エスプレッソが小さい理由って?
エスプレッソって小さいのがほとんどだよね?なんでかな?
こういった疑問や要望にお答えしていきます。
カフェでエスプレッソを注文すると、普段のコーヒーに比べて「カップが小さい」と驚いた経験はありませんか?実は、エスプレッソが小さいのには抽出方法や風味、さらには文化的背景にまで理由があります。
本記事では、エスプレッソが小さい理由をわかりやすく解説しつつ、小さいからこそ楽しめる魅力や、自宅で本格的に味わうためのポイントをご紹介します。
なぜエスプレッソは小さいのか、その秘密を一緒に探ってみましょう。
- エスプレッソは高圧で少量抽出するため、味や香りが凝縮されている
- 味を決めるのは挽き方・抽出比・時間などの調整
- 家庭でも正しい手順で小さな一杯を楽しめる
日本安全食料料理協会(JSFCA)認定のコーヒーソムリエ、げんた(@topcoffeelab)が監修。
続きはこちら
コーヒーを愛し続けて約10年、専門家として活動しています。運営する国内最大級のコーヒー情報サイト「コーヒー豆研究所」(月間60万PV)は多くの読者に支持され、テレビ番組『ZIP!』をはじめ各種メディアにも出演。自社ブランド「ラボカフェ」では、厳選したコーヒー豆を販売しています。
エスプレッソが小さい理由とは?
カフェで提供されるエスプレッソは、普段飲むドリップコーヒーと比べると驚くほど少量です。
なぜこんなに小さいのかという疑問には、抽出方法や風味、そしてカップの構造に関係があります。
ドリップコーヒーとの抽出方法の違い
ドリップコーヒーはお湯をゆっくり通し、150ml以上の量を抽出します。一方でエスプレッソは専用マシンを使い、高圧をかけて20〜30秒で約30mlを抽出します。
短時間で仕上げるため、豆のエグみや渋みを避け旨味を凝縮できるのが特徴です。逆に大量に淹れようとすると、雑味まで抽出されてしまい風味が損なわれます。
少量でも満足できる濃厚な味わい
エスプレッソは「濃縮されたコーヒー」とも呼ばれ、わずかな量でもしっかりと香りと味を感じられます。
まるで香水のように、少量の中に豊かな個性が閉じ込められているため、小さい一杯で十分に満足感が得られるのです。
クレマを保つための工夫
エスプレッソの表面に浮かぶ「クレマ」と呼ばれるきめ細やかな泡は、香りを閉じ込め、なめらかな口当たりを演出します。
クレマは量が多いとすぐに消えてしまうため、少量で提供することが理想的。小さなカップであれば、最後までクレマを楽しめます。
エスプレッソを守る温度管理
エスプレッソは抽出直後が最も香り高く美味しい瞬間です。しかし、冷めると苦味や酸味が強調され味のバランスが崩れます。
小さいカップで提供されるのは、短時間で飲み切りやすく、温度が落ちる前に楽しめるようにするためでもあります。
エスプレッソの小さいカップに違いはある?
エスプレッソといえば、小さなカップに注がれて提供されるのが特徴です。実際に使われるカップには種類があり、それぞれ役割や歴史が異なります。
ここでは代表的なカップの違いと、なぜ小さいカップが選ばれてきたのかをみていきましょう。
エスプレッソカップとは?
エスプレッソ専用に作られたのがエスプレッソカップです。容量は20〜30ml程度で、エスプレッソを適切な状態で味わえるよう工夫されています。
厚みのある作りで冷めにくく、飲み口に丸みがあることで苦味を和らげ、口当たりを良くしてくれます。さらにカップの底が丸く膨らんだエッグシェイプが、エスプレッソ特有のクレマを美しく保つポイントです。
デミタスカップとの違い
デミタスカップはフランス語で「半分のカップ」という意味を持ち、容量は60〜80mlほど。トルココーヒーや濃く淹れたドリップコーヒーにも使われる汎用性の高い小型カップです。
通常のレギュラーカップの約半分のサイズなので、コース料理の最後に出される食後のコーヒーにもよく用いられます。
エスプレッソカップとデミタスカップは、本来であれば容量や用途に違いがありますが、日本ではあまり厳密に区別されていません。
小さなカップが生まれた歴史的背景
小さなカップ文化の始まりには歴史的背景も関わっています。
1806年、ナポレオンによる大陸封鎖令でヨーロッパにコーヒー豆不足が広がり、豆の消費を抑えるためにカップを小さくしたのがきっかけでした。
その後1901年、ルイジ・ベゼラが高圧抽出式のエスプレッソマシンを開発し、現在のエスプレッソ文化が誕生します。こうして、少量で濃厚なコーヒーを味わうというスタイルが確立され、小さなカップが定着しました。
小さいからこそ味わえるエスプレッソの魅力
エスプレッソが小さいカップで提供されるのは、実用性だけではありません。
少量だからこそ感じられる魅力があり、五感を通して特別な体験をもたらします。
五感を刺激する飲み物
エスプレッソはまず視覚を楽しませてくれます。小さなカップに注がれた深いブラウンの液体と、表面に浮かぶきめ細やかなクレマは、他のコーヒーにはない美しさです。
次に広がるのが嗅覚への刺激。少量にもかかわらず凝縮された香りが立ち上り、リラックス効果を高めてくれます。
そして口に含むと、濃厚な苦味に加えて隠れた甘味や酸味がバランスよく広がり、舌全体を包み込みます。
少量でも満足できる理由
エスプレッソはドリップコーヒーに比べて濃度が高く、まるで濃縮されたスイーツのような存在です。
短時間で抽出するため雑味が出にくく、うま味だけがしっかり閉じ込められています。そのため少量でも十分に満足感を得られ、飲み終えた後も余韻が長く残ります。
意外かもしれませんが、カフェイン量はドリップよりも少なめ。濃さと刺激を感じつつも、体にやさしい一杯です。
イタリア流の楽しみ方
本場イタリアでは、エスプレッソは立ち飲みで素早く味わうのが定番です。小さなカップを手に取り、短時間でキュッと飲み切るスタイルは美徳とされており、忙しい日常の中での一息として根付いています。
この文化が世界に広まり、エスプレッソは少量で贅沢を楽しむコーヒーとして愛され続けているのです。
家庭でエスプレッソを楽しむ方法
エスプレッソはカフェでしか味わえない特別な飲み物と思われがちですが、家庭でも工夫すれば十分に楽しめます。
ここではコーヒー豆やカップの選び方に加え、マシンがなくてもエスプレッソ風を再現できる方法をご紹介します。
コーヒー豆の選び方
エスプレッソには深煎りの豆がよく合います。特に、フルシティローストやフレンチローストと呼ばれる焙煎度合いがおすすめです。酸味が抑えられ、苦みとコクが強調されるため、エスプレッソらしい濃厚な味わいになります。
挽き方は細挽きが理想ですが、直火式のマキネッタを使う場合は極細挽きだと目詰まりの原因になるため注意が必要です。
カップの選び方
家庭で飲む際も、厚みのある小さなカップを選ぶとエスプレッソの魅力が引き立ちます。容量は30〜60ml程度がベストです。
冬場はあらかじめお湯を注いで温めておくと、抽出後も香りや温度が保たれ、美味しさを逃しません。
家庭で楽しめる器具
マシンなしでエスプレッソ風を味わうなら、まずは直火式エスプレッソメーカー(マキネッタ)でしょう。ガスコンロにかけるだけで圧力を利用して濃いコーヒーを抽出でき、イタリアの家庭では定番の道具です。
もう一つはエアロプレス。空気圧を利用して短時間で抽出でき、手軽に持ち運びも可能なのでアウトドアでも活躍します。どちらも専用マシンほどの圧力は出ませんが、家庭で十分にエスプレッソらしい体験ができます。
砂糖の楽しみ方
エスプレッソは砂糖との相性が抜群で、一般的にはスプーン1〜2杯を加えるのが定番です。
クセのないグラニュー糖や上白糖を使えば、本場イタリア流の甘く濃厚な味わいに。コーヒーシュガーなら、徐々に溶け出す甘みの変化を楽しめます。
また、楽しみ方としては大きく2つあります。一つは砂糖をしっかり溶かして甘さを均一に味わう方法。もう一つは、砂糖が完全に溶け切る前に飲み干し、最後に底に残った砂糖をスプーンですくって食べる方法です。
本場イタリアでは後者が王道とされ、残った砂糖を食べるまでがエスプレッソとも言われています。
エスプレッソのアレンジと楽しみ方
エスプレッソは小さいカップで楽しむ濃厚な一杯が基本ですが、その濃縮感を生かしたアレンジメニューも数多く存在します。
ここでは代表的な楽しみ方をご紹介します。気分やシーンに合わせて、自分だけのお気に入りの一杯をみつけてください。
カフェラテ・カプチーノ
最もポピュラーなのが、エスプレッソにミルクを合わせる方法です。
カフェラテはスチームミルクをたっぷり注ぎ、やわらかな口当たりが特徴。カプチーノはミルクフォームをのせることで、エスプレッソの苦味がまろやかになり、ふんわりとした食感も加わります。
ラテアートを施せば見た目でも楽しめます。
アメリカーノ
お湯で割るアメリカーノは、濃厚なエスプレッソを軽やかに変化させる定番アレンジ。ドリップコーヒーに近い味わいですが、香りはしっかりと残るのが特徴です。
濃い味が苦手な人でも飲みやすく、食事との相性も良い一杯になります。
カフェモカやアフォガート
甘党に人気なのが、チョコレートを加えたカフェモカ。ココアの風味とエスプレッソの苦味が合わさり、スイーツ感覚で楽しめます。
また、アイスクリームに熱々のエスプレッソをかけるアフォガートもおすすめ。冷と熱、甘みと苦味のコントラストがクセになるデザートドリンクです。
お酒と合わせるカフェ・コレット
イタリアでは、エスプレッソにグラッパやサンブーカといった強いリキュールを加えるカフェ・コレットが食後酒として親しまれています。
少量のエスプレッソだからこそアルコールとバランスよく溶け合い、短い時間でリラックスできる特別な一杯になります。
エスプレッソが小さいのには理由がある!
いかがでしょうか
本記事で重要なことをまとめると以下の通りです。
- エスプレッソが小さいのは、高圧で短時間に少量を抽出することで、苦味・甘味・酸味が凝縮され、クレマ(泡)が香りと口当たりを作るため。
- 味を決める主要因は「粉の挽き方(細かさ)」「抽出比(粉:湯の割合)」「抽出時間・圧力」の組み合わせで、微調整で味が大きく変わる。
- 家庭で美味しく淹れるコツは:適切な挽き目と分量、抽出時間の管理、温度とカップ選びを意識して少量を味わうこと。
エスプレッソが小さいのは、短時間・高圧で旨味だけを凝縮する抽出方法に理由があります。雑味を避け、香り高い一杯を楽しむには少量が最適であり、専用の小さなカップは温度やクレマを保つためにも欠かせません。
また、カップの歴史やイタリアのカフェ文化にも裏付けられ、エスプレッソは小さいからこそ奥深い存在となっています。家庭でも直火式マキネッタやエアロプレスを使えば、濃厚な味わいを再現可能。カフェラテやアフォガートなどのアレンジも含め、楽しみ方は無限に広がります。
次にエスプレッソを手にするときは、その小さな一杯に込められた歴史と魅力をぜひ感じてみてください。