
コーヒーかすで虫除けはできるの?家にある出がらしで試してみたい。



コーヒーを淹れた後のかす、捨てる前にうまく使いたいですよね。
結論からお伝えすると、コーヒーかす(出がらし)には一部の虫や害獣に対する忌避効果があります。ただし効果の強さは対象によって差が大きく、蚊やアリ、ナメクジには一定の根拠がある一方、ゴキブリには効果が乏しいか逆効果になる場合もある点に注意してください。
この記事では、蚊・アリ・ナメクジ・コバエ・ゴキブリ・猫よけなど8つの対象ごとに効果の程度を一覧表で整理し、カビを防ぐ乾燥方法から撒き方・燻し方までの具体的な手順、ペットの誤食や土壌への影響といった注意点までまとめて解説します。
- コーヒーかす(出がらし)を虫除けとして使う方法はあるが、効果は虫の種類によって大きく異なる
- 効果が比較的期待できるのは蚊・アリ・ナメクジ・カタツムリ・土壌害虫。ゴキブリへの効果は限定的で、湿ったまま撒くとむしろ誘引するリスクがある
- 使用前は完全に乾燥させるのが最重要。生乾きはカビと悪臭の原因になる
- ペットの誤食によるカフェイン中毒と、撒きすぎによる土壌pHの変化には注意が必要


日本安全食料料理協会(JSFCA)認定のコーヒーソムリエ、げんた(@topcoffeelab)が監修。
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それでは、コーヒーかすの虫除け効果の仕組みから、対象別の効果一覧、具体的な使い方まで順番に見ていきましょう。
コーヒーかす(出がらし)は虫除けになる?


結論からお伝えすると、コーヒーかす(出がらし)を虫除けとして使う方法はあります。ただし、全ての虫に均等に効くわけではなく、虫の種類によって効果の程度が異なる点には注意が必要です。
コーヒーかすに虫除け効果があるとされる理由は、主に3つの成分が関係しています。
虫除け効果があるとされる3つの成分
- カフェイン:虫にとって苦味の強い成分で、忌避や神経系への作用が知られている
- クロロゲン酸:コーヒー豆に含まれる渋み成分で、植物や虫への作用が研究されている
- 焙煎による香り成分:燃やしたときの煙や強い匂いを一部の虫が嫌う
このうちカフェインについては、米国農務省(USDA)の研究チームが2002年に発表した実験で、2%濃度のカフェイン溶液を土壌に灌注したところ、陸生ナメクジ(Veronicella cubensis)の100%が土壌から退避し、ラン科植物に発生する貝カタツムリ(Zonitoides arboreus)の95%が死滅しました(USDA ARS、2002年公表)。
ただし、この結果は濃縮したカフェイン溶液を使った実験値です。家庭で出るコーヒーかすは抽出の過程でカフェインの多くが湯に溶け出した後のため、同じ濃度は期待できません。「乾燥かすを撒けば実験と同じ効果」と考えるのではなく、あくまで忌避の補助策として捉えるのが実態に近い使い方です。
出典:USDA Agricultural Research Service「Caffeine Foils Snails」
コーヒーかす(出がらし)とは?未使用の粉との違い
本記事で扱う「コーヒーかす(出がらし)」は、ドリップやコーヒーメーカーで一度抽出した後に残る粉を指します。使用するコーヒー豆の量は、1杯分の抽出で10〜12g、大きめのマグカップで15〜18gが目安です。機械で複数杯を一度に抽出した場合は、その杯数分の出がらしがまとまって出ます。
未使用のコーヒー粉(豆を挽いただけで抽出していないもの)は、カフェインやクロロゲン酸がほぼそのまま残っているため、出がらしよりも成分が濃い状態です。虫除け用途では出がらしで十分なので、未使用の粉はコーヒーとして飲む用途に取っておくことをおすすめします。粉の正しい保存方法を知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。


また、ドリップコーヒーを淹れたまま時間が経ち、賞味期限が切れてしまった場合の活用法を知りたい方は、以下の記事で使い道を詳しく解説しています。


出がらしを虫除けに使うメリット
コーヒーかすを虫除けに使う最大のメリットは、殺虫成分を含む薬品を使わずに済むことです。ゴーグルやゴム手袋といった防護具を用意する必要がなく、普段の抽出で出るかすをそのまま活用できるため、追加コストもかかりません。
一方で、後述するとおり薬剤のような即効性や確実性はありません。あくまで補助的な対策として、他の防虫方法と組み合わせて使うのが現実的です。
虫・害獣の種類別 コーヒーかすの虫除け効果一覧


コーヒーかすの虫除け効果は、対象によって「一定の根拠がある」ものから「効果が乏しい・逆効果の可能性がある」ものまで幅があります。誇張せず対象別に整理すると、以下の通りです。
| 対象 | 効果の程度 | 使い方の目安 | 根拠・注意点 |
|---|---|---|---|
| 蚊 | 中(燃焼時のみ) | 乾燥させて燻す | 煙による忌避。蚊取り線香に近い体感だが焦げ臭が強い |
| アリ | 中 | 通り道に撒く | フェロモンの通り道を香りで乱すとされる。巣そのものは駆除できない |
| ヨトウムシ・ネコブセンチュウ・ネキリムシ | 中〜限定的 | 土に薄くすき込む | 家庭菜園での経験則が中心。学術的な検証は少ない |
| ナメクジ・カタツムリ | 中(濃縮時は高) | コーヒー液を散布・灌注 | USDA研究で濃縮カフェイン液の有効性が実証済み。乾燥かす単体は効果がマイルド |
| アブラムシ・ハダニ | 限定的 | コーヒー液を葉面散布 | 殺虫効果はなく、発生初期の予防的な用途に留める |
| ゴキブリ | 低〜逆効果の可能性 | 推奨しない | 湿った状態は誘引成分となる有機物のため逆効果。詳細は関連記事を参照 |
| 猫 | 中(個体差あり) | 侵入されたくない場所に撒く | 匂いを嫌う個体が多いとされるが、慣れると効果が薄れる |
| コバエ | 低〜情報が乏しい | 推奨は限定的 | コーヒー特有の忌避効果を裏付ける情報は少なく、他の対策(排水口清掃・トラップ)が優先 |
ゴキブリ対策として使う場合は特に注意が必要です。生乾きのコーヒーかすは有機物として発酵・腐敗が進みやすく、ゴキブリを遠ざけるどころか誘引してしまう可能性があります。科学的な根拠と正しい使い方は、以下の記事をご覧ください。


コーヒーかすを虫除けに使う具体的な方法


ここからは、乾燥のさせ方から、虫の種類に合わせた使い分けまで、具体的な手順を紹介します。
1. コーヒーかすを乾燥させる(カビ防止が最重要)
水分を含んだまま使用すると白カビが発生しやすくなるため、使用前に必ず完全に乾燥させてください。目安は「触ってサラサラで塊がない状態」です。乾燥方法は主に3つあります。
新聞紙やキッチンペーパーの上に薄く広げ、日当たりの良い場所で1〜2日ほど乾かします。一度に多くの量を処理できますが、風で飛ばされやすいので容器や網をかぶせて管理してください。乾燥が終わったら密閉容器に移して保管します。
耐熱皿にコーヒーかすを薄く広げ、600Wで1〜2分ずつ加熱します。乾燥にムラが出やすいため、一度取り出して全体を混ぜてから再加熱を繰り返し、完全に湿り気がなくなるまで続けてください。少量をすぐに使いたいときに向いています。
弱火のフライパンでかき混ぜながら水分を飛ばしてください。焙煎したような香ばしい香りが最も強く立つ方法で、コーヒーの香り自体を楽しみたい方に向いています。焦げやすいので目を離さず、常にかき混ぜてください。
2. 虫の種類に合わせて撒き方を変える
乾燥させたコーヒーかすは、狙う虫によって使い方が異なります。前章の一覧表を目安に、以下の3パターンで使い分けてください。
家庭菜園・プランターにすき込む
ヨトウムシ・ネコブセンチュウ・ネキリムシなどの土壌害虫が対象です。土の表面にばら撒くのではなく、土の中に浅くすき込むのがポイントです。一か所にまとめず、株の周囲に間隔をあけて少量ずつ混ぜ込んでください。植物の根元に直接触れさせると生育を妨げる場合があるため、根本から少し離した位置にすき込みます。プランターの場合は表土200〜300g程度あたり大さじ1〜2杯を目安にし、様子を見ながら量を調整してください。
玄関・網戸まわりに撒く
アリの通り道が対象です。働きアリが巣に戻るために残す道しるべの匂いを、コーヒーの香りで乱す使い方です。玄関のたたきや網戸の下、アリの列ができている場所に沿って乾燥かすを撒きます。雨や水拭きで流れると効果が途切れるため、1〜2週間に1回、または雨の後に撒き直すのが目安です。巣そのものを駆除する方法ではない点は理解した上で使ってください。
乾燥かすを燻す(蚊対策)
蚊が対象です。小皿に乾燥させたコーヒーかすを広げ、マッチやライターで火をつけると、蚊取り線香のような煙が少しずつ立ち上ります。コーヒーの香りというより焦げたような匂いが強く出るため、屋外での使用が前提です。完全に燃え尽きるまで目を離さず、水を張った耐熱容器の上や不燃性の台の上で焚き、使用後は水をかけて確実に消火してください。
コーヒー液(出がらしを煮出した液)で虫除けする方法


虫除けには、乾燥かすを撒く・燻す方法のほかに「コーヒー液」を使う方法もあります。インスタントコーヒーを溶かした液や、飲み残しの缶コーヒー・ドリップコーヒー、出がらしを再度煮出した液をまとめてコーヒー液と呼びます。
対象になるのは主にアブラムシ・ハダニ、そしてナメクジ・カタツムリです。前述のUSDA研究のとおり、濃縮したカフェイン溶液はナメクジ・カタツムリへの効果が実験で確認されています。ただし出がらしを煮出しただけの液はカフェイン濃度が実験条件より薄いため、確実な駆除ではなく忌避の補助策として使うのが現実的です。
使い方は、濃いめに煮出したコーヒー液を完全に冷ましてから霧吹きに入れ、葉の表と裏に吹きかけるだけです。コーヒー液に殺虫成分はないため、被害が広がってからではなく発生初期の予防策として使うのが向いています。
虫除け以外にもあるコーヒーかすの効果的な使い方


コーヒーかすは虫除け以外にも、以下のような使い方ができます。
- 猫除け
- 消臭剤・脱臭剤
- 除草剤
- 肥料・堆肥
- 艶出し・金属磨き
猫除け
アリと同様、コーヒーの香りを苦手にする猫は少なくありません。新潟県庁のページでも、コーヒーを淹れた後のかすの匂いを猫が嫌う例が紹介されています。侵入されたくない花壇や玄関先に撒く使い方が一般的ですが、効果には個体差があり、匂いに慣れてしまうと効果が薄れることもあるため、フェンスや忌避グッズなど他の対策と併用するのが確実です。
消臭剤・脱臭剤
コーヒーかすには多孔質による消臭効果があり、活性炭に匹敵する脱臭力があるといわれています。専用容器がなくてもタッパーなどに入れるだけで手軽に使えます。より詳しい作り方を知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。


除草剤
前述のとおり、コーヒーかすには植物の生育を妨げる成分が含まれています。この性質を逆手に取り、雑草を抑えたい場所にコーヒーかすを撒くという使い方です。ただし栽培中の植物の根元にかかると生育を妨げてしまうため、通路や砂利まわりなど、植物を育てていない場所に限定して使ってください。
肥料・堆肥
除草剤としての性質とは逆に、正しく発酵させればコーヒーかすは肥料や堆肥として使えます。発酵の手順を省いて未発酵のまま土に撒くと、かえって植物を枯らす原因になるため注意が必要です。土壌への影響と正しい堆肥化の手順を詳しく知りたい方は、以下の記事で解説しています。


艶出し・金属磨き
コーヒー豆にはもともと油分が含まれており、この油分を利用して艶出しや金属磨きに使うこともできます。やり方は、コーヒーかすを布に包み、磨きたいものをやさしくこするだけです。この油分を利用して針山の中身に使う人もおり、針の滑りが良くなり、サビの防止にもつながります。他の再利用アイデアを知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。


コーヒーかすを虫除けに使う際の注意点


コーヒーかすは薬品を使わない手軽な方法ですが、使い方を誤ると逆効果やトラブルの原因になります。使用前に以下の4点を確認してください。
カビ・悪臭の原因になる
水分が残ったコーヒーかすは、白カビの発生源になります。使用前は「乾燥させる」の手順で完全に乾かし、保管中も湿気を吸わないよう密閉容器に入れてください。すでにカビが生えてしまったかすは、虫除け・肥料のどちらの用途にも使わず廃棄するのが安全です。
ペットの誤食・カフェイン中毒に注意
出がらしにもカフェインは残っているため、犬や猫が大量に舐めたり食べたりするとカフェイン中毒のリスクがあります。獣医師監修の資料によると、犬猫は体重1kgあたり20mgのカフェイン摂取で軽度の症状が、40〜50mgで重篤な症状が出ます。抽出でカフェインの大半が湯に溶け出した後の出がらしは、飲用のコーヒーそのものより残存量は少ないものの、リスクをゼロと言い切ることはできません。ペットが日常的に出入りする庭やベランダには撒かず、室内で乾燥させる際も届かない場所で保管してください。
撒きすぎによる土壌pHへの影響
コーヒーかすは弱酸性で、大量に撒き続けると土壌が徐々に酸性に傾く場合があります。酸性土壌を嫌う植物の近くで使う場合は、一度に大量に撒かず、少量を間隔をあけて使う、他の場所と交互に使うといった調整をおすすめします。
殺虫剤の代わりにはならない
コーヒーかすはあくまで忌避を助ける手段であり、虫を直接駆除する殺虫剤ではありません。すでに大量発生している害虫や、住宅に深刻な被害を与える害虫(シロアリなど)への対応は、専門の駆除業者や登録された殺虫剤に任せるべきです。コーヒーかすは軽度な予防・忌避の一手段として、他の対策と組み合わせて使ってください。
コーヒーかすの虫除けに関するよくある質問
- コーヒーかすを乾燥させずに使うとどうなりますか?
-
白カビや悪臭の原因になります。特にゴキブリは湿った有機物を好むため、生乾きのまま撒くとむしろ誘引してしまう可能性があります。天日干し・電子レンジ・フライパンのいずれかの方法で、触ってサラサラになるまで必ず乾燥させてから使用してください。
- どのくらいの頻度で撒けばいいですか?
-
目安は1〜2週間に1回です。香り成分は時間とともに揮発し、雨や水やりで流れると効果が途切れるため、雨の後や匂いが薄れてきたタイミングで撒き直してください。撒きすぎは土壌pHに影響するため、量は少量ずつを意識しましょう。
- ゴキブリに効きますか?
-
効果は限定的で、使い方を誤ると逆効果になります。湿ったコーヒーかすは有機物として発酵・腐敗が進み、ゴキブリが好む匂いを発するためです。科学的根拠と正しい使い方については、コーヒーかすとゴキブリの関係を詳しく解説した記事をご覧ください。
- 猫よけになりますか?
-
猫がコーヒーの香りを嫌う傾向があるため、一定の忌避効果は期待できます。ただし個体差が大きく、匂いに慣れてしまう猫がいる点には留意してください。花壇や玄関先など、侵入されたくない場所にピンポイントで撒き、フェンスなど他の対策と併用すると効果が安定します。
- 観葉植物の虫にも使えますか?
-
鉢の表土に薄くすき込む形であれば使用できます。ただし鉢植えは庭に比べて土の量が少ないため、屋外の家庭菜園より少なめの量(表土200〜300gあたり小さじ1杯程度)から様子を見てください。根元に直接触れさせず、水はけを妨げない範囲で使うのがポイントです。
- 未使用のコーヒー粉でも代用できますか?
-
代用は可能ですが、未使用の粉はカフェインやクロロゲン酸の濃度が出がらしより高いため、ペットの誤食リスクや土壌への影響がより大きくなる点に注意してください。虫除け目的であれば、抽出後の出がらしで十分な効果が見込めます。粉の保存方法に迷った場合は、コーヒー粉の保存方法を解説した記事も参考にしてください。
コーヒーかすを上手に活用して虫除けしよう


コーヒーかすを使った虫除けの方法について解説しました。本記事で重要なポイントをまとめると以下のとおりです。
- コーヒーかすの虫除け効果は虫の種類で差が大きく、蚊・アリ・ナメクジには一定の根拠があり、ゴキブリには逆効果の可能性がある
- 使用前は天日干し・電子レンジ・フライパンのいずれかで完全に乾燥させ、カビと悪臭を防ぐ
- 土にすき込む・通り道に撒く・燻すなど、虫の種類に合わせて使い方を変える
- ペットの誤食による中毒と、撒きすぎによる土壌pHの変化には注意し、殺虫剤の代替とは考えない
この記事を参考に、コーヒーかすを無駄なく活用して虫除けに役立ててください。
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