コーヒー豆ができる過程を知りたい。
コーヒーの実とは?
こういった疑問や要望にお答えしていきます。
コーヒー豆ってそもそもコーヒーの実から成っていますが、その成長過程や育成方法が気になりますよね。
そこで本記事では、コーヒーの実・コーヒーチェリーについて味の特徴から過程まで紹介!
- コーヒーの実の中の様子
- コーヒーの実の収穫期
- コーヒーの実がコーヒー豆になるまでの過程
- カフェで飲めるコーヒーチェリーのドリンク
日本安全食料料理協会(JSFCA)認定のコーヒーソムリエ、げんた(@topcoffeelab)が監修。
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コーヒーを愛し続けて約10年。現在はコーヒー専門家として活動し、様々な媒体・メディアにご紹介いただいています。独自ブランドのコーヒー豆を「ラボカフェ」で販売中。
コーヒーの実・コーヒーチェリーとは?
普段、皆さんが何気なく飲んでいるコーヒーはどのような植物か知っていますか?
コーヒーは、「コーヒーの実の種」なのです!
またコーヒーの実のことをコーヒーチェリーと呼びます。
あの褐色のコーヒー豆からは想像できないのですが、コーヒーの木は白い花を咲かせた後、数ヶ月後には丸い、真っ赤な実をつけるのです。
この実が「サクランボ」に似ていることから、コーヒーの実=コーヒーチェリーとされるようになったと言われています。
コーヒーの実の中はどうなっている?
コーヒーの実は、2つの種が実に覆われています。
まるでぶどうのように、外の皮と果実の中心に種があるのです。
ここでは、コーヒーの実の中がどうなっているのか、イラストで紹介します。
断面図を実際の写真とイラストで紹介
コーヒーの実には通常、コーヒー豆が2つ入っています。
コーヒー豆は実の中に、コーヒー豆の平たい面が対になる形で入っています。
中心で縦に切った断面図
こちらのイラストは、コーヒーの実を中心で縦に切った断面図です。
コーヒーの種にたどりつくまで、何層にもなっています。
コーヒーの実のどの部分がコーヒー豆になる?
先ほど紹介した断面図でコーヒー豆になるのは、中心の種子の部分です。
果実から種子を出すと、種子に薄い皮がついています。
多くのコーヒー豆の加工の際、薄皮のついた豆だけを取り出して乾燥させます。
この時の状態を「パーチメントコーヒー」といい、最終的にパーチメントコーヒーを脱穀したのが、コーヒーの生豆です。
薄皮を剥がした状態
コーヒーインストラクターの講習の際、パーチメントコーヒーから薄皮を剥がす体験をしたので、写真を紹介します。
薄皮をとると、生豆が出てきます。
コーヒーの実「コーヒーチェリー」はどのような場所で栽培されているのか
一般的に、スペシャルティコーヒーとして飲まれているコーヒー(アラビカ種)の栽培に適している環境は、以下のとおりです。
コーヒー(アラビカ種)の栽培に適している環境
- 18〜20℃
- 1400〜2000mmの雨量
2020年の東京の降水量は1590mmでした。
十分な雨量と気温がコーヒー栽培の条件
一方、実際に一部でコーヒー栽培がおこなわれている、沖縄県名護市の同年の降水量は2668mmでした。
本州の東京の環境はコーヒー栽培に適さないため、コーヒー豆は生産されていません。
こちらの数字から、十分な雨量と気温がコーヒー栽培の条件であることがわかります。
実がなるコーヒーの木にも花が咲く
実は、コーヒーの実がなる前にコーヒーの木には、花が咲くのです。
ここでは、どのような花がコーヒーの木に咲くかを紹介します。
どんな花が咲く?
コーヒーの木には、白い花が咲きます。
植えられて3年ほどで、コーヒーの木に花が咲き、やがてコーヒーの実ができます。
花は2日ほどで枯れてしまうらしいよ!
どんな香り?
コーヒーの木に咲く、白い花はどのような香りがするのでしょうか?
私は、コーヒーの木を実際に見たことがあり、花の香りを嗅いだことがあります。
なんと、ジャスミンのような甘い香りがしました!
普段飲んでいるコーヒーからは想像できない!
より詳しくコーヒーの木・花について知りたい方は、以下の記事をチェック!
コーヒーの実の収穫時期
一般的にコーヒーの木は、冬の時期に実の収穫時期を迎えます。
コーヒーの木は雨季に花を咲かせた後、実が色づき収穫されます。
例えば、北半球のエチオピアでは9〜2月に収穫期を迎えます。
一方、赤道直下のインドネシアでは雨季と乾季の区別がないため、ほぼ通年に渡ってコーヒーの実を収穫することができます。
コーヒーの収穫時期は、生産国の環境や天候によって左右されます。
それぞれの産地の特徴については「コーヒー豆の特徴とは?種類や産地で変わる味の違いから選び方まで」の記事で詳しく解説しています。
コーヒーの実は熟すとどうなるのか?
コーヒーの実は、熟すとチェリーのような赤色になります。
他の果物が、実のなりたては緑で熟すと色づくように、コーヒーの実も最初は緑です。
緑だった実が徐々に色づき、赤色となると収穫してもよい時期です。
ちなみに、熟しすぎると黒くなります。
味の特徴とは?実際に食べてみた!
コーヒーの実の体積のうち実なのはほんの一部で、ほとんどがコーヒー豆となる種です。
実はわずかですが、さくらんぼのような食感でみずみずしいです。
さくらんぼのようで少し青っぽい味でした。
果実がフルーツのような味だから、フルーティーな香りのコーヒーができるのかも!
コーヒーの実はどのような過程でコーヒー豆になるのか
収穫されたコーヒーチェリーはたくさんの工程を経て、生豆へと加工されます。
コーヒーの実から生豆を取り出す工程は、産地によって数種類あります。
今回は、コロンビアやグアテマラでおこなわれている、水洗式という工程を紹介します。
1. 収穫
緑から赤になり、熟したコーヒーの実だけを収穫します。
収穫の方法は、以下の2つです。
- 人手による収穫:傾斜が激しい地域では、人の手で一粒ずつコーヒーの実を摘みます。
- 機械による収穫:平坦で広大な地域では、大きな機械で枝を震わせて収穫します。
収穫の方法は2つあり、どちらを選ぶかは地理的な条件や農園の規模で決まります。
2. コーヒーの実からコーヒー豆を取り出す
収穫されたコーヒーの実は、機械で精選されます。
まずは、水を使って洗いながら、コーヒーの実を取り除きます。
3. コーヒーの生豆を洗う
コーヒーの実を取り除いた後は、コーヒー豆の周りについている粘液質を洗って取ります。
酵素の力で粘液質を取り除いた後は、水を使って機械や水路で洗います。
4. コーヒーの生豆を干す
ここまでで精選されたコーヒーは、お米で言うと玄米の状態です。
あと1枚の層が剥がれると、生豆の状態になります。お米で言うと白米です。
薄皮1枚を残した状態で、コーヒー豆を2〜3週間天日干しした後、ドライヤーで仕上げます。
5. コーヒーの生豆の薄皮を取る
乾燥がおわった後、コーヒーの生豆に残った薄皮を機械で脱穀します。
脱穀し終わると、そのまま焙煎できる生豆になります。
6. 焙煎する
焙煎して茶色になると、馴染みのある茶色のコーヒー豆になります。
焙煎による化学変化で、甘みやコク、苦みの香りが生まれます。
8段階の焙煎度合い
このように多くの工程を経て、コーヒー豆は精選されます。
精選された後、グレード分けや欠点豆のピッキングを行い、消費国へ輸出されます。
他の処理方法が知りたい方は「コーヒー豆のナチュラルとは?運命が分かれる3つの処理方法を紹介」の記事をチェック!
コーヒーの実は再利用できる
コーヒーの精選の過程で取り除かれる、コーヒーの実。
コーヒーの実は果実が少なく、再利用の手段が少ないと言われています。
ある生産国では、肥料にしとして再利用しています。
また、殻を乾燥させて茶にしたり煮出したり、飲み物として再利用する場合もあります。
コーヒーを生産する際の副産物であるコーヒーの実は、さまざまな方法で再利用されています。
現状コーヒーの実の再利用はあまりないですが、豆を砕いてコーヒーを淹れた際に出る、かすを使った再利用方法については「コーヒーかすのおすすめ再利用方法11選!具体的なやり方も紹介」の記事をチェック!
【コーヒーの実の味が気になる方必見】カフェで飲めるコーヒーチェリーのドリンク
エチオピアやイエメンといった、古くからコーヒー栽培がおこなわれている地域では、コーヒーの実を煮出した飲み物がよく飲まれています。
ブルーボトルコーヒーでは、コーヒーの実を煮出してソーダで割った「コーヒーチェリー フィズ」という飲み物を、季節限定で提供しています。
実際に飲んでみたところ、爽やかな甘みとチェリーの酸っぱい香りに驚きます。
味は、あんずに少し似ているかも?
手軽にコーヒーチェリーの味を試してみたい方は、ぜひ飲んでみてください。
コーヒーの実である「コーヒーチェリー」が美味しい一杯に繋がる!
いかがでしたでしょうか?
コーヒーの実・コーヒーチェリーとはそもそも何かということから、味の特徴から過程まで解説しました!
今回の記事で重要なことをまとめると、以下のとおりです。
- コーヒー豆はコーヒーの実の種
- コーヒー豆は雨量と気温が十分にある地域で栽培されている
- 多くの精選工程を経て生豆になる
- ブルーボトルコーヒーの「コーヒーチェリーフィズ」でコーヒーの実を味わえる
コーヒーチェリーが、一杯の美味しいコーヒーに繋がります。
普段飲んでいるコーヒーは、コーヒーの実の種です。
そんな一面も知りながら、コーヒーライフを楽しみましょう!