モカマタリの特徴は?違いとは?
モカマタリはどこで買える?
今回はこういった疑問に、コーヒーインストラクターの私がお答えしていきます。
なかなかモカマタリと聞いてもピンと来ないですよね…。
そこで本記事では、モカマタリについて特徴からおすすめまで完全解説します!
- モカマタリの風味の特徴
- コーヒーの加工方法と味わいの関係
- モカマタリとモカハラー、モカシダモの違い
- モカマタリの生産国、イエメンの情勢
- モカマタリを買うのにおすすめの通販サイト3選
- モカマタリ実飲レビュー
日本安全食料料理協会(JSFCA)認定のコーヒーソムリエ、げんた(@topcoffeelab)が監修。
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コーヒーを愛し続けて約10年。現在はコーヒー専門家として活動し、様々な媒体・メディアにご紹介いただいています。独自ブランドのコーヒー豆を「ラボカフェ」で販売中。
それでは早速見ていきましょう。
モカマタリとは?
モカマタリというコーヒーを知っていますか?
個性的な気品のある味わいが特徴の、こちらのコーヒー豆。
モカマタリとは、イエメンで生産されたアラビカ種のコーヒー豆を言います。
モカという言葉も聞いたことがあるね!その派生のコーヒー豆になります!
モカマタリ風味の特徴
「フルーツが熟れすぎたような香り」や「ワインのような甘さと香り」と表現する方が多く、独特のフレーバーを持ったモカマタリ。
独特な風味で、果実のような甘い香りのするコーヒーです。
モカマタリの味はまずい?劣悪?【コーヒーインストラクターが解説】
イエメンで収穫されたコーヒーチェリーは、通常、生産者の住居の屋根で天日干しされます。
高地にある住居の屋根は狭く、コーヒーチェリーが積み重なってしまい、乾燥のむらや発酵、かびが生じてしまう場合が多いです。
そのため、他の生産国では欠点豆としてはじかれてしまうコーヒー豆も、含まれています。
一般的に、コーヒー豆は欠点豆の数でグレードが分けられます。
イエメンにはグレード分けがないからこそ、モカマタリにしかない風味があるのです。
精選方法と風味の関係性
収穫された後におこなう、コーヒーの果実から生豆を取り出す工程(精選)は、コーヒーの産地の環境によって数種類に分かれます。
代表的な精選方法は、以下とおりです。
水洗式
非水洗式
それぞれのコーヒー産地が、どの精選方法を用いるかは、生産地の地理的条件や気象条件、生産条件によります。
例えば、水不足の国が非水洗式を用いて精選し、少ない水で精選できるようにする場合があります。
水洗式のコーヒーは、水でよく洗われているので、クリーンで雑味のない風味になります。
一方、非水洗式はコーヒーの実がついたまま乾燥の工程に入るので、果実の香りが豆に移り、フルーティーな甘い香りになります。
伝統的な精選方法による、オンリーワンの風味
イエメンでのコーヒー生産は歴史が古く、生産者たちは先祖伝来の土地を守り、農法を受け継ぎながらコーヒー生産をおこなっています。
イエメンのコーヒーは、非水洗式で乾燥された後、石臼で脱穀されます。
コーヒー豆が割れたり欠けたりしているモカマタリが多いのは、脱穀の過程が影響しているのです。
このように、イエメンは他の国にない伝統的な精選方法により、オンリーワンの風味を実現しています。
イエメンのコーヒーについては「イエメンコーヒーの特徴とは?味わい・銘柄からおすすめまで紹介」の記事を参考にしてください。
モカとは?モカマタリとの違いを理解しよう
スペシャリティーコーヒーの場ではよく聞く、「モカ」という言葉。
エチオピアのコーヒーに使われたり、イエメンのコーヒーに使われたりと様々なところで使用されていますよね。
では一体「モカ」という用語はどのような意味なのでしょうか。
「モカ」という用語
結論、「モカ」とはエチオピアかイエメンで生産されたコーヒー豆のことを言います。
実は「モカ」とは、コーヒーのルーツであり深い歴史のあるコーヒーです。
アラビカ種のコーヒーはエチオピア原種です。
社団法人全日本コーヒー協会によると、エチオピアからイエメン地方にコーヒーが伝わり、エチオピアでコーヒーの栽培が始まったのは、15世紀頃です。
かつて、イエメンには「モカ港」という主要港がありました。
かつては、このモカ港から近隣であるエチオピアのコーヒーも出荷されていたことから、エチオピアのコーヒーもモカと呼ばれています。
モカについてより詳しく知りたい方は「【決定版】モカとは?種類の違いからおすすめのモカコーヒーも紹介」の記事をチェック!
モカマタリ・モカハラー・モカシダモの違い
モカマタリは、イエメンで生産されたアラビカ種コーヒーのことを言います。
ここでは、モカハラーとモカシダモを解説します。
まとめると以下のとおりです。
モカハラー
モカハラーは以下のような特徴があります。
- モカハラーの生産地域、ハラール地区は最も古くからの生産地の一つです。
- 19世紀にはハラール地区のコーヒーは、上質であると評判を受けていました。
- 非水洗式で精選されたこの地域のコーヒーは、ブルーベリーのような特徴的な風味で知られています。
モカシダモ
モカシダモは以下のような特徴があります。
- シダモの地区では、水洗式と非水洗式の両方のコーヒーを生産しています。
- モカシダモのコーヒーは、フルーティーな風味と芳醇な香りです。
- シダモのイルガチェフェでは、エチオピアで最も高級なコーヒーが栽培されています。
モカシダモについてより詳しく知りたい方は「モカシダモとは?気になる特徴からおすすめのコーヒー豆まで紹介」の記事をチェック!
モカマタリが栽培されている国
上記でもお伝えしましたが、モカマタリが栽培されている国はイエメンです。
イエメンは中東のアラビア半島南端に位置しています。
紅海を隔ててアフリカ大陸があり、アラビカ種の原種が見つかったエチオピアが、そばに位置しています。
イエメンは、太古では交易の中心地でした。
イエメンの情勢
イエメンでは2014年頃から現在まで、内戦が続いています。
イエメン国内の医療機関は、内戦前の3分の1程度しか機能していません。
内戦で水や食糧不足が深刻な中、確認されているだけでもイエメン国内のコロナウイルス感染者数は6688人に達し、1313人が亡くなっています。
※2021年5月時点
400万人が国内で難民になっており、1年以内に住むところがなくなった方は、人口の80%以上に達しています。
このように不安定な状況の中、2020年のイエメンでのコーヒーの生産量は、2014年に比べて半分以下に減っています。
参考文献:International Coffee Organization. “Historical Data on the Global Coffee Trade
モカマタリの栽培環境
モカマタリのコーヒーが栽培されている、イエメンの農業はやや特殊です。
水資源が不足しており、農耕に適した土地が国土の3%しかなく、コーヒーは高地の斜面で栽培されています。
コーヒーを栽培するために、生産者は灌漑(かんがい)を整える必要があります。
水はけがよく、保水性の高い地下水脈がある農園だと灌漑に頼ることなく農業ができます。
かなり特殊だね!
モカマタリの美味しい飲み方
フルーティーな酸味や、芳醇な香りが特徴のモカマタリ。
焙煎が進むと、化学変化によって酸味が減少して苦味が増加します。
モカマタリの良さを引き出すには、中深煎りのハイローストからシティーローストがおすすめです。
香りを楽しむために、豆で購入して淹れる直前に挽くのがよいでしょう。
ハイローストからシティーローストは以下のような焙煎度合いです。
是非参考にしてみてください。
コーヒーの実をお茶にする、キシルという飲み物
コーヒーを生産する際の、副産物として有名な「キシル」という飲み物。
非水洗式の精選の工程で除去された、コーヒーチェリーの殻を乾燥させたものをキシルと言います。
イエメンでは、キシルは茶のように煮出し、砂糖や香辛料を加えて飲まれています。
【店員さんにも聞いてみた】通販でも買えるおすすめのモカマタリ3選
モカマタリのストーリーを、理解した上で飲むコーヒーは格別なはずです。
ここでは、通販でも買えるおすすめのモカマタリを紹介します。
コーヒーを飲みながら、海の向こうのイエメンに想いを馳せよう。
まとめると以下の通りです。
- 珈琲問屋 モカマタリ100g
- カルディ モカマタリ/200g
- Mocha Origins
順番に解説します。
1. 焙煎度合も引き具合もオーダー可能「珈琲問屋 モカマタリ100g」
コーヒーの通販といえば、「珈琲問屋」と言ってもよいほどの、品揃えと新鮮さ。
通販以外にも、本州には店舗もあり、コーヒーのプロが相談に乗ってくださるようなので、店舗で相談しながらコーヒーを買うのもいいかもしれません。
珈琲問屋の通販では、焙煎度合も引き具合も細かくオーダーすることができます。
しかも、出荷日に焙煎された新鮮で焼きたてのコーヒーを手に入れることができます。
商品ページの口コミを見ると、中煎りから中深煎りでオーダーしている方が多いようです。
100g入で773円(税込)です。
2. 通販限定のコーヒー「カルディ モカマタリ/200g」
カルディの店舗で、店員さんに「モカマタリのコーヒーが欲しい」と伺ったところ、店舗ではモカマタリの販売をおこなっていないようです。
通販にはストレートのモカマタリがあり、おすすめだそうです!
なお、通販ではストレートのモカマタリが販売されています。
ワインのように芳醇な香りとやわらかい甘みとコクが特徴です。
価格は200g入りで1598円(税込)。
3. イエメンのコーヒー専門の通販「Mocha Origins YEMEN COFFEE COLLECTION」
イエメン人の代表がコーヒー農家から直接買い付けをおこなっているMocha Origins。
イエメンのスペシャリティーコーヒーを専門に取扱い、適正な価格で販売しています。
農園の様子や生産者の写真があり、生産国に想いを馳せたりストーリーを感じたりできるコーヒーです。
数種類あり、だいたい100g入りで1400円(税込)〜。
今回は、Mocha Originsのコーヒーを購入してみました。
次で、モカマタリの実飲レビューを紹介します。
【レビュー】モカマタリを中煎りで実飲!
先ほど紹介した「Mocha Origins」は、農家から直接買い付けをしており、品質にこだわっている印象を受けたので、そちらのコーヒーを購入してみました。
ここでは「Mocha Origins」のモカマタリを、レビューします。
結論、購入して本当によかったです。
チェリーを皮ごと食べた時のような甘み
ポストカードがついており、購入したコーヒーに関するストーリーや、生産地域の環境、味わいの説明が書いてありました。
こちらのカードを読みながら、コーヒーの味わいを楽しむことができます。
風味がとても豊かで、チェリーを皮ごと食べた時のような甘みを感じました。
イエメン人の代表が農家から直接買い付けをおこなっている、「Mocha Origins」のモカマタリは非常におすすめです。
よりおすすめのモカコーヒーを知りたい方は、以下の記事をチェック!
モカマタリのコーヒーを実際に飲んでみよう!
いかがでしたでしょうか?
モカマタリについて、特徴からおすすめまで完全解説しました。
今回の記事で重要なことをまとめると以下のとおりです。
- モカマタリとは、イエメンで生産されたアラビカ種のコーヒー豆
- 独特な風味で、果実のような甘い香りのするコーヒー
- モカマタリの良さを引き出すには、中深煎りのハイローストからシティーローストがおすすめ
モカマタリの、ワインのような甘さと芳醇な香りは唯一無二で、独特の香りです。
古い歴史のあるイエメンのコーヒーを、ぜひ飲んでみてください。