り、換気の悪い場所での使用を避けます。カビや悪臭が出たものを使い続けないでください。
乾燥したかすでも、長期間の効果やカビが発生しないことは保証できません。加熱乾燥は機器や容器の使用条件を確認し、乾燥のために一律のフライパン加熱を勧めることは避けます。
以下は関連する商品カードです。容器を使えば脱臭効果や保存期間が延びるとは限りません。




染色に使う


UCCには抽出かすを使った染色の実施例があります。
仕上がりは、染める素材・染液の濃さ・下処理・時間で変わります。紙と布を同じ手順で扱ったり、薄茶色に仕上がると一律に保証したりすることはできません。
インスタントコーヒーを溶かした液、未使用の粉から抽出した液、かすを煮出した液では条件が異なります。材料と濃度が指定された方法を参照してください。
浸けて取り出すだけで染色が完成するとは限らず、水洗いや色止めの適否も素材によります。
加熱を伴う方法では、容器・袋・素材の耐熱性も確認してください。染色を扱う関連記事は以下です。


コーヒーかすの園芸利用は条件を確認しよう


抽出かすの園芸利用では、研究の条件と家庭での使い方を区別し、配合や管理方法を確認することが大切です。
本記事の重要ポイントをまとめると以下の通り。
- 土壌pH・栄養供給・排水性への影響は、それぞれ条件を分けて確認する
- 再利用が必ず省エネ・無料になるとは限らず、資材と管理の負担も考慮する
- 酸性土壌を好む植物でも、コーヒーかすが適するとは限らない
- 堆肥化と直接施用は別の方法。配合・管理・施用条件を確認する
- 抽出後のコーヒーかすは他にも消臭や脱臭剤として使ったり、染色に使うことができる
再利用は、管理できる量と用途の範囲で行いましょう。植物に合う方法を確認できない場合は、無理に肥料へ転用しないことも選択肢です。
ほかの再利用方法については、以下の記事をご覧ください。




\ 約1分でぴったりの1杯を見つけよう /
コーヒー豆研究所の記事を根拠に、関連情報と一緒に回答します。
この機能の利用にはJavaScriptが必要です。














