コーヒー豆の生産量ってどこの国が多いのかな?気になる…
それぞれ世界各地の生産地の特徴や種類、味の違いを見てみたいな!
こういった疑問や要望にお答えしていきます。
- 世界で見るコーヒー豆の生産量が多い国
- 種類や味の違い
日本安全食料料理協会(JSFCA)認定のコーヒーソムリエ、げんた(@topcoffeelab)が監修。
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コーヒーを愛し続けて約10年。現在はコーヒー専門家として活動し、様々な媒体・メディアにご紹介いただいています。独自ブランドのコーヒー豆を「ラボカフェ」で販売中。
それでは早速見ていきましょう。
コーヒー豆の生産量が多い地帯はコーヒーベルト
コーヒー豆の生産地と言うとどんな国を思い浮かべますか?
ブラジルやコロンビア、グアテマラなどは生産量も多いため知っている方も多いのではないでしょうか?
しかしこのほかにも世界中のたくさんの国や地域でコーヒー豆は生産されています。
日本の工業地帯が集約している地帯を「太平洋ベルト」と呼ばれていますが、コーヒー豆の生産が集約している国々を「コーヒーベルト」とも言います。
コーヒー豆の元となるコーヒーノキは、土地や気候など栽培に一定の条件が必要となるので、生産できる地域がある程度限られています。
上記の図をよく見ると、分かるように赤道付近に密集しています。
このエリア一帯は標高の高い地域が多く、気候が年間を通して温暖です。
また、更に適度な降雨もあるので、コーヒーノキの栽培には最適の位置ということです。
コーヒーベルトは世界の大半の生産量を占める
現在では世界中に出回っているコーヒー豆大半は、このコーヒーベルトで生産されていると言っても過言ではないでしょう。
その中でも特にコーヒー豆の生産が多い生産量世界トップ10の国々について、コーヒー豆の生産事情や特徴を以下で解説していきます。
より詳しくコーヒーベルトについて知りたい方は「【最新】コーヒーベルトに該当するエリアは?地図上で学ぶ世界のコーヒー」の記事をチェック!
コーヒー豆の生産量トップ10選
では、本題のコーヒー豆生産量トップランキング10選について見ていきましょう。
まとめるとこんな感じです。上から人気が高い順です。
- ブラジル
- ベトナム
- コロンビア
- インドネシア
- エチオピア
- ホンジュラス
- インド
- ペルー
- グアテマラ
- ウガンダ
一つ一つ解説していきます。
生産量第1位. ブラジル
ブラジルは世界で流通するコーヒー豆の約3割がブラジルで生産されているということもあり、飛び抜けて生産量1位を誇る生産国になります。
1727年にエチオピアからブラジルにコーヒー豆が伝わり、100年ちょっと経った1850年頃には世界最大のコーヒー豆生産地に変わっていきました。
今もコーヒーの生産農家は数多く、ブラジルでは非常に多種多様なコーヒー豆が生産されています。
酸味と苦味のバランスが取れたクセのない味わい
味としても一般に「ブラジル」の名前で親しまれるコーヒーは、酸味と苦味のバランスが取れたクセのない点が大きな特徴です。
コストパフォーマンスにも優れており、ブレンド豆としても使用されています。
- 生産量:3,019,051トン
- 国土面積:8,516,000 km²
- 味の特徴:酸味&苦味のバランスが取れたクセがない
生産量第2位. ベトナム
ベトナムのコーヒー豆と言われると日本ではあまり馴染みがないでしょう。
しかし、実際は世界2位のコーヒー豆生産地です。
生産量がかなり多い国になります。
当然のことながらベトナム産のコーヒーは日本にも多く輸入されています。
ベトナムで生産されているコーヒー豆は、日本や欧米で多く飲まれているアラビカ種ではなく、苦味と渋みが強い、麦茶のような香ばしさが特徴の「ロブスタ種」が主流です。
この「ロブスタ種」のコーヒーでは、練乳で甘みを加えた「ベトナムコーヒー」という飲み方が伝統的です。
- 生産量:1,460,800トン
- 国土面積:331,200 km²
- 味の特徴:ロブスタ種が主流で苦味と渋みが強い
生産量第3位. コロンビア
知っている方も多いかもしれませんが、コロンビアは缶コーヒーの商品名にもなっている「エメラルドマウンテン」もコロンビアのコーヒー豆として人気です。
その「エメラルドマウンテン」として認定されるのは、コロンビアのコーヒー豆のうちわずか3%未満なのです。
つまり、厳選された高級コーヒー豆ということですね。
コロンビアでは農家の約4分の1がコーヒー生産に関わっていると言われています。
そのため、コーヒーはコロンビア重要な農産物なのです。
- 生産量:745,084トン
- 国土面積:1,142,000 km²
- 特徴:エメラルドマウンテンコーヒーとして有名
生産量第4位. インドネシア
3位のコロンビアに対して、アジアで第2位の生産量を誇るのがインドネシアになります。
スマトラ島のマンデリン、スラウェシ島のトラジャがコーヒー豆で有名です。
特に「マンデリン」は独特の香りが魅力のコーヒーで、その生産量の半分近くはコーヒー大手のスターバックスが購入しているとも言われています。
インドネシアは昔からの生産大国
インドネシアは古くからコーヒーの生産大国でした。
しかし19世紀後半にコーヒーノキにサビ病という病気が広がり、絶望的な打撃を受けます。
そのため、サビ病に強い「ロブスタ種」への植え替えが進められました。
近年までのロブスタ種を主流にコーヒー豆の生産が行われています。
一方、ちょっと変わったところでは、ジャコウネコのフンから採取した超高級コーヒー豆「コピ・ルアク」もインドネシア産のコーヒーとして知られています。
- 生産量:639,305トン
- 国土面積:1,905,000 km²
- 特徴:ロブスタ種の生産が主流
生産量第5位. エチオピア
コーヒー発祥の地であるエチオピアでは、現在も自然に近い形でコーヒーの生産が行わています。
エチオピア産のコーヒー豆を「モカ」と呼ぶことも多いですが、これはコーヒー豆の輸出に使われていたイエメンの港の名前から付けられたとも言われています。
また、スペシャルティコーヒーによく見られる銘柄は、そのまま農園名ではありません。
生産地域ごとに「シダモ」「ハラー」といった名が付けられ、中でも「シダモ」産のコーヒーは他とは一線を画すフルーティで芳醇な香りが特徴的です。
また、別名「コーヒーの女王」でもあります。
- 生産量:469,091トン
- 国土面積:1,104,000 km²
- 特徴:エチオピアはコーヒー豆発祥の地
生産量第6位. ホンジュラス
ホンジュラスは、北海道より少し広いぐらいの小さな国土領域になります。
コーヒー豆の生産量は世界で6位。
国土領域の約3分の1が山岳地帯という栽培条件を活かしてコーヒーの栽培が行なわれています。
ホンジュラスのコーヒーは味わいは柔らかく、フルーティな酸味が特徴的です。
ホンジュラス産コーヒー豆は日本への輸出量も多く、一度飲まれた方もいると思います。
シングルでも、当然のことながら美味しいですが、最近では「ブレンド」の起爆剤としても需要があります。
- 生産量:362,367トン
- 国土面積:112,500 km²
- 味の特徴:味わいは柔らかく、フルーティな酸味がある
生産量第7位. インド
コーヒー豆の産地としてあまり馴染みのないインドです。
しかし人口13億人と、莫大であるためコーヒー豆の生産規模もかなりのものになります。
コーヒー豆の歴史もアフリカ大陸に次いで長いと言われています。
インドは地理的に日照量が多いため、そのままコーヒー豆を栽培すると生育によくありません。
そのため、太陽光を遮るために他の木々で覆う栽培方法が使用されています。
モンスーンコーヒーが代表的
インドのコーヒーと言えば「モンスーンコーヒー」が代表的です。
この「モンスーンコーヒー」はかつて植民地時代にインドからヨーロッパまでコーヒー豆を運んだ時、長旅の間にコーヒー豆が通常の緑色から黄金色に変化してしまったことが由来とされています。
モンスーンコーヒーのコーヒー豆は、独特の香りと味になるので、今でも愛飲家は多いです。
また、あえてモンスーン(貿易風)を利用した独特の製法でモンスーンコーヒーを製造しているところも存在します。
- 生産量:348,000トン
- 国土面積:3,287,000 km²
- 味の特徴:モンスーンコーヒー独特の酸味と味わい
こうしてインドの国土面積を見てみると、圧倒的に広いことが分かります。
生産量第8位. ペルー
マチュピチュ&ナスカの地上絵などで有名なペルーですが、南米の中でもブラジルやコロンビアに次ぐコーヒー豆生産国です。
ペルーは国土の大半をアンデス山脈が占め、その地形的特徴を活かして高地でのコーヒー豆栽培が行なわれています。
味の特徴としては、マイルドな酸味&濃厚なコクが特徴的です。
日本にもコーヒー豆は非常に多く輸入されています。
また、ペルーではカフェでコーヒーを頼むと、非常に濃いコーヒーと一緒にお湯が出されることがあります。
それは自分で濃さを調節しながら飲むのが一般的だからです。
- 生産量:277,760トン
- 国土面積:1,285,000 km²
- 味の特徴:マイルドな酸味&濃厚なコクが特徴的
生産量第9位. グアテマラ
日本でも比較的知名度の高いコーヒー豆産地、グアテマラです。
皆さんはグアテマラと聞いて何を思い浮かべるでしょうか?
コーヒー豆について思い浮かぶ方はあまりいないのではないでしょうか?
歴史としては1750年頃にコーヒーがグアテマラに持ち込まれ、1850年頃からコーヒー豆の生産量が増え始めました。
味の特徴としては、豊かな香り&力強い酸味が特徴的です。
そして、その特徴ゆえにブレンド用のコーヒー豆としても使用されることがあります。
しかし、1969年に発足した「グアテマラ全国コーヒー協会」の支援のもとで「スペシャルティコーヒー」の生産にも初期の方から力を入れています。
- 生産量:236,145トン
- 国土面積:108,900 km²
- 味の特徴:豊かな香り&力強い酸味が特徴
スペシャルティコーヒーとは
日本スペシャルティコーヒー協会によると以下の通りです。
消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。
日本スペシャルティコーヒー協会
風味の素晴らしいコーヒーの美味しさとは、際立つ印象的な風味特性があります。
爽やかな明るい酸味特性がありながら、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくコーヒーになります。
生産量第10位. ウガンダ
アフリカのコーヒー豆産地と言うと、ケニアやタンザニアなどが思い浮かぶかもしれません。
しかし実際はアフリカでエチオピアに次ぐコーヒー生産国は、ウガンダになります。
ウガンダはロブスタ種の発祥の地とも言われていて、ロブスタ種のコーヒー豆の輸出に力を入れています。
「ロブスタ種」は本来、低地向けのコーヒー豆とされていますが、ウガンダではこれを高地で栽培しています。
そのため、他のロブスタ種にはない独特の特徴があります。
口当たりがよくまろやかなコーヒーの味です。
アフリカ産の割には酸味はそこまで強くはないのですが、フルーティーな香りがしてきます。
コクがしっかりとしており、雑味がなくクリアな味わいです。
ケニアなどアフリカ産のコーヒー豆が好きな方であれば、比較してウガンダ産コーヒー豆も飲んでみると相性がいいでしょう。
- 生産量:203,535トン
- 国土面積:241,000 km²
- 味の特徴:口当たりがよくまろやかなコーヒーの味
コーヒー豆の生産量が多い国のトップ10はこんな感じになっているんだね!聞いたこともない国の名前もあったよ。
世界のコーヒー豆消費量!生産量との違いを理解しよう
ではコーヒー豆の生産量が多い国は、コーヒー豆消費量も多いのでしょうか?
生産量を踏まえた上で消費量も見ていく必要があります。
まずは図を見てください。
日本より消費量の多いドイツ、日本より若干消費量の少ないフランス、イタリアを含むEU(European Union=欧州連合)が全体の約27%を占めています。
アメリカの後にブラジルが続きます。
日本のコーヒー豆消費量
それに比べて、日本は全体の約5%を消費しています。
ですが国の大きさが違えば人口も違ってくるため、国別消費量が多い国でも人口が多ければ、一人ひとりの国民はそれほどコーヒーを飲んでいないということも考えられるのです。
つまり、先程説明したコーヒー豆の生産量トップ10の国々でも圧倒的に消費量が少ない国もあります。
日本のコーヒー豆生産量は少ないのに、消費量は5%だから多いかもね…!
コーヒー豆の生産量と消費量を理解しよう!
いかがでしたでしょうか?
「コーヒー豆の生産量が多い国トップ10選!種類や味の違いを徹底解説」というテーマでお伝えしました。
再びまとめておくとこのようになります。
- 生産量第1位:ブラジル
- 生産量第2位:ベトナム
- 生産量第3位:コロンビア
- 生産量第4位:インドネシア
- 生産量第5位:エチオピア
- 生産量第6位:ホンジュラス
- 生産量第7位:インド
- 生産量第8位:ペルー
- 生産量第9位:グアテマラ
- 生産量第10位:ウガンダ
生産量だけでなく、国の消費量も理解していくことが大切でしょう。