コーヒーに含まれるクロロゲン酸の効果ってどんなものがあるの?
クロロゲン酸の効果的な摂取方法ってどんな感じなの?
こういった疑問や要望にお答えしていきます。
以前までのコーヒーのイメージとは打って変わって、近頃はコーヒーによる健康効果が話題になっていますよね!
中でも注目されている成分が、ポリフェノールの一種である「クロロゲン酸」。そのクロロゲン酸の働きや効果についてまとめてみました!
- クロロゲン酸はポリフェノールの一種
- 浅煎りのコーヒー豆に多く含まれる
- ポリフェノールはブラックコーヒーで飲むのが効果的な摂取方法
日本安全食料料理協会(JSFCA)認定のコーヒーソムリエ、げんた(@topcoffeelab)が監修。
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コーヒーを愛し続けて約10年。現在はコーヒー専門家として活動し、様々な媒体・メディアにご紹介いただいています。独自ブランドのコーヒー豆を「ラボカフェ」で販売中。
それでは早速見ていきましょう!
そもそもコーヒーに含まれるクロロゲン酸とは?
コーヒーに含まれるクロロゲン酸とは、コーヒーを始めとしてお茶などの飲料に多く含まれるポリフェノールの一種であり、コーヒーポリフェノールとも呼ばれています。
コーヒーの成分と聞くと一番に思い浮かべるのはカフェインかと思いますが、実は割合でいうとクロロゲン酸のほうが多く含まれていることをご存知でしょうか。
後述しますが、このポリフェノールの一種であるクロロゲン酸の持つ作用が最近注目を浴びているのです。
一般的に理想とされる一日あたりのポリフェノール摂取量は1000〜1500mgなのですが、日本人の平均摂取量はそれを下回る800mg前後とされています。
そして、日本人のポリフェノール摂取源の割合は、約半数近くがコーヒーなのだそう!
日本人の健康に役立つことが期待されるね!
ポリフェノールとは抗酸化作用のある物質のこと
ではそもそもポリフェノールとは一体何なのでしょうか?
健康番組なんかでよく聞くよね
ポリフェノールとは、植物が光合成を行なう際に生成する「抗酸化物質」のことです。
植物はその成長過程に置いて害虫や乾燥などを始めとする様々な外的ストレスにさらされます。
そのようなストレスから自身を守るために生み出した、いわば血清や盾のようなものがポリフェノールです。
そのためポリフェノールはあらゆる植物に含まれており、その植物の持つ苦味や色の元となっています。
またポリフェノールは約5000〜8000種あると言われています。
含有量
ところでコーヒーのポリフェノールの含有量は一体どれほどのものなのでしょうか。
以下の表でその他の飲料と比較してみました。
ワイン | 約230mg |
コーヒー | 約200mg |
緑茶 | 約100mg |
比較してみると、ワインにやや劣るもののほぼ同程度、緑茶と比べると2倍ほど多いことが分かりますね!
また、コーヒー1杯あたり140mlとした際の含有量は約280mgとなります。
摂取量の目安になるね!
コーヒーに含まれるクロロゲン酸の効果・効能
そんなコーヒーに含まれるポリフェノールであるクロロゲン酸の効果や効能とは、一体どのようなものがあるのか気になりますよね。
以下でそれぞれの効能について詳しく解説しています!
脂肪燃焼・ダイエット効果が期待できる
クロロゲン酸を摂取すると、肝臓内の脂質代謝に影響を与えます。
体内にクロロゲン酸が取り入れられると肝臓内の脂質代謝が活発になり、エネルギー消費量が増えるのだそうです。
また、茶カテキンにも同様の作用があり、この作用を利用したトクホ食品も発売されています。
この働きが脂肪の燃えやすいカラダづくりの手助けとなるのです。
カフェインにもリパーゼという酵素を活性化させることによるダイエット効果が期待されているよ!
血糖値の上昇を抑える
クロロゲン酸は膵臓の細胞の働きを高め、インスリンの分泌に作用する可能性があるとされています。
インスリンとは本来、食後の血糖値を正常に保つ働きをするホルモンです。
しかし糖尿病になってしまうと、インスリンによる血糖値の正常化が間に合わず血糖値が急上昇してしまいます。
クロロゲン酸にはこの血糖値の上昇を穏やかにする作用が認められているのです。
また、現在この作用を利用した糖尿病の治療薬の研究が進められています。
砂糖をたくさん入れてしまっては意味がないため、ブラックコーヒーで飲むのがおすすめです!
抗酸化作用
また、クロロゲン酸には抗酸化作用があるとされています。
抗酸化作用とは、カラダを酸化させる活性酸素を除去する働きのことです。
食べ物などが酸化すると悪くなってしまいますよね。
活性酸素は、体内の細菌やウイルスを攻撃する一方で増えすぎると正常な細胞にまで危害を加えてしまいます。
この作用は老化現象などを含む様々なトラブルの原因と考えられているのです。
クロロゲン酸は抗酸化作用により、この活性酸素をとりのぞいてくれます。
コーヒーに含まれるクロロゲン酸の副作用・デメリット
ここまでコーヒーに含まれるクロロゲン酸の健康に期待される効果について解説してきました。
しかし、果たしてクロロゲン酸を摂取することによる副作用やデメリットは無いのでしょうか。
調べた結果、いくつかデメリットと思われる作用が見つかったため、リストでまとめてみました。
- 胃酸の分泌による胃酸過多の可能性
- 胃腸の働きの抑制による便秘の可能性
- クロロゲン酸は血糖値の上昇をおだやかにするがカフェインはインスリンの働きを阻害する
これらについて1番から順に解説していきます。
1. 胃酸の分泌による胃酸過多の可能性
よく空きっ腹にコーヒーは良くないなんていいますよね。
それにはこの働きが関わっていると考えられます。
クロロゲン酸を摂取すると胃粘膜を刺激し、胃酸の分泌が活発になる作用があるのだそうです。
人は胃酸過多になると、胃痛を引き起こすことがあります。
通常コーヒーを飲む分のクロロゲン酸量ではさほど問題ないと考えられていますが、健康によいからといって過剰に摂取することは避けましょう。
胃潰瘍や胃に持病があって心配な人は医師に相談してみよう。
2. 胃腸の働きの抑制による便秘の可能性
クロロゲン酸を大量に摂取すると、胃腸の働きが抑制されると考えられています。
しかし、コーヒーに含まれるカフェインは腸を刺激し便通を促すといった報告もあり、便秘になるか否かは本人の体質に左右される部分も大きいようです。
いずれにせよ、こちらもコーヒーを過剰摂取しない限りはあまり気にする必要はありません。
コーヒーを飲んで便秘になるという人は、カフェインの利尿作用による水分不足の可能性も大きいため水分を多めに取るなどの対策をとってみましょう。
コーヒーと便秘に関してより詳しい知りたい方は「【決定版】コーヒーと便秘の関係とは?便秘解消を期待できるのか解説」の記事をチェック!
3. クロロゲン酸は血糖値の上昇をおだやかにするがカフェインはインスリンの働きを阻害する
こちらに関してはクロロゲン酸自体のデメリットではありませんが、コーヒーのみに頼って糖尿病対策をしようと思うのは待ったほうがいいかもしれません。
確かにクロロゲン酸には血糖値の急上昇を抑える効果が認められていますが、反対にカフェインにはインスリンの働きを阻害する作用があると言われています。
そのため今現在すでに糖尿病を患っている場合は悪化する可能性が否定できません。
現在糖尿病の治療中の人や糖尿病予備軍の人はコーヒーの飲用に関して医師とよく相談するようにしましょう。
何か一つに頼るのではなく、生活習慣自体の改善が重要です!
コーヒーのクロロゲン酸を効果的に摂取する飲み方
コーヒーに含まれるクロロゲン酸は、焙煎度合いや飲み方によって含有率や摂取率が変化するのだそうです。
そこでここではクロロゲン酸を効果的に摂取する飲み方について紹介します!
クロロゲン酸は焙煎度合いによっても変わる
コーヒーに含まれるクロロゲン酸は生豆の状態が1番多く、焙煎が深くなるにつれてその含有量が減ってきます。
そのため、クロロゲン酸の摂取を目的とするのであれば、極力浅煎りの状態で飲むのがおすすめです。
エスプレッソなどに使用されるイタリアンローストなどの極深煎りの豆では、クロロゲン酸の含有率が10%程度になってしまうといった報告も見つかっています。
美味しく続けるためには、浅煎りに向いているエチオピアやコロンビアなどの豆をチョイスすると良いかもしれませんね!
アイスとホットはどっちが良い?
もしクロロゲン酸によるダイエットへのメリットを目的として摂取するのであれば、ホットコーヒーの方がややおすすめです。
それには以下のような理由があります。
- アイスコーヒーには深煎りの豆を使用することが多く、クロロゲン酸の含有量が減ってしまう可能性がある
- 冷たい飲み物で体温を下げてしまうと代謝が下がる可能性がある
上記のように冷たい飲み物は体温を下げてしまう可能性がありますが、もしどうしてもアイスコーヒーでクロロゲン酸を摂取したいのであれば、なるべく浅煎りの豆を選ぶようにしましょう。
しかし、ホットコーヒーでクロロゲン酸を摂取する際にも一つ注意点があります。
クロロゲン酸は熱に弱く、余り高温のお湯で淹れてしまうと含有量が減ってしまうため、80〜90℃くらいの温度で抽出するのがベストだそうです。
沸騰したてのお湯でコーヒーを淹れるのは少しもったいないかもしれません。
適度な温度については「コーヒーの温度は何度が美味しい?味の違いからおすすめの温度計まで」の記事で詳しく解説しています。
意外と重要な飲むタイミング
クロロゲン酸の持つ血糖値の上昇をおだやかにする作用を最大限に活かすのであれば、飲むタイミングは食事中、もしくは食後のタイミングがベストでしょう。
何故ならそのタイミングが1番血糖値の上昇が大きいからです。
また、クロロゲン酸やカフェインは摂取後1〜2時間後に作用がピークを迎え、4時間後には排出されてしまいます。
そのため運動する1時間前にコーヒーを飲むと運動効果を高めることが期待できるそうです。
また効果を持続せたいのであれば4時間ごとなど、こまめなタイミングで摂取するようにしましょう。
牛乳を混ぜても問題ないの?
結論からいうと、クロロゲン酸を効果的に摂取したいのであれば牛乳と混ぜるのはあまりおすすめできません。
それにはクロロゲン酸のとある性質が関わっています。
その性質とは「クロロゲン酸はタンパク質と結合しやすい」というもの。
牛乳にはカゼインというタンパク質が含まれており、牛乳と混ぜて飲むとカゼインと結合して吸収率が落ちる可能性があるのです。
クロロゲン酸を最大限摂取したいのであれば、なるべくブラックで飲むようにしましょう。
クロロゲン酸で胃痛になるって本当?
ところで、コーヒーやクロロゲン酸について調べていると「胃痛」というワードをよく目にしませんか?
ここではその疑問についてお答えします。
クロロゲン酸には胃酸分泌作用がある
このことに関しては「コーヒーに含まれるクロロゲン酸の副作用・デメリット」でも述べましたが、クロロゲン酸に胃酸の分泌作用があるのは事実です。
胃潰瘍などで元々胃が荒れていたり胃に持病を抱えている人や、空腹時などにコーヒーを飲むと刺激を感じやすい場合があります。
健康な人が通常コーヒーを飲む分にはあまり問題ないと思われますが、体質的に胃が痛くなりやすい人は自身の体調とよく相談しながら飲むようにしましょう。
コーヒーに限らず過剰摂取は、健康上おすすめできません。
胃痛の原因はコーヒー豆の酸化かも
また、コーヒーを飲んだ際に起こる胃痛の原因としては豆の酸化も考えられます。
コーヒー豆には約20%ほどのオイルが含まれており、保存状態が悪いとそのオイルが酸化して胃に不快感を催す可能性があるのです。
それを防ぐためには以下のような方法があります。
- 正しく保存する
- 早めに飲み切る
コーヒー豆も食品の一つです。
食べ物も保存状態が悪いまま放置していれば、食べた時にお腹を壊しますよね?
それと同じように、コーヒーも保存状態が悪く長時間放置したものを飲むのは健康上でも風味のうえでもあまりいいとは言えません。
なるべく購入後は涼しい場所で保管し、早めに飲み切るようにしましょう。
胃痛について詳しく知りたい方は「【最新】コーヒーを飲むと胃痛がする?原因と対処法について徹底解説!」の記事もチェック!
クロロゲン酸が含まれるコーヒー以外の飲食物
コーヒーを摂取するのにコーヒーがおすすめなことは分かりましたが、他の飲食物にクロロゲン酸は含まれていないのでしょうか?
調査してみたところ、他にもいくつか見つかったためリストでまとめました。
- さつまいも
- なす
- りんご
- ごぼう
- じゃがいも
これらにもクロロゲン酸が含まれているようです。
コーヒー以外でも摂取したいと思った方は是非参考にしてみてください!
クロロゲン酸を効果的に摂取するのにコーヒーはおすすめ!
いかがでしたでしょうか?
最近話題となっていたコーヒーに含まれる成分「クロロゲン酸」。その効果や疑問に至るまで解説していきました。
本記事の内容で重要なことをまとめると以下のとおりです。
- クロロゲン酸はコーヒーに多く含まれるポリフェノールの一種
- 多くの健康上のメリットが期待できる
- 浅煎りのコーヒー豆がおすすめ
- クロロゲン酸は熱に弱い
- ブラックで飲むのが効果的
- 胃に持病がある場合は過剰摂取は控える
以前は健康上何かと悪者にされがちだったコーヒーですが、こんなにもたくさんの健康上のメリットがあったのは驚きでした。
もちろん体質に左右される部分も大きいですが、コーヒーに含まれるクロロゲン酸のメリットは生活にうまく取り入れていきたいですね!
日本人のポリフェノール摂取源としても大きな役割を果たしているコーヒー。
これから更にコーヒーに関する研究が進んでいくことを期待します!