ティピカ種ってどんな特徴があるの?
ティピカ種のおすすめを知りたい!
このような疑問にお答えしていきます。
ティピカ種は、コーヒー豆の3大原種であるアラビカ種に属する品種ですが、様々な特徴があります。
そこで今回はティピカについての歴史やおすすめを徹底解説!
- ティピカは歴史が古く、アラビカ種の原種に最も近い品種
- ティピカ種の味は、マイルドな酸味とフルーティーな香りが特徴
- ティピカ種を使った銘柄は、ブルーマウンテンとコナが有名で高級
日本安全食料料理協会(JSFCA)認定のコーヒーソムリエ、げんた(@topcoffeelab)が監修。
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コーヒーを愛し続けて約10年。現在はコーヒー専門家として活動し、様々な媒体・メディアにご紹介いただいています。独自ブランドのコーヒー豆を「ラボカフェ」で販売中。
それでは早速見ていきましょう!
コーヒーの人気品種「ティピカ」とは?
コーヒー豆の3大原種とは、アラビカ種・ロブスタ種・リベリカ種のことを指しますが、それぞれの品種には派生してできた品種が存在し、ティピカはこの中のアラビカ種に属します。
ティピカは古い歴史があり、アラビカ種の原種に最も近いと言われています。
ティピカの由来は、スペイン語で「典型的な」「標準的な」という意味を表しています。
生豆はやや細長く大きめの形状なのが特徴です。
アラビカ種については「コーヒー豆のアラビカ種とは?特徴や種類の違いについて徹底比較!」の記事で詳しく解説しています。
ティピカ種は最も古い品種
アラビカ種には様々な品種がありますが、古くから存在するティピカは歴史が最も長い品種と言われています。
ティピカはサビ病や病虫害に弱いため、生産が難しくティピカ種100%のコーヒー豆はほとんど市場に出回っていません。
生産が困難な品種のため、ティピカ種を原種とし、あらゆる地域で品種改良を行い生産性が高く管理しやすい品種を作る動きがあります。
しかし、近年ではジャマイカ産の有名銘柄であるブルーマウンテンでも使われているティピカ種の持つ上品な味わいや、高級コーヒー市場への参入を目指して、ティピカ種の栽培をはじめる農家も増えてきています。
近い将来ティピカ種のコーヒーがもっと身近なものになりそうですね。
ティピカ種の特徴
ティピカ種は主に中央アメリカで栽培されています。
比較的コーヒー豆のサイズは大きめです。
味わい
エレガントな甘味と酸味が特徴的で、透明感のあるフローラルな香りが魅力です。
基本的に標高が高いところで生産されたものは、香りが高く強めの酸味としっかりとした力強い味わいになります。
一方、標高が低いところで生産されたものは、控えめなコクとまろやかな酸味で飲みやすい味わいと言われています。
ティピカから派生したコーヒー豆
ティピカ種から派生した品種はたくさんありますが、その中でも代表的なものをいくつか紹介していきます。
まとめると以下のとおりです。
- スマトラ種
- マラゴジッペ種
- ブルボン種
- ケント種
順番に解説します。
スマトラ種
スマトラ種はインドネシアにあるスマトラ島マンデリンで発見された品種です。
マンデリンは高級銘柄としても有名で、そのほどんどがティピカ種100%のものを使用していることから、専門店ではティピカ種と表記し販売されることもあります。
生産がしやすく、大きめのサイズ感の豆が特徴で、しっかりとしたコクと苦味、大地を感じさせるような風味がある魅力的な味わいです。
マンデリン、スマトラの特徴は以下の記事で詳しく解説しています。
マラゴジッペ種
1870年にブラジルで発見されたティピカ種の突然変異種で、発見された地域名から名付けられました。
豆は大きく、木や葉もすべて大ぶりなのが特徴。
樹高が高いため収穫が難しく、生産が難しいと言われる品種です。
ブルボン種
現在のレユニオン島である、ブルボン島で発見されたティピカ種の突然変異種です。
豆は小粒で丸みを帯びています。
特有の甘味があり、濃厚でまろやかな味わいです。
ブルボン種については以下の記事で詳しく解説しています。
ケント種
ティピカ種の突然変異種で、1920年代にインド・マイソール地方のロバート・ケント氏の農園で発見されたことからケント種と名付けられました。
まろやかな酸味があり、ブルボン種に似た味わいが特徴的で、サビ病への耐性があるため比較的栽培しやすい品種です。
現在は主にタンザニアで栽培されています。
ティピカ種の歴史
ブルボン種と並んで古くから存在するティピカ種は、15世紀~16世紀頃に、エチオピアからイエメンに伝わったと考えられています。
その後、ティピカ種は世界の国々に伝えられていきますが、ここではその過程を紹介していきます。
ティピカのはじまり
1670年、コーヒー発祥の地とも言われているイエメンからインドにコーヒーが伝わりました。
そして約30年後の1699年に、インドから当時オランダの植民地であったインドネシアのジャワ島に伝わりました。
当時、インドで栽培されていたコーヒーの品種はティピカ種とブルボン種でしたが、ティピカ種のみがジャワ島に伝わったようです。
1706年にはジャワ島からアムステルダム植物園にコーヒーの苗木が贈られ、ここから世界各地に広がっていきました。
これがティピカのはじまりです。
オランダからフランスの植民地を経由、またオランダからオランダの植民地を経由して広がって行った様子を紹介します。
フランス領経由
オランダのアムステルダム植物園で育てられたコーヒーの苗は、1714年にオランダとフランスの友好の記念として当時のフランス国王、ルイ14世に贈られます。
1723年にはパリ植物園で育てられていたコーヒーノキをフランスの海軍士官ガブリエル・ド・クリューが、フランス領であるカリブ海に浮かぶマルチニーク島に移植し、栽培を始めました。
それから1730年以降には、他のカリブ海の島々や中南米へと広がっていきました。
しかし、この時点ではブラジルには伝わりませんでした。
オランダ領経由
1720年頃、オランダのアムステルダム植物園で育てられていたティピカ種は、当時オランダ領であった中南米にあるギアナに伝わりました。
その後、ギアナの隣国であるブラジルへ伝わり、以降ペルーやパラグアイなど中南米各地に広がっていきました。
そして19世紀頃に、ブラジルからハワイへと運ばれハワイでの栽培が始まりました。
ティピカ種のコーヒー生産と栽培状況
近年ティピカ種は、高級品種として扱われています。
ティピカ種は、栽培から収穫までに約4年かかること、豊かな土壌の維持が必要不可欠であること、霧や病虫害に大変弱いこと、このような理由から非常に手間がかかり、生産維持にコストもかかってしまいます。
そのため市場での流通量が極めて少なく、ティピカ種のコーヒー豆は高級品種として扱わる要因となっています。
栽培の理想的な環境は、直射日光を避けるためにシェードツリーがあること、ふかふかとやわらかく窒素還元がしっかりとできる土壌があることです。
ティピカのおすすめコーヒー銘柄
ここではティピカを原種とした、ジャマイカ産の「ブルーマウンテン」とアメリカ産(ハワイ島)の「コナ」の有名銘柄について紹介します。
ブルーマウンテン
言わずと知れた世界最高峰のコーヒーで、生産量も少なく希少価値の高いコーヒー豆です。
「コーヒーの王様」とも呼ばれるブルーマウンテンはジャマイカで栽培されています。
香り・酸味・苦味・コクのバランスがとても良く人気の高いコーヒー豆です。
ブルーマウンテンは生産量の約80%が日本に輸出されているほど、日本ではなじみ深い銘柄なので聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
ブルーマウンテンコーヒーの特徴は以下の記事で詳しく解説しています。
コナ
ハワイ島で栽培されている高級銘柄です。
すっきりとした完熟した果物のような酸味とマイルドな味わいが特徴的です。
標高250m~800mで栽培されており、他のコーヒー生産地域よりもかなり低い標高で育てられていますが、それにもかかわらず高品質なので世界的にも注目されています。
コナコーヒーの特徴は以下の記事で詳しく解説しています。
ティピカ種のおすすめコーヒー豆・粉4選
ここではティピカ種を使ったコーヒー豆・粉のおすすめを紹介します。
まとめると以下の通りです。
- マウンテン グァテマラ・アゾティア農園 ティピカ
- コロンビア サントゥアリオ農園 ティピカ
- ウガンダ ブギシュ エルゴン ティピカAA
- ラオス・ティピカ
順番に解説します。
1. 自家焙煎のコーヒーが楽しめる「マウンテン グァテマラ・アゾティア農園 ティピカ」
控えめな苦み、しっかりとした甘味とコクのあるバランスの良いグァテマラ産のコーヒーを使用し、中煎りで焙煎しています。
ティピカ種の突然変異種であるブルボンを使用したコーヒー豆です。
豆の挽き方を選べます。
商品スペック
価格 | 700円(税込) |
内容量 | 200g |
原産国 | グァテマラ |
品種 | ブルボン |
2. クリア&ダークチェリーの様な甘酸っぱさが特徴「コロンビア サントゥアリオ農園 ティピカ」
コロンビア産のスペシャリティコーヒーで、ティピカの特徴であるマイルドな酸味とワインのようなフルーティーさと、豊かなコクを楽しめます。
焙煎歴40年の焙煎士によって中煎りに焙煎されたコーヒー豆は、そのコーヒー豆本来の持ち味を最大限に引き出すように焙煎されています。
風味と香りを大事にした焙煎により、後味が良く時間が経っても美味しいコーヒーです。
商品スペック
価格 | 908円(税込) |
内容量 | 100g |
原産国 | コロンビア |
品種 | レッドティピカ |
3. 柔らかな酸味とコク「ウガンダ ブギシュ エルゴン ティピカAA」
アフリカの真珠と呼ばれるコーヒーの産地、ウガンダで栽培されています。
まろやかな風味を引き出すため、中煎りで焙煎しています。
さわやかな後味、やわらかい酸味とコク、オレンジのような甘い香りが特徴的です。
標高1800m~2000mで栽培されているティピカ100%のコーヒー豆を使用しています。
商品スペック
価格 | 680円(税込) |
内容量 | 100g |
原産国 | ウガンダ |
品種 | ティピカ |
4. 自然農法で栽培されたコーヒー豆「ラオス・ティピカ」
ラオスで栽培されたコーヒーは上品な酸味が特徴的です。
中煎りでの焙煎で、冷めてもおいしく飲める自慢のコーヒー豆に仕上がっています。
農薬を一切使わずに栽培されたティピカをぜひお試しください。
商品スペック
価格 | 1,900円(税込) |
内容量 | 200g |
原産国 | ラオス |
品種 | ティピカ |
高級なおすすめコーヒーが知りたい方は「【厳選】高級なコーヒー豆ランキング6選!ギフトやプレゼントにも合う」の記事をチェック!
ティピカ種の美味しいコーヒーの淹れ方
ティピカを最もおいしく飲むには、どのように淹れたらいいの?
こういった方のために、ここでは上品な味わいを持つティピカ種をおいしく飲む淹れ方を紹介します。
焙煎度合い
浅煎り~中煎り程度がおすすめです。
酸味を楽しむなら浅煎りで、フルーティーな香りをしっかりと楽しみたい方は中煎りでの焙煎をお選びください。
詳しい焙煎度合いは以下の記事を参考にしてください。
淹れ方
ハンドドリップでゆっくりと抽出するのがおすすめです。
フルーティーな香りが特徴のティピカ種のコーヒーは、ミルクは合わないと思われがちですが、実はミルクとも相性が良いのでカフェオレとして飲むのもおすすめです。
プレーンのスコーンやクッキーと相性が良いのでコーヒーとご一緒にどうぞ。
ティピカ種のコーヒーを一度試してみよう!
いかがでしたでしょうか?
アラビカ種に属する品種である「ティピカ種」について詳しく解説しました!
本記事の要点は以下の通りです。
- ティピカは歴史が古く、アラビカ種の原種に最も近い
- 味わいは、マイルドな酸味とフルーティーな香りが特徴的
- ティピカ種の栽培は病虫害に弱く、手間がかかるため難しい
- ティピカ種を使った銘柄はブルーマウンテンとコナが有名で、どちらも高級品種として扱われている
- 焙煎は浅煎り~中煎りで、フードペアリングにはスコーンやクッキーがおすすめ
生産量が少なく、あまり市場で見かけることのないティピカ種のコーヒーですが、栽培をはじめる農家が増えてきているので近い将来もっと気軽に飲めるようになるといいですね。
まだまだ希少なティピカ種のコーヒーですが、特別な日に自分へのご褒美としてゆっくりと時間をかけて味わってみてください。
今回はティピカ種について紹介しましたが、全品種まとめて知りたい方は、以下の記事をチェック!