
インフューズドコーヒーって、果物を入れて飲むコーヒー?



香りを付ける工程に特徴があります。フレーバーコーヒーとの違いも見ていきましょう。
インフューズドコーヒーは、生豆の段階で果実や酒、スパイスなどを使い、香りを移したコーヒーです。通販で「ピーチ」「パッションフルーツ」と書かれた豆を見つけても、その名前だけでは、何をどう使ったのかまではわかりません。
この記事では、インフューズドコーヒーの作り方や似た言葉との違いを解説し、実際の商品ページを例に選び方を紹介します。容量や価格も同じ基準でそろえて比べるので、初めての一袋を選ぶときの参考にしてください。紹介する商品は、公式情報をもとに比較しています。
- 焙煎する前の豆に香りを移すのがインフューズドコーヒーの特徴
- 「果物のような風味」と「果物を加えて作ったもの」は別物
- 素材・工程・容量を確認し、価格は100gあたりに換算して比べる
- 初回は飲み切れる量を選び、淹れ方は商品の指定を優先する


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インフューズドコーヒーとは?香りを移す製法


インフューズドコーヒーを理解するポイントは、完成した一杯ではなく、焙煎前の豆に何をしたかです。UCCのコーヒー用語辞典によると、生豆を酒やシロップ、フルーツ、スパイスなどに漬けて香りや味を移す加工のこと、またはそうして作った豆やコーヒーのことを指します。
果実と発酵させる商品もある
たとえば鈴木コーヒーの「ル レクチエ インフューズドコーヒー」は、西洋梨のジャムペーストを生豆と一緒にコロンビアで発酵させています。淹れたコーヒーに果物を添えるのとは違い、豆の段階で香りを移しているのがポイントです。
同じ「果実を使う」でも、果実そのものか、果汁か、ペーストかで作り方は変わります。インフューズドという名前だけで、決まった作り方があると思わないことが大切です。
製法の説明と香りの表現を見分ける
販売ページでは、作り方と味の印象が続けて書かれていることがあります。たとえば「ピーチを加えて発酵」と「ピーチシロップを思わせる甘さ」は、似ているようで意味が違います。前者は作り方、後者は販売元が味わいを表現した言葉です。
同じように、「甘い香り」と書かれていても、砂糖やシロップを使っているとは限りません。その香りが豆や発酵から生まれたものなのか、ほかの素材を加えたものなのかは、製法の欄で確かめてみましょう。
フレーバーコーヒーやアナエロビックとの違い


似た言葉の違いは、香りを付けるタイミングと、発酵させる環境を分けて考えるとすっきり整理できます。なお、インフューズドとアナエロビックは、どちらか片方にしか当てはまらないものではありません。
| 用語 | 何を示す言葉か | 商品説明で見るところ |
|---|---|---|
| インフューズド | 生豆の加工段階で外部の素材から香りを移す | 素材名と加えた工程 |
| フレーバード/フレーバーコーヒー | 焙煎後に香りを付けたものを指す使い方 | 焙煎後の香り付けかどうか |
| アナエロビック | 酸素を抑えた環境で行う発酵 | 発酵条件と、外部素材を加えたかどうか |


フレーバーとの比較では焙煎前後を見る
TYPICAでは、収穫後の発酵や乾燥などの工程で香りが移ったものと、焙煎後に香料を付けたものを分けて説明しています。この記事もこの分け方にならっていますが、実際に選ぶときは商品名よりも「いつ、何を加えたか」の説明を優先してください。
バニラやヘーゼルナッツなど、香りの種類から選びたい人は、フレーバーコーヒーの記事もあわせて読んでみてください。


アナエロビックとインフューズドは併用できる
酸素を抑えて発酵させることと、果実を加えることは別の作業です。そのため、「アナエロビック(嫌気性発酵)」とだけ書かれた豆が、果実を使っているとは限りません。反対に、果実を加えたうえで嫌気性発酵させる商品もあります。
Espresso Tokyoのピーチ ハニーがその例で、ピーチを加えた状態で60〜70時間、嫌気性発酵させています。つまりこの商品は、使った素材がピーチ、発酵の環境が嫌気性という組み合わせです。
なお、豆の紹介に果物の名前が出てきても、味や香りのたとえとして使っているだけのこともあります。香りが強いことは、インフューズドである証拠にはなりません。
インフューズドコーヒーを選ぶ3つのポイント


初めて買うなら、好きな果物の名前だけで選ばず、素材・工程・容量の順にチェックしてみてください。どの商品ページも同じ3つの視点で読むと、書いてあることと、買う前に聞いておきたいことがはっきりします。
使った素材が具体的に書かれているか
まずは、「香り」「フレーバー」「カッピングコメント」の欄と、「原材料」「製法」「プロセス」の欄を分けて見ます。前者に並んでいる果物やお菓子の名前は味のたとえで、実際に加えた材料の一覧ではありません。
たとえばル レクチエの商品ページでは、製法の説明にジャムペーストが出てくる一方で、原材料欄は「コーヒー豆」とだけ書かれています。原材料欄だけでは、どう加工したかまではわからないので、商品説明の本文にも目を通しておきましょう。
加えた工程まで確認できるか
「フルーツ使用」とだけ書かれている場合は、どの段階で使ったのかが読み取れません。発酵中に加えたのか、生豆を漬け込んだのか、焙煎後に香りを付けたのかを見てみましょう。説明が足りないときは、「使った素材と、加えた工程を教えてください」と販売店に聞くと話が早いです。
TYPICAも、何をいつ加えたかを明らかにできることを大切にしています。説明が短いからといって、悪い商品というわけではありません。ただ、気になる点があるなら、説明を聞いてから選んだほうが納得して楽しめます。
飲み切れる容量と家の器具に合う形状か
価格を見る前に、豆のままで届くのか、粉に挽いてもらえるのかを確かめておきましょう。コーヒーミル(豆を粉にする道具)がなければ、粉で注文できる商品やドリップバッグのほうが手軽です。豆だけの商品なら、挽く道具も用意しておきましょう。
容量は、ふだん1杯に使う豆の量で割ると、何杯分になるかがわかります。たとえば1杯に12g使うなら、60g入りは5杯分(60÷12)です。大袋のほうが割安に見えても、初めての味なら、まずは飲み切れる量を選ぶと安心です。
通販で見つかるインフューズドコーヒーの具体例


ここでは、国内の3つの公式通販で売られている商品を、同じ項目で並べました。どれがおいしいか、香りが強いかを採点した表ではありません。容量や価格、加工の説明がどう違うかを見比べるための表です。
| 商品・販売店 | 容量・形状と表示価格 | 100g換算 | 素材・加工の公式説明 |
|---|---|---|---|
| ル レクチエ インフューズドコーヒー シングル 鈴木コーヒー | 80g・豆/粉 2,344円 | 2,930円 | 西洋梨のジャムペーストを生豆と一緒に発酵 |
| コロンビア キンディオ インフューズド ピーチ ハニー Espresso Tokyo | 100g・豆/粉 3,280円 | 3,280円 | ピーチを加え、60〜70時間の嫌気性発酵 |
| パッションフルーツ インフューズドコーヒー White Monkey | 60g・豆 2,500円 | 約4,167円 | 精製方法はハニー。加えた素材・工程は商品説明に記載なし |
袋の値段だけを見ると、2,500円のWhite Monkeyのほうが3,280円のEspresso Tokyoより安く見えます。ところが、容量は60gと100g。100gあたりに直すと、White Monkeyは約4,167円になります。一度に払う金額と、同じ量あたりの金額は分けて考えましょう。
作り方を知ってから選びたい人は、素材と工程の説明を比べてみてください。鈴木コーヒーは果実をどんな形で使ったか(ジャムペースト)、Espresso Tokyoは発酵時間まで書かれています。一方、White Monkeyは60gと少なめの量で試せるのが特徴です。加工について詳しく知りたいときは、販売店に問い合わせてみましょう。
White Monkeyの風味の欄には果物の名前がいくつも並んでいますが、それらをすべて加えているという意味ではありません。風味の欄だけでは加工の中身まではわからない、というよい例です。
3品とも生豆ではなく、家で淹れるためのコーヒー豆です。注文するときは、粉に挽いてもらえるか、送料、発送日もあわせて見ておきましょう。
インフューズドコーヒーの淹れ方と楽しみ方
淹れ方は、その商品の販売元が案内しているレシピを優先しましょう。インフューズドといっても焙煎度や豆の状態は商品ごとに違うので、「この温度・この時間が正解」とひとつに決めないほうが、好みに合わせやすくなります。
指定がなければ普段の抽出条件を出発点にする
ふだんハンドドリップで飲んでいるなら、まずはいつもと同じ器具と分量で淹れて、豆を替えただけでどう変わるかを味わってみましょう。器具と分量を一度に変えると、何が好みの味につながったのかがわからなくなります。
いつもの分量が決まっていない場合は、UCCのレギュラーコーヒーの分量目安が参考になります。粉10〜12g、お湯160mLで、できあがりは約140mLです。これはレギュラーコーヒー全般の目安で、紹介した3商品に合わせた分量ではありません。商品に指定があればそちらに従い、なければこの分量から始めて好みに合わせてみてください。
注いだお湯の量と、カップに入ったコーヒーの量は同じではありません。豆の量と一緒にメモするときは、どちらの量なのかも書いておくと、次の一杯で同じ味を再現しやすくなります。


一杯ごとに変える条件を絞って楽しむ
味を調整するときは、豆の量・お湯の量・挽き目・湯温を一度に変えず、ひとつずつ試してみてください。「香りが好みか」と「濃さが合うか」を分けてメモしておくと、次に選ぶ豆と淹れ方の両方に役立ちます。
- 最初の一杯は、商品指定または普段の条件で淹れる
- 使った豆量・湯量・挽き目と、気になった点をメモする
- 次の一杯では条件を一つだけ変え、好みに近づいたか確かめる
まずはブラックで香りを楽しんでから、好みでミルクを加えてみるのもおすすめです。開けた豆は商品の保存方法に従い、袋の口を開けたままにしないようにしましょう。保存容器や冷凍の使い分けは、次の記事で紹介しています。


インフューズドコーヒーで迷いやすい疑問
- コ・ファーメンテーションと書かれていたら同じ意味ですか?
-
同じ意味とは限らないので、何を一緒に発酵させたかを見てください。たとえばThe Coffee QuestのMellow Yellowは、桃の濃縮物と独自の溶液を加える工程を「Co-Fermentation(コ・ファーメンテーション)」と呼んでいます。呼び名よりも、実際に使った素材と工程に注目しましょう。
- 甘い香りなら、砂糖やシロップが入っていますか?
-
味の説明に甘さや果物の名前があるだけでは、判断できません。シロップを使ったとはっきり書いている商品もあれば、味のたとえとして書いているだけの商品もあります。材料を知りたいときは、商品の原材料や加工の説明を見てみてください。
- お酒の香りがする商品はアルコールゼロですか?
-
焙煎していることや、香りの説明だけでは、アルコールが含まれていないとは言い切れません。お酒を使った商品でアルコールを避けたい場合は、成分や検査の結果を販売元に問い合わせてください。
- フルーティーなコーヒーは全てインフューズドですか?
-
違います。果物に似た風味を表す言葉と、実際に果物を使った工程の説明は別です。「ピーチ」「ベリー」などの言葉だけで判断せず、素材を加えたかどうかを製法欄で確かめましょう。
インフューズドコーヒーは製法を知って選ぼう
インフューズドコーヒーは、いつもの豆とは違う香りを楽しみたいときに試してみたいコーヒーです。選ぶときは、華やかな味の言葉だけでなく、何をどの工程で使ったのかにも目を向けてみてください。
- 素材の説明と、風味を表す果物名を見分ける
- 発酵中に加えたのか、別の工程なのかを確かめる
- 袋の価格に加え、100g単価と飲み切れる杯数を見る
- 初めは少量を選び、商品の案内に沿って淹れる
説明を読んでもわからないことがあれば販売店に聞いて、飲んでみたいと思える一袋を選びましょう。好みの香りや淹れ方を少しずつ探していくのも、コーヒーの楽しみのひとつです。
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