
コーヒーに含まれるクロロゲン酸の効果ってどんなものがあるの?



飲み方や含有量は、何を基準に考えればよいの?
クロロゲン酸に関する研究と、普段飲むコーヒーの健康効果は区別して考える必要があります。コーヒーを血糖管理や治療の代わりにしたり、成分を多く摂ろうと飲む回数を増やしたりはしないでください。
この記事では、コーヒーに含まれるクロロゲン酸の研究例と限界、含有量を見る際の注意点を解説します。独自の成分測定や臨床試験を行った記事ではありません。
- クロロゲン酸はポリフェノールの一種
- 含有量は成分名・単位・焙煎や抽出の条件とあわせて読む
- ブラックが最も効果的な飲み方とは断定できない


日本安全食料料理協会(JSFCA)認定のコーヒーソムリエ、げんた(@topcoffeelab)が監修。
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コーヒーを愛し続けて約10年。これまで3,000商品以上のコーヒー・関連商品を調査・比較し、その中から厳選して紹介しています。運営するコーヒー情報サイト「コーヒー豆研究所」は最大月間約60万PVを記録し、テレビ番組『ZIP!』をはじめ各種メディアでも紹介されています。自社ブランド「ラボカフェ」では、厳選したコーヒー豆を累計3,000個以上販売しています。
そもそもコーヒーに含まれるクロロゲン酸とは?


クロロゲン酸は、コーヒーに含まれるポリフェノールの一種です。研究資料で「クロロゲン酸類」として示される量と、ポリフェノール全体の量を区別して読みましょう。
カフェインとクロロゲン酸は異なる成分です。どちらが多いかは、豆や抽出条件、測定対象をそろえずに比較できません。
旧記事の「理想のポリフェノール摂取量1000〜1500mg」という数値は、全員に勧められる基準としての出典を確認できていません。この数値を目標にコーヒーの量を増やさないでください。
日本人の平均摂取量や摂取源の割合は、調査対象・時期・集計方法とあわせて確認しましょう。旧記事の800mg前後・約半数という数値は条件を示せないため、全国一律の値としては紹介しません。



調査の平均値と、自分が摂るべき量は別なんですね。
ポリフェノールは化学構造に基づく成分の総称



一つの成分名ではなく、成分のグループを表す言葉なんですね。
日本食品分析センターの分析案内では、ポリフェノールを、芳香環に複数の水酸基が直接ついた構造を持つ植物由来成分の総称として説明しています。名前は化学構造を表すもので、飲んだ人への健康効果そのものを意味しません。
含有量は成分名・単位・測定条件を確認する


含有量を見る際は、何を測った数値か、豆と抽出液のどちらか、何ml当たりかを確認しましょう。
ポリフェノール全体の値を、そのままクロロゲン酸の量として扱うことはできません。
| 対象成分 | ポリフェノール全体か、クロロゲン酸類かを区別する |
| 測定対象 | 豆の重量当たりと抽出液の体積当たりを混同しない |
| 比較条件 | 品種・焙煎・粉と湯の比率・測定方法を確認する |
旧表のワイン230mg・コーヒー200mg・緑茶100mgは測定条件を確認できていません。飲料の優劣や、緑茶の2倍という比較の根拠にはしません。
「コーヒー1杯140mlで約280mg」という旧案内も、すべてのコーヒーに共通するクロロゲン酸量ではありません。商品や研究資料に記載された対象成分と条件を確認してください。



量を比べる前に、成分名と単位をそろえて確認しましょう。
クロロゲン酸を含むコーヒーの研究例と限界


クロロゲン酸を含むコーヒーを使ったヒト試験があります。確認したいのは、試験飲料・対象者・期間・測定した指標です。
以下では研究例と、その結果だけでは言えないことを紹介します。当サイトが独自に実施した試験ではありません。
腹部脂肪の研究を一般のコーヒーへ当てはめない


2019年の無作為化比較試験の抄録では、BMI25以上30未満の健康な成人150人を、クロロゲン酸量が異なるインスタントコーヒーの2群に分けています。
試験飲料は1杯当たりクロロゲン酸369mgと35mgで、1日1回、12週間の比較でした。著者らは、高含有群で対照群に比べ腹部脂肪面積などが減少したと報告しています。
この結果は特定の試験飲料と対象者についてのものです。市販のどのコーヒーでも同じ結果になる、飲めば肝臓の代謝が活発になって痩せる、とは言えません。
研究の著者には花王の社員が含まれ、利益相反として開示されています。結果を読む際は研究条件とあわせて確認してください。試験の摂取量を個人向けの推奨量として案内するものではありません。



コーヒーの量を増やして減量しようとせず、体重管理は食事や活動量を含めて考えましょう。


血糖管理のためにコーヒーへ頼らない
クロロゲン酸と糖代謝の関係を説明する際は、研究対象が細胞・動物・人のどれか、どの成分をどれだけ与えたかを確認する必要があります。成分の働きだけから、食後のコーヒーで血糖値が下がるとは結論できません。
糖尿病の治療では、医療機関から指示された食事・運動・服薬などの管理を優先してください。
旧記事の「血糖値の上昇を穏やかにする作用が認められている」という一律の説明は撤回します。普段のコーヒーについて、誰にでも同じ効果が得られるとする根拠を本記事では確認できていません。



ブラックコーヒーであっても、血糖管理のために飲むことを勧めるものではありません。治療中の飲用は主治医に相談してください。
抗酸化能の測定と健康効果を区別する


「抗酸化作用がある」という説明では、試験管内の反応なのか、ヒトの血液で測った指標なのかを区別しましょう。
2016年の無作為化比較試験の抄録では、健康な成人75人を、コーヒーを飲まない群と、クロロゲン酸量が異なるコーヒーを飲む2群に分けて8週間調べています。



血液中の指標が変わることと、病気や老化を防げることは別なんですね。
コーヒー摂取1時間後には血漿の抗酸化能の指標が上昇しました。一方、8週間後の血中脂質・血管機能・血圧などには群間の有意差が認められませんでした。
この研究が測ったのは成分や血液・血管に関する指標です。病気の予防や寿命の延長を直接示した結果としては紹介できません。
旧記事の「活性酸素を取り除いてくれる」という説明は、コーヒーを飲めば体への利益が得られると断定する表現でした。測定指標の変化から、そのように一律の効果を保証することはできません。
飲用後の体調変化と注意点


研究結果を日常の飲用にそのまま当てはめないことに加え、飲んだときの体調にも注意が必要です。
飲用後に胃痛や便通の変化があっても、その原因をクロロゲン酸だけに特定することはできません。
ここでは、体調に変化があったときの注意点を整理します。成分単独の副作用一覧ではありません。
- 胃痛の原因を成分だけで決めない
- 便秘には複数の原因がある
- 成分の作用だけで血糖値への影響を判断しない
1. 胃痛があるときは飲用を控える
コーヒーを飲んで胸焼けや胃痛が出る場合は飲用を控え、不調が続くときは医療機関に相談してください。食後に変えたりミルクを加えたりすれば問題なく飲める、という対処法は勧めません。
米国NIDDKの消化不良の解説では、胃の不快感には複数の原因があり、原因が明確でない場合もあると説明しています。飲んだ後の痛みだけで「胃酸過多」とは判断できません。
いつ痛むか、飲食との関係、服用中の薬などを記録しておくと、受診時に状況を伝えやすくなります。
「通常量なら問題ない」と一律に判断せず、不調があるときは飲むのを控えてください。



胃潰瘍や胃に持病があって心配な人は医師に相談してみよう。
2. 便秘の原因をクロロゲン酸に限定しない


クロロゲン酸が胃腸の働きを抑えて便秘を起こす、という旧説明を一般のコーヒー飲用に当てはめる根拠は確認できていません。
NIDDKの便秘の解説では、食事・水分・活動量・薬・病気など複数の要因を挙げています。コーヒーの一成分だけで原因を決めないでください。
便秘が改善しない場合は医療機関に相談しましょう。「飲み過ぎでなければ気にしなくてよい」という旧案内は撤回します。
便秘に血便・続く腹痛・嘔吐などを伴うときは、飲み物や水分量の調整だけで様子を見ず、速やかに受診してください。
コーヒーと便秘に関してより詳しく知りたい方は「【決定版】コーヒーと便秘の関係とは?便秘解消を期待できるのか解説」の記事をチェック!


3. 糖尿病の治療中は飲用について相談する
コーヒーにはクロロゲン酸だけでなくカフェインなども含まれます。一成分の説明だけで、飲料全体が自分の治療に役立つかは判断できません。
クロロゲン酸とカフェインの作用を単純に差し引いて、コーヒーで血糖値が上がる・下がると決めることはできません。
治療中は自己判断で薬を減らしたり、コーヒーへ置き換えたりしないでください。
現在糖尿病の治療中の人や糖尿病予備軍の人はコーヒーの飲用に関して医師とよく相談するようにしましょう。



何か一つに頼るのではなく、生活習慣自体の改善が重要です!
焙煎・淹れ方と成分量を考えるときの注意点


豆に含まれる量、抽出液へ移る量、体に取り込まれる量は、それぞれ異なる話です。焙煎や淹れ方の説明から、健康効果が最大になる飲み方まで決めることはできません。
以下では、成分の研究を飲み方に当てはめる際の注意点を紹介します。
クロロゲン酸は焙煎度合いによっても変わる


2020年の抽出研究の抄録では、コロンビア産アラビカ豆を浅・中・深煎りにし、温水と冷水で淹れたコーヒーの成分を比較しています。焙煎度と抽出温度の組み合わせで、抽出される成分の量は変わりました。
成分を多く摂るために極力浅煎りにすれば健康によい、とは結論できません。味や体調に合う商品を選びましょう。
「極深煎りで含有率10%」という旧記載は、豆全体に対する割合か、焙煎前からの残存率かが不明で、測定条件も確認できていません。比較値としては撤回します。
同じ産地でも商品によって焙煎や味は異なります。産地名だけで浅煎り向きと決めず、販売元の風味説明を確認してください。
アイスとホットはどっちが良い?
ホットとアイスのどちらが減量に優れるかを、本記事の根拠からは判断できません。飲む温度と、抽出時の温度も区別しましょう。
比較するときは次の点に注意してください。
- アイスでも使う豆や抽出方法によって成分量は異なる
- 抽出液の成分量と、飲んだ人の体重変化は別の測定結果
冷たい飲み物だから代謝が下がる、浅煎りのアイスなら減量に向く、と結び付ける旧案内は撤回します。
焙煎時の成分変化を、そのまま抽出湯温の話へ当てはめることはできません。「クロロゲン酸を保つには80〜90℃がベスト」とする旧案内の根拠は確認できていません。
抽出には器具や商品の推奨レシピを使い、飲む際はやけどをしない温度まで冷ましてください。成分量の最大化より、安全においしく飲めることを優先しましょう。
適度な温度については「コーヒーの温度は何度が美味しい?味の違いからおすすめの温度計まで」の記事で詳しく解説しています。


効果を期待して飲む回数を増やさない
血糖値を抑える目的で食事中や食後に飲むことを、すべての人に勧められる根拠は確認できていません。飲む時刻を治療方法として決めないでください。
厚生労働省のカフェイン情報では、過剰摂取による不眠・不安・下痢・吐き気などが挙げられています。体への影響には個人差があり、旧記事の「4時間後には排出される」を次に飲む時刻の根拠にはできません。
本記事では、クロロゲン酸の摂取を理由に運動前のコーヒーを勧めません。運動の効果と、成分の吸収・排出に関する説明は別の話です。
「効果を持続させるため4時間ごとに飲む」という旧案内は撤回します。コーヒー以外のお茶やエナジードリンク、医薬品に含まれるカフェインも確認し、重ねて摂り過ぎないようにしてください。


牛乳を混ぜても問題ないの?
牛乳を加えると必ずクロロゲン酸の吸収が下がるとは言い切れません。成分との結合の説明だけを根拠に、ブラックを最も効果的な飲み方とする旧案内を訂正します。
健康な成人9人を対象とした試験の抄録では、インスタントコーヒーに全乳を10%加えても、測定したフェノール酸の血中濃度に関する指標に有意な変化は認められなかったと報告されています。
これは少人数・特定条件での成分利用に関する結果です。牛乳の量や種類が異なる場合や、長期的な健康効果まで保証する試験ではありません。
ブラックかミルク入りかは、成分の効果を最大化しようとして無理に決めず、好みや体調、食事上の指示に合わせて選びましょう。
クロロゲン酸で胃痛になるって本当?


コーヒーを飲んで胃が痛くなったときは、成分や保存状態を推測する前に、症状の強さと続き方を確認しましょう。
強い痛みや出血の兆候は早く受診する
NIDDKは、強く持続する腹痛、吐血、黒いタール状の便などがある場合は、速やかな受診を案内しています。コーヒーのせいだと決めつけて放置しないでください。
痛みが軽くても改善しない場合は医療機関へ相談してください。胃の持病がある方は、飲用の可否について主治医の指示を優先しましょう。
ミルクを足したり新しい豆に替えたりすれば飲み続けられる、とは判断できません。症状がある間は無理に飲まないでください。



コーヒーに限らず過剰摂取は、健康上おすすめできません。


保存状態の確認と胃痛の原因判断は別
豆の保存中に風味は変化しますが、胃痛の原因が豆の酸化かどうかを味や経過日数だけで診断することはできません。
旧記事の油分量を根拠にした「酸化で胃痛が起きる」という説明は撤回します。保存状態の確認と、体調不良の原因を調べることは分けて考えましょう。
食品として扱う際の注意点は次のとおりです。胃痛を防げると保証する方法ではありません。
- 商品の保存方法と期限を確認する
- カビや傷みが疑われるものは使用しない



カビや傷みが疑われる豆を、味見して確かめるのは避けましょう。
包装に記載された保存方法や期限を確認し、カビや傷みが疑われるものは使用しないでください。
保存方法を守っていても、飲んで症状が出た場合は飲用を控え、必要に応じて医療機関へ相談してください。
胃痛について詳しく知りたい方は「【最新】コーヒーを飲むと胃痛がする?原因と対処法について徹底解説!」の記事もチェック!


クロロゲン酸が含まれるコーヒー以外の飲食物


クロロゲン酸はコーヒー以外の飲食物にも含まれます。
調査してみたところ、他にもいくつか見つかったためリストでまとめました。
- さつまいも
- なす
- りんご
- ごぼう
- じゃがいも
これらにもクロロゲン酸が含まれているようです。
コーヒー以外でも摂取したいと思った方は是非参考にしてみてください!
まとめ:研究条件を確認し、健康効果を理由に飲む量を増やさない


成分の研究結果は、普段飲むコーヒーすべてにそのまま当てはまるわけではありません。飲料の条件と測定された項目を分けて読むことが大切です。
- クロロゲン酸はコーヒーに多く含まれるポリフェノールの一種
- 研究結果は対象者・飲料・測定指標の条件とともに確認する
- 成分量を理由に浅煎りやホットを健康上有利と決めない
- 焙煎と抽出の温度を混同せず、器具のレシピを基準に淹れる
- 血糖管理や治療の代わりにコーヒーを使わない
- 飲用後に不調が出たら飲み続けず、持続する症状や強い症状は医療機関へ相談する
研究で良い結果が出た項目だけでなく、差が認められなかった項目や、対象者・飲料の条件も確認しましょう。
健康効果を期待して飲む量を増やすのではなく、好みと体調に合わせて楽しむことが基本です。治療中の方は医療機関の指示を優先してください。
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