コーヒーって眠気覚ましに効くって本当なのかな?
コーヒーが眠気覚ましに効くならおすすめの飲み方が知りたい!
こういった疑問や要望にお答えしていきます。
コーヒーが眠気覚ましに効くというのは有名な話ですよね。
そこで本記事では論文を用いて、コーヒーが眠気覚ましに効く理由とその飲み方について解説します。
- コーヒーの眠気覚まし効果は、コーヒーに含まれるカフェインによるものが大きい
- コーヒーの眠気覚ましが効かない理由としては、甘いコーヒーやカラダの慣れが挙げられる
- 覚醒はするが、疲労が無くなったわけではない
日本安全食料料理協会(JSFCA)認定のコーヒーソムリエ、げんた(@topcoffeelab)が監修。
続きはこちら
コーヒーを愛し続けて約10年。現在はコーヒー専門家として活動し、様々な媒体・メディアにご紹介いただいています。独自ブランドのコーヒー豆を「ラボカフェ」で販売中。
それでは早速見ていきましょう!
コーヒーの眠気覚まし効果は嘘?本当?
「コーヒーを飲むと眠れなくなる」「眠気覚ましにコーヒーを飲む」
そういった話を聞いたことはないでしょうか。
本来なら眠い時に眠りたいけれど、そうもいっていられない場面がありますよね。
そんなときにコーヒーが本当に役に立つのかどうかを詳しく解説していきます!
効果を感じないという人もいるけれど…どういうことなんだろう?
コーヒーが眠気覚ましに効くと言われている理由
コーヒーが眠気覚ましに効くと言われている理由は主に、コーヒーに含まれているカフェインにあります。
カフェインの覚醒作用については東京福祉大学の論文に以下のような記述が見つかりました。
コーヒー/カフェイン摂取と精神運動機能について、これまでの知見を総括した。カフェインの摂取は覚醒度や注意・集中力の維持や有酸素運動の向上に有益で、その有効性は50 mg (コーヒー換算で1杯)以上で現れる。
日常生活の中におけるカフェイン摂取-カフェインの精神運動刺激作用と行動遂行-
また、逆説的になりますが、同じ論文内に睡眠とカフェインの関係においてこのような記述も見つかっています。
カフェインの精神運動刺激作用は睡眠に悪影響を及ぼすことは確かである。この知見は、カフェイン摂取量の減少で睡眠の改善(睡眠潜時の短縮、深睡眠の増加)が図られ、交代勤務や夜間の長距離運転、時差ぼけ時のような集中力の維持が求められる状況では、コーヒー/カフェイン摂取は有益性を発揮することを示唆している。
コーヒー/カフェイン摂取と生活 : カフェインの精神運動刺激作用と行動遂行
つまり、いい意味でも悪い意味でもカフェインは睡眠に影響を及ぼすということです。
ではなぜカフェインを摂取すると眠気が覚めるのでしょうか?
体内におけるカフェインのはたらき
カフェインが体内に入ると、眠気を起こす物質「アデノシン」を脳内でブロックするはたらきをします。
アデノシンとは、脳内で受容体と結合し覚醒した神経を落ち着かせ眠気をもたらす物質です。
このアデノシンとカフェインは形がよく似ているため、カフェインがアデノシンの受容体と結合することでアデノシンによる眠気を起こしにくくしてくれます。
これがコーヒーに含まれるカフェインによる眠気覚ましのメカニズムです。
カフェインの効果については「コーヒーに含まれるカフェイン効果とは?摂取量の目安からおすすめまで」の記事を参考にしてください。
コーヒーが眠気覚ましに効かないと言われている理由
そのようにしっかりとした眠気覚ましの根拠がある一方で、「コーヒーを飲んだけれど眠気覚ましに効果を感じなかった」という人を見たことはありませんか?
もしかしたらあなた自身も同じような経験をしたことがあるかもしれません。
それにはいくつかの理由が考えられるため、以下で詳しく解説していきます。
甘いコーヒーは逆効果
あなたは眠気覚ましのコーヒーに砂糖を入れていませんか?
「午後の仕事を頑張るために甘い缶コーヒーを一杯…」
実はこれが逆効果になっているかもしれません。
糖分を摂ると脳が活性化すると思ってたんだけど…
甘い缶コーヒーやチルドカップのコーヒーにはたくさんの糖分が入っています。
一度に多くの糖分を摂取すると体内の血糖値が急激に上昇し、それを下げようとインシュリンがはたらくため今度は血糖値が一気に降下するのです。
この血糖値の乱高下は人に眠気をよぶ原因となります。
甘いコーヒーは美味しいけれど、眠気覚ましのために飲むならブラックを選びましょう。
どうしても甘いコーヒーが良いときは、血糖値が急上昇しないようにゆっくり飲むといいみたいだよ!
カフェインの過剰摂取による慣れ
「最初はコーヒーの眠気覚まし効果を感じていたけど最近効かなくなってきた」という人はカフェインにカラダが慣れてしまった可能性があります。
アデノシンは人に眠気を呼びますが、それは疲れたカラダを休ませるためであり、人にとって重要なはたらきでもあるのです。
その働きをずっとカフェインで阻害していると、カラダを休息させるために脳はアデノシンの受容体を増やし始めます。
そうすると今までのカフェイン量では効果を感じなくなってしまうのです。
ここぞという時だけ頼るのが良さそうだね。
1日のカフェイン摂取量が気になる方は「【最新】コーヒーのカフェイン量はどのくらい?その効果と副作用も解説」の記事をチェック!
過度な疲労の蓄積
上記の内容とつながりますが、コーヒーの覚醒効果はけしてカラダの疲労を回復してくれているわけではありません。
あくまで、一時的に眠気を感じにくくするためのもの。
また、カフェインはやる気を引き出すアドレナリンやコルチゾールの分泌を促してくれますが、これらの物質が増えすぎるとかえって疲労の原因となってしまいます。
カフェインを摂っても眠気やだるさが取れないという場合は、もうカフェインで無視できないほどの疲労が溜まっている可能性もあるのです。
そんなときはカフェインで無理に目を覚ますのではなく、キチンと休息や睡眠を挟むようにしましょう。
頑張ることも必要だけど、無理は百害あって一利なし!
眠気覚ましに効果的なコーヒーを飲むタイミング
コーヒーはいつどのタイミングで飲むのかによって、眠気覚ましの効果の感じ方が変わってきます。
ここでは、眠気覚ましとしてコーヒーを飲むのにベストなタイミングを理由とともに解説していきます!
カフェインがピークになるまでの時間
カフェインは体内に入ると約30分程度で脳内に到達し、徐々に効果を感じはじめます。
また、血中濃度もこの時間帯がピークとなるようです。
カフェインによる効果を感じたい場合は、そこから逆算をして飲むようにするとよいでしょう。
カフェインが半減するまでの時間
一方、カフェインが体内から半減するには約4〜6時間の時間を要します。
カフェインには眠気を覚ますだけでなく、睡眠を浅くする効果もあるのだそうです。
そのため深く睡眠をとりたいときなどは、極力眠る4〜6時間前にコーヒーを飲むのをやめておいたほうがいいかもしれません。
眠気覚ましにベストなタイミング
それでは一日を通して、どのタイミングでコーヒーを飲むのが効果的なのかを、時間帯別に紹介していきます!
朝
コーヒーは朝の目覚めの一杯として習慣的に飲んでいる人も多いかも知れません。
しかし、その時間によっては逆効果となっているかも!
朝の目覚めには「コルチゾール」というホルモンが関係しています。
このコルチゾールには、覚醒効果ややる気をアップさせてくれる作用があります。
このコルチゾールは朝6時頃から分泌され始め、8〜9時頃にピークを迎えるのです。
このタイミングでコーヒーを飲んでしまうとコルチゾールの分泌が阻害され、コルチゾールの持つ作用を低下させてしまう可能性があります。
そのため、もし朝にコーヒーを飲むのであれば、コルチゾールの分泌リズムから考えると9時半以降がおすすめです。
朝のコーヒーについては「【論文付き】朝コーヒーのメリット・デメリット!おすすめの飲み方も紹介」の記事を参考にしてください。
昼
あなたがオフィスで昼に仮眠をとる習慣があるのであれば、起きた後に飲むよりも寝る前に飲むことをおすすめします。
その理由は、カフェインが血中濃度でピークとなって効果を感じられるまでに約30分程度の時間を要するから。
仮眠であればおそらく20〜30分程度といった人が殆どなのではないでしょうか。
寝る前に飲んでおくことで、起きる時間頃にちょうどカフェインが効いてくる計算となるのです。
カフェイン効果でスッキリとした目覚めになります!
夜
夜コーヒーを飲むことは、睡眠の質を考えるとあまりおすすめできません。
覚醒作用を持つカフェインは、体に排出されるまでに個人差はあるものの、約5〜7時間ほどかかってしまうそうです。
半減するまでにも4〜6時間かかってしまうんだったね。
そのため、その間に飲んでしまうと入眠しづらくなったり睡眠の質が下がってしまう恐れがあります。
寝る時間は人やその日によっても違うとは思いますが、午後にコーヒーを飲むときはなるべく入眠時間を意識しておいたほうが良さそうです。
夜のコーヒーについては「夜にコーヒーを飲むメリット・デメリット!飲みたい時の対処法とは?」の記事を参考にしてください。
リラックス効果も期待できる
とはいえ、コーヒーの持つ香りにはリラックス作用があるのも事実。
香りによる効果を得たいのであれば、カフェインレスコーヒーやデカフェという選択肢もあります。
コーヒーのリラックス効果については「コーヒーにはリラックス効果がある?落ち着く理由からおすすめまで」の記事で詳しく解説しています。
眠気覚ましに効果的なコーヒーの量
眠気覚ましに効果的なコーヒーの量は、冒頭のほうで紹介した論文によると約一杯程度でいいそうです。
一日あたりの目安摂取量は日本では定められていないものの、よく基準とされているカナダ保健省のデータでは健康な成人の場合、1日あたり400mgのカフェインが目安とされています。
抽出方法や豆の焙煎度合いなどによってカフェイン含有量は変わるものの、おおよそ3杯前後のコーヒーを目安にするとよいかもしれません。
眠気覚ましにおすすめのコーヒー
コーヒーは焙煎度合いや抽出方法によって、含まれる成分や成分量が変化します。
そこでここでは、眠気覚ましに有効な成分であるカフェインが1番含まれるコーヒーについて解説していきます!
焙煎度合い
眠気覚ましにコーヒーを利用するのであれば、焙煎度合いは浅めのものがおすすめです。
カフェインは、焙煎が進めば進むほどその含有量が減っていきます。
また、深煎りにすると見た目は大きく見えますが、豆の一粒あたりの重量が軽くなります。
そのためもし抽出にスケールではなく計量スプーンを利用しているのであれば、必然的に深煎りの豆の方が一杯あたりの使用量が少なくなるのです。
もしどうしても深煎りの方が好みであれば、抽出の際の計量はスケールを使用することで豆の総量が増えるためカフェイン量を増やすことが出来ます。
抽出方法
抽出方法によるカフェインの含有量は、多い方から順番にドリップ、インスタント、エスプレッソとなります。
エスプレッソが1番カフェイン量が少ないのは意外な結果かも!
エスプレッソは一回あたりの豆の使用量が他の抽出方法に比べて少なく、さらに深煎りの豆を使用しているためカフェインの含有率が低めになるのです。
また、今ではこれら以外にも敢えてカフェイン含有量を増やした缶コーヒーなども販売されています。
ドリップする時間がないという方はそういった商品を利用するのもいいかもしれません。
眠気覚ましにおすすめのコーヒーが知りたい方は、以下の記事をチェック!
コーヒーを眠気覚ましにする際によくある質問&回答
ここではコーヒーを眠気覚ましにする際によくある質問とその回答を紹介します。
- 牛乳を混ぜてもOK?
-
牛乳を混ぜるとカフェインの吸収スピードがおだやかになり、カフェインの効果が発揮されるまでの時間もゆっくりになります。
そのため極力早くカフェインの効果が欲しい場合はブラックで飲むのが良いでしょう。
ただし仮眠の時間を長めにとりたい場合や、急激な覚醒効果ではなく穏やかな覚醒効果を求めるのであれば牛乳を混ぜるのがおすすめです。
- アイスとホットはどっちがいい?
-
アイスとホットでは、カフェインの血中濃度が高まるスピードが2倍ほど違います。
ホットが30分程度で血中濃度のピークを迎えるのに対し、アイスの場合は約1時間程度かかるのです。
そのため、早い効果を望むのであればホットで飲むのがいいでしょう。
- 缶コーヒーやインスタントコーヒーは効果ある?
-
抽出方法の項目で触れたとおり、インスタントコーヒーや缶コーヒーでもカフェイン自体は含まれています。
特に缶コーヒーはカフェインを強化したものなども販売されています。
しかし、缶コーヒーの場合は糖分に注意が必要です。
甘い缶コーヒーは血糖値の乱高下を招き、かえって眠気を誘発する可能性があります。
眠気覚ましに効果的なコーヒー以外の飲食物
ここまで主にコーヒーの眠気覚まし効果について解説をしてきましたが、コーヒー自体が飲めないという方も少なくはありません。
そこで、コーヒー以外にもカフェインが含まれている眠気覚ましに効果的な飲食物をいくつか紹介していきます。
それが以下のとおり。
- 紅茶
- エナジードリンク
- 緑茶
- チョコレート
それでは順番にみていきましょう!
紅茶
紅茶は100mlあたりに30mgと、コーヒーの約半量程度のカフェインが含まれています。
また、紅茶に含まれるテアニンやタンニンはカフェインの働きを抑制する作用があるため、胃への刺激が気になる方や穏やかな効果を求める方は紅茶を選ぶとよいでしょう。
コーヒーと紅茶を組み合わせた「鴛鴦茶」という飲み物もあります。
気になる方は「コーヒーと紅茶を混ぜた鴛鴦茶とは?それぞれのカフェイン量も紹介」の記事をチェック!
エナジードリンク
コーヒー以外でカフェインを多く含む飲み物で連想するのはやはりエナジードリンクではないでしょうか。
エナジードリンクのカフェイン含有量は商品や量によって大幅に差があるものの、眠気覚ましに特化した商品であれば1本あたり120mg程度です。
カフェイン含有率の高さはもちろん、糖分が多く含まれているものも多いため1日1本を目安にするのがよいでしょう。
緑茶
通常の煎茶一杯あたりのカフェイン含有率は20mgと紅茶よりやや少なめです。
しかしこれが玉露となると、そのカフェイン含有率は160mgにまで跳ね上がります。
とはいえ玉露は高級緑茶のため、中々飲む機会がないのがデメリットです。
チョコレート
チョコレートの原料であるカカオにもカフェインが含まれています。
カカオ70%以上のダークチョコレートであれば100gあたりに80mgのカフェインが入っています。
しかしミルクチョコレートになるとその含有率は20mg程度になるため、眠気覚ましでチョコレートを食べるならダークチョコレートがおすすめです。
でも糖分も入っているから食べすぎには注意だよ!
コーヒーとチョコレートの関係性については「コーヒーとチョコレートの相性が良い理由は?おすすめのギフトも紹介」の記事をチェック!
コーヒーの眠気覚まし効果を上手く利用しよう!
いかがでしたでしょうか?
ここまでコーヒーの眠気覚ましの効果の根拠や、効果的な飲み方に至るまでを徹底的に解説してきました。
本記事で重要なことをまとめると以下の通りです。
- コーヒーの眠気覚まし効果は、コーヒーに含まれるカフェインによるもの
- コーヒーの眠気覚ましが効かない理由には甘いコーヒーやカラダの慣れが考えられる
- 目は覚めるが、疲労が無くなったわけではない
- 飲むのに効果的なタイミングや、逆に避けるべきタイミングがある
- 焙煎度合いや抽出方法によってもカフェイン量が変わる
- 牛乳を混ぜたりアイスにしたりすると、効果の出方が穏やかになる
- コーヒー以外にもカフェインを含む飲食物がいくつかある
テレワークというスタイルも大分定着してきた現代、自宅で仕事をする際の眠気対策としてコーヒーを用意している人もいらっしゃるでしょう。
もしその際に効果を感じなかったり、より効果を感じたいときは是非この記事を参考にしてくださいね!
そして休息も忘れないようにしましょう!
またコーヒーを飲んで逆に眠くなってしまうという方もまれにいます。
そんな方は「【論文から解説】コーヒーを飲むと眠くなる?その原因と対策方法を紹介」の記事を参考にしてください。